生田耕作

「ヘンリー・ミラー短編集『愛と笑いの夜』吉行淳之介訳(「福武文庫」版)を読む。
訳文の見事さに脱帽。日本語も満足につづれぬくせに、おこがましくも翻訳家をもって自任する大学の語学屋教師連は、
初めて翻訳なるものを試みたという吉行氏の、名人域に達した翻訳技術、何よりも見事な日本語の前に、自ら顧みて愧死すべきなり。所詮は「言霊」をうちに有すると有せざるとの違いか。」