>>427
>それほど深くかかずらう意義はないのかもね

 あの論争の提示していた最も難しい問いてのは花田という人の戦前から戦中
・戦後の至る思想的な遍歴。戦前はマルクス主義。これが戦中は右翼団体。
戦後は日本共産党。と変貌するが、これが花田の思想としては、一貫性が
あったのではないか。

 というのは日本の戦中の国家社会てのは当然天皇
が絶対的な権力をもち、他国に進出、陰謀を弄しながら拡大して行く政策だ。
政府と独占資本が癒着し、国家総動員法によって国民には貧乏を強い、
思想統制を行い、暗黒の時代を作りだす。
 一方ソビエト連邦も、思想統制を行い、一部官僚と党が利権を独占し、
国民には貧乏を強い、戦争で他国に進出する政策をとる。他国からの侵略を
防止するという名目で進出する。人類史上初の共産主義国家という名目だが
、内実は全体主義の戦争好きだ。

 つまりどっちも国家が思想を統制し、利権を独占し、天皇神権を、共産主義
護持を理由に国民に貧乏を強い、ロクでもないことをやるわけだが、ところが、
この時代、花田のような思想家にとって、二つの国家は互換可能とみえた。
そういう可能性がある。だから花田は右翼団体から日本共産党へ寄生先を
簡単に変えられたし、花田のように戦争中は右翼。戦後は労働組合の
ボスに収まる男が実は結構いたのではないか、と吉本は指摘している。