もう少し補足すると、教会的社会裁判を原文にあたると、
 церковно-общественном суде
 となります。あえて柔らかく訳すなら、教会社会における裁判となります。
 この部分はちょっと直訳しすぎですね。ただ、同じルールで全文を訳しているからこその米川訳のリズムなので、ここだけで訳として悪いとは判断できません。
 日本語として柔らかく訳すことだけ考えて訳し方が一定でなければ、文章にも躍動感がでない。

 それで、церковно-общественном судで検索してもカラマーゾフの原文しかヒットしないのをみるに、こういう語彙があるわけではないようです。
 おそらくЦерковный суд(教会裁判)のことでしょうが、日本語でこれを解説してるところはぱっとあたるだけではみつかりません。
 ロシア語のWIKIはちょっと専門的な用語が多すぎて私の手におえません。
 正直歴史にも正教にも詳しくないもので、おそらくカトリックの教会法に準ずるものがあり、また教会内に裁判がある、くらいしかわかりませんね。

 ちょっと脇道にそれますが、今年四月にロシアでエホバの証人が過激主義団体に認定され、活動が禁止されました。
 エホバの証人の印刷物でロシア正教の教理を批判したことが原因です。
 今のロシアでも政治と宗教の関係は密で切り離せないもののようですね。