自分の理解では、もう一歩でたどり着いた人物をあげるならばキリーロフなんだ

「すべてです。人間が不幸なのは、自分が幸福なのを知らないから、それだけです。これがいっさい、いっさいなんです! 知るものはただち幸福になる。
その瞬間に。あの姑が死んで、女の子が一人で残される――すべてすばらしいぼくは突然発見したんです」

「すばらしい。赤ん坊の頭をぐしゃぐしゃに叩きつぶす者がいても、やっぱりすばらしい。叩きつぶさない者も、やっぱりすばらしい。
すべてがすばらしい、すべてがです。すべてがすばらしいことを知る者には、すばらしい。
もしみなが、すばらしいことを知るようになれば、すばらしくなるのだけれど、すばらしいことを知らないうちは、ひとつもすばらしくないでしょうよ。ぼくの考えはこれですべてです、これだけ、ほかには何もありません」