「山手線内回り」

柳美里

 女は便器に腰をおろすと、タイトスカートを臍の上までまくりあげ、パンツをふとももまでずりおろした。緊張が内に籠っているようなおまんこを右手におさめ、右手の上に左手を重ね、最初はそっと、徐々にこねるように、
そしてなか指をクリトリスに押しつけて左右に強く――、快感がせり出し、おまんこがじんわりと熱くなってくる。おまんこっていってみな、いわないとちんちんしゃぶらせてやんないよ、とかいうヤツがけっこういたけど、ザーッツ・オーライ! 
何度だっていってやる。おまんこ、おまんこ、おまんこ、おまんこ、おまんこ、おまんこ、おまんこ、おまんこ、おまんこおまんこおまんこおまんこおまんこおまんこおまんこおまんこ、
歯を立てて根もとから食い千切ってやる! ごっくん、ちんちんはのどちんこをするっと抜けて、勃起したままのたうつように食道の奥へとすべり落ちて……おまんこ! フラッシュを焚いたようにぱっと飛び散った光が急速に萎えて真っ暗……
かぶと虫の終齢幼虫の死骸みたいに黒ずんでぶよぶよになったちんちんがフラッシュバックして……吸ってぇ、すぅ、吐いてぇ、はぁ、吸ってぇ、すぅ、吐いてぇ、はぁ、痺れた脳に酸素が戻ってくる。
 背中を丸めて股間を覗いてみると、おまんこはぐちょぐちょ。もっとからだが柔らかかったら、擦り剥いて赤チンを塗った膝をふうふうやるみたいに、濡れたおまんこをふうふう乾かしてあげられるのに……
女はゆらりと立ちあがった。センサーが作動して水が流れた。ねばついている指をグーにして〈開〉の青ボタンをパぁンチ!