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ドストエフスキーPart50
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0952吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 16:40:44.89ID:jZ/UhpQ6
『主よ、青春を祝福し
たまえ!』私はそのとき眠りに就く前に、若者のために祈ってやった。『神よ、自ら創り給いし人々に、や
わらぎと光を送りたまえ!』
0953吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 16:44:34.27ID:jZ/UhpQ6
『わたくしは、』と彼は語を次いで、『偉大なる精神力をあなたの中に看取することができます。何故かと
言うと、あなたはすべての人から、嘲笑を受けなければならないような事件に処して、敢然と恐れげなし
に真理のために奉仕されたからです。』
0954吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 16:58:00.86ID:jZ/UhpQ6
(G)祈祷 愛 他界との接触
若者よ、決して祈祷を忘れてはならない。お前の祈りのたびごとに(もしその祈りが真心より出たもの

ならば)、新しい感情が 閃くだろう。その感情の中に、これまで知らなかった新しい思想が生まれてき

て、お前に力を 賦与するだろう。こうしてお前は、祈祷が教育であることを悟るに相違ない。もう一つ覚

えておかなければならぬことがある。ほかでもない、毎日暇のあるたびに、『神よ、今日 御座の前に召さ
れたる人々を憐れみたまえ』と心の中で念ずるのだ。何故かと言うと、毎時間毎時間、いや、一刻一
刻、数千の人が地上の生活を棄てて、その霊魂が神の大前へ召されて行く、――彼らの中の多数
は、悲哀と憂悶の中に淋しく人知れずこの土と別れて行くのである。

しかも誰一人としてそれを憐れむ
者もなく、そのような人が生きていたかどうか、それすら知っている者もない。その時こういう人の後生を

弔うお前の祈りが、地球のまるで反対の側から神のみくらをさして昇って行く。お前とその人が互いに知

りあっておらぬとしても、なんの 障りもないことである。恐怖を抱いて神の大前に立った人の霊魂は、自
分のようなもののためにも祈ってくれる人がある、自分のような者をも愛してくれる人が地上のどこかに
残っていると思っただけで、その瞬間に感激の情を覚えるだろう。それに神様もお前たちふたりをなおい
っそう、慈悲深い目をもって眺めて下さるに違いない。実際、お前でさえそれほど憐れみを持っているの
だから、お前よりも無限に慈悲ぶかくお優しい神様が、なおさら憐れんで下さるのは当然ではないか。
神様はお前のためにその人をも赦して下さるに違いない。
0955吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 17:00:05.28ID:jZ/UhpQ6
諸師よ、人間の罪を恐れてはならない。罪あるままの人間を愛すべきである。なぜならば、これはす
でに神の愛に近いもので、地上における愛の頂上だからである。あらゆる神の創造物を、全体としても
部分としても、一様に愛さなければならない。一枚の木の葉、一条の日光をも愛さなければならない。
動物を愛し植物を愛し、あらゆる事物を愛すべきである。あらゆる事物を愛すれば、やがてそれらの事
物の中に神の秘密を発見するだろう。一たびこれを発見すれば、もはやその後は毎日毎日、次第次

第に、いよいよ深く味わってゆくのみである。こうして、ついには円満 無碍の宇宙的な愛をもって、全世
界を愛し得るようになる。人はまた動物を愛さなければならない。彼らは神より思想の源と、平穏なる
喜悦とを授かっているからである。彼らを苦しめ悩まし、彼らより喜悦を奪いなどして、神のみ心に逆ら

ってはならない。人間は動物の上に立って君臨すべきものでない。なぜならば、彼らが 無垢の身である

に反して、人間は偉大なる資質を有していながら、己れの出現によってこの土を腐敗させ、その 腐爛し

た 足迹を残してゆくからである、われわれは千人が千人ことごとくそうなのである! 子供は特に愛さな
ければならない。それは彼らが天使のように無邪気で、我らの心の歓びと 浄めのために生き、なおその
上に我らに対する指標ともなるからである。
0956吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 18:34:10.79ID:gSWB2UTD
>>955
薬は忘れずにしっかり飲めよ
0957吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 21:14:44.20ID:LxFkjGII
ゾシマ「外に出ろ」
ポルフィーリ「空気を吸え」
0958吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 22:51:09.33ID:jZ/UhpQ6
二 こうした瞬間
パイーシイ神父が自分の『可愛い少年』の帰来を予言したのは、確かに間違いでなかった。それどこ
ろか、かえってアリョーシャの心理状態の、真の意味を洞察したのかもしれない(その洞察は充分なもの
ではないけれど、しかしなんと言っても、眼力の鋭いところがあった)。とにかく露骨に打ち明けたところを

いうと、 筆者自身でさえ、自分の心から愛している年若い主人公の生涯におけるこの不思議な、漠然
とした一瞬間の意義を正確に伝えることは、今のところ非常に難かしい仕事なのである。

