江川訳は日本語としての読みやすさを重視し、
未知谷版の翻訳者である工藤正廣は原書に忠実に訳すことに留意したと聞いている
であるのなら多少の読みにくさは仕方ないのかもしれない

しかし英訳本で500ページほど(しかも訳注や訳者覚え書きも含めて)の作品が
日本語になるとあれほど長大になるのはどういう事なんだろうか
また、英語圏ではRichard Pevear & Larissa Volokhonsky による新訳の評価が高く
日本の研究者も参照しているくらいだ
実際、従来の訳本と比べると初っ端から違う

しかし>>75によると英語版ですら「ロシア語を英語に置き換えただけ」となる
原書に忠実であることを心がけ、索引も充実している未知谷版や世評の高い英語新訳版ですら
原書で展開されている世界観に達してはいない、と言うことになる

たしかにドクトル(医者)ジヴァゴ(生命)なんて
ロシア語の微妙なニュアンスが分からないと理解できないし
パステルナークはそういう微妙なニュアンスを駆使する作家だと理解されている
この場合の「生命」も例えばトルストイが「人生論」などで展開している
生命論を継承した上でのものだろうから
そういうことが分からないと単なるスペクタルロマンでおわるし
世間の受け止め方もそういうものだったと思う