乱暴な言い方をすれば黒人貧困層はブルーズ、黒人知識層はジャズ、白人貧困層はロック、白人中流層はフォーク、白人知識人はモダンジャズといった階級対立があった
フォークはロックに比べればはるかに知的と主張されながら、天才作曲家を持たない
天才・個人の才能というのはロマン主義の産物であり、同じ曲を違うアレンジで演奏することは古典主義・アカデミズムには常に存在する
フォークにおいては、演者の体験や歴史への知識が、視聴者のそれと異なる限りにおいて違うものとされる
同じ歌詞であっても歌うものの解釈によって伝えるものは違うという考え方はホイットマンやロックの平等主義・羅列主義と相反するものだ
彼らにとって歌詞とメロディーは誰でも共有できるものであり、逆にそれを発明する人間は特権的とされる
ロックに始まりフォークを知り、再度ロックに戻り、カントリーに移る
「フォークの天才」とか「ロックとフォークをベッドインさせた」とかいう消費主義、「反戦詩人」というキャッチーなコピーはもっとも遠い
ウッドストックにも参加していないことを忘れてはいけない
文学版住民の嫌いな「意識の流れ」を徹底し、ピリオドと文頭の大文字を排除し、&だらけで韻文・イマジズムだらけの小説「タランチュラ」くらい読んで語るのはいかがだろうか
もちろん片岡義男訳と原文を読みながら

はっきりせずあいまいだがバスローブをまとった船頭は永遠に消滅させられなければならない、
そして 生ける地獄の棚、想像力の枯渇した眠り、変化のないくりかえし、に塗油されねばならぬ、
そして 肥った保安官たちはマットレスの中で自らの死期がおとずれるのを見守る……
ハレルヤ、 ホーボーたちの頭目が来たれり、

nay & may the boatmen in bathrobes be banished forever & anointed into the shelves of alive hell,
the unimaginative sleep, repetition without change & fat sheriffs who watch for doom in the mattress …
hallaluyah & bossman of the hobos cometh