論争はその瞬間ひたとやんだ。が、長老は以前の席に着いてから、さあ続けてください、と勧めるように愛想よく一同をみまわすのであった。

このひとの顔のありとあらゆる表情をほとんど研究し尽くしたアリョーシャは、このとき彼が恐ろしく疲れ果て、強いて自らを支えているのを明らかに見てとった。

近ごろ彼は力の消耗のため、ときどき卒倒することがあった。その卒倒の前と同じような青白い色が、今彼の顔に広がっている。くちびるも白けていた。

しかし、明らかに彼はこの集まりを解散させたくない様子であった。そのうえに、何かまだ目的があるらしい、――が、どんな目的であろう? アリョーシャは一心に彼に注目していた。
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ぼくは、このところの描写を心を込めて手入力した。なぜなら、アリョーシャが師を愛し、その精神力を信頼しきり、なおかついっさいの真理を「その顔から読み取ろうとする」様子に、心がふるえるからだ。
そして自分自身がアリョーシャの気持ちになって、こう自問した。

「ゾシマはなぜ?この集まりを解散させたくないのかな?」
「彼にはどんな目的があるのかな?」