自己の心と行いの醜さが、読心装置なる幻想を抱く根本原因であった
その自家恐怖により、脳は壊れ、もはや後戻りできない記憶は、殆んど自動的に馬鹿な妄想をカタカタ打ち続けた
テレビから歌声が響いた
「未来は君のてのひらのなか」
記憶は釣られるようにフト手を止めて、てのひらをじっと凝視めた
垢だらけだった
何の暗示か生命線は、地図上のドス黒いドブ川のようだった