「 神 なんか 信じ なく たって 人類 を 愛する こと は できる でしょ う、 あなた は どう お 考え です?
ヴォルテール は 神 を 信じ て い なかっ た けど、 人類 を 愛し て い た じゃ あり ませ ん か?」
(『 また はじまっ た ぞ、 また!』 と 彼 は 腹 の なか で 思っ た)

「ヴォルテール は 神 を 信じ て い た けど、 その 信仰 は 浅かっ た らしい ね、 だから 人類 にたいする
愛 も 浅かっ た ん じゃ ない ん です かね」 と、 アリョーシャ は もの静か に、 ひかえ め に、 ごく 自然
な 言い方 で そう 言っ た。 それ は まるで 同年輩 の 者 か 年上 の 者 を 相手 に 話し て いる よう な 口ぶり だっ た。

コーリャ は、 そうした アリョーシャ の ヴォルテール について の 自分 の 意見 にたいする 自信 のなさ
そう な 様子 や、 まるで 小さな コーリャ に その 問題 を 解い て もらお う とでも する よう な 態度 に
まったく おどろい て しまっ た。

「ところで あなた は ヴォルテール を 読ん だ こと が ある ん です か?」 と アリョーシャ は 言っ た。
「いや、 読ん だ こと が ある と いう ほどでも ない ん です が…… しかし『 カンディド』 は 読み まし
た よ、 翻訳 でね…… 古くさい、 なっ て ない、 おかしな 翻訳 で……」( また はじまっ た ぞ、 また!)