アリョーシャに
向けて発せられた『一体お前まで信仰の薄い人たちと同じ仲間なのか?』というパイーシイ神父の悲し
い問いに対して、筆者はもちろんアリョーシャに代わって断固たる調子で、『いや、彼は信仰の薄い人た
ちと同じ仲間ではない』と答えることができる。そればかりか、この中には全く反対なものが含まれている
くらいである。

つまり彼の惑乱はすべて、あまりに多く信仰したが為に生じたのである。しかし、とにかく惑
乱が生じた。しかもそれは大分しばらくたった後までも、アリョーシャがこの日を目して自分の一生におけ
る最も苦しい、宿命的な日の一つと数えたほど、悩ましい惑乱なのであった。
0959吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 22:53:06.16ID:jZ/UhpQ6
が、もし面と向かって、『彼の心にああした憂悶や不安が生じたのは、長老の遺骸が即座に快癒の
奇跡を顕さないで、反対に早くも腐敗し始めたからだろうか?』と訊く人があれば、筆者はこれに対して
ためらうことなく、『そうだ、実際そうなのだ』と答えるだろう。

ただ筆者は、あまり性急にわが少年の純潔
な心を冷笑しないよう、読者に乞わなければならない。筆者自身に至っては、彼のために謝罪しようと
いう気もなければ、彼の単純な信仰を年の若いためとか、または以前修得した科学的知識の浅いた
めとか、そんなことを言って弁解しようという気もさらにない。それどころか、かえって彼の心情に真底から
尊敬を払っている。これはきっぱり明言しておこう。

実際、世間には非常に注意ぶかく心的印象を取り
入れて、人を愛する態度も熱烈でなく生ぬるいし、その知性も正確ではあるけれど年に合わせてあまり
分別くさい(したがって安価なものである)、と言ったような青年もずいぶんある。こういう青年は、くりかえ
していうが、わが主人公の心に起こったようなことを避けたに違いない。しかし、時と場合によっては、た
とえ無分別だろうとも、広大な愛から生じた熱情に没頭した方が、全然避けてしまうよりも尊敬に値す
ることがある。若い時にはなおさらそうである。いつもいつもあまり分別くさい青年は前途の見込みがな
く、したがって人物も安っぽい......

これが 筆者の意見である! 『しかし、』と、また分別のある人々は
叫ぶだろう。『すべての青年がそのような偏見を信じるわけにゆかぬではないか。それにお前の好きな青
年は万人の模範ではないからな。』これに対して筆者はまたこう答える。『さよう、私の青年は信じてい
ました。神聖犯すべからざる信仰を抱いていました。しかし私はなんと言っても、彼のために謝罪なんかしません。
0960吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 22:55:05.82ID:jZ/UhpQ6
その時アリョーシャが奇跡を必要と
したのは何かの信念のためではない(そんなことは全然ない)。また何か以前先入主となっていた観念
が、いち早く他のものを圧倒することを欲したためでもない、

――おお、決して、決してそのようなことは
ない。この問題において、彼の心中第一の場所を占めているのは一つの顔である。ただ顔だけである、

――彼の愛してやまぬ長老の顔である、彼が崇拝の極度に達するまで尊敬していたかの正しき人の
顔、これなのである!

彼の若く清き心に潜んでいる『ありとあらゆるものに対する』愛は、前の年からそ
の当時へかけて、始終ただ一個の人物に向かって集注せられていた。その愛し方は変則的なものであ
ったかもしれない、少くとも激発的なものであったかもしれないが、――とまれ、今は世になき長老一人
に集注されていたのである。

実際この人物は疑う余地のない正しい理想として長いあいだ彼の眼前に
立ち塞がっていたので、彼の若々しい精力と努力は、ことごとくこの理想一つを目ざして突進しないわ
けにゆかなかった。それゆえ、ときどきその他の一切を忘れてしまうことさえあった
0961吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 22:57:14.49ID:jZ/UhpQ6
しかし彼に必要なのは、くりかえして言うが、奇跡で
はなく『最高の正義』であった。ところがこの正義は無残に破られた、と彼は思いこんだ。これがために、

彼の心は不意に 惨たらしく傷つけられたのである。この『正義』が、アリョーシャの期待のうちで事件の進
展とともに奇跡の形をとり、それが敬愛する指導者とともに猶予なく出現するものと期待していたのも、
決して無理はないのである。

現に僧院中でも、アリョーシャが智慧の高い人としていた僧侶たち、例え
ばパイーシイ神父の如き人ですら、同じように考察し同じように期待していた。で、アリョーシャは全然
疑惑をもって自分を苦しめるようなことなしに、すべての人と同じような形式を自分の空想に被せてい
た。それにもうずっと以前から、まる一年の僧院生活の間じゅう、この空想は彼の心中にちゃんと組み
立てられてしまって、こういうふうに期待するのが習慣のようになっていた。しかし、彼が渇望していたのは
正義であって、単なる奇跡ではない!

しかるに世界中の誰よりも、一番高い位置に昇るべきものと思っていた人が、当然受けねばならない
光栄を与えられないで、かえって思いがけなく地べたへ引きずりおろされ