ここに来るとちゃんと読んでいるつもりでも見逃しているものがあるんだなと気付けて面白いよ。
イヴァンが長老の部屋での対談もそうで、大審問官の部分も実はそうなのだが、

ただ……イヴァンの思想に基づいた現実的提案にたいして、どちらもそのすぐあとにゾシマ長老がその意見にあっさりと片をつけている。

僧院でに一幕において、イヴァンの意見のあとすぐに、実際今でも司法の罰というのは形だけにすぎず、キリスト協会があってこそ罪人にたいして本当の罰を与えているといっているし、
大審問官のあと、ゾシマ長老の遺言の形で、若い世代の思想は結局ロシアの人民を救済することができず、それこそキリスト協会の務めであると言っている。
今ふりかえってみてロシアがどういう足跡をたどったかをみると考えさせられる……

実は大審問官を重視する読解に自分が懐疑的なのは、みなここであっさり否定することを殆ど見なかったことにして話を進めているからで。
その点についてはみな関心がないのだろうか?