三田文学にドイツ特集があって面白かった
トーマス・ベルンハルトの「修正」の冒頭
イリヤ・トロヤノフの草稿も面白かったが、トーマス・メレという作家の「背後の世界」ダイジェスト版が最大の収穫だった
1975年生まれの「現代ドイツの最重要作家の一人」とされるが、躁鬱病や薬物、アルコール中毒で精神病院に入院・脱走を繰り返している作家
「己の身を最後の一枚まで削り落とすほどの圧倒的な暴露芸」
躁状態で蔵書をすべて売り飛ばしたことからスタートし、鬱状態で蒐集を喪失したことを嘆き、三年後に再び蔵書やレコードのすべてを売り払う
好きな作家はナボコフ、ムジール、バッハマン、ベルンハルト、ブロッホ、ヘルダーリン、エルフリーデ・イェリネク
古代ギリシア語や神学部で聖書のゼミを頭に詰め込み、文学を志す超高学歴エリート
翻訳と散文と演劇の三つのジャンルで突然ノミネートされるが、その授賞式で守衛に大声を上げて喧嘩を売りつける
ギプスをした出版社の女社長にとびかかる
ヨーゼフ・ウィンクラーというオーストリアの「青春時代の文学ヒーロー」に会い、彼のどの本が最高傑作であるか狂人のようにまくしたてる
ハントケ、フーコー、デリダ、デーブリーンの名前が乱舞する