>>243
死後の世界をどういう形でさえも信じること、再会の可能性を与えられていること、ドストエフスキーの最も書きたかったことはこの「希望」だったのかもしれない
ただ、来世ではなくこの世で亡き者にもう一度再会したいと願う心情は、時に永遠さえも支払うほどの対価になりうるだろうし、生者なら誰でも同じ思いにかられるだろうけどね

「カラマーゾフさん!」コーリャが叫んだ。
「僕たちはみんな死者の世界から立ちあがり、よみがえって。またお互いにみんなと、イリューシェチカとも会えるって、宗教は言ってますけど、あれは本当ですか?」
「必ずよみがえりますとも。必ず再会して、それまでのことをみんなお互いに楽しく、嬉しく語り合うんです」
半ば笑いながら、半ば感激に包まれて、アリョーシャが答えた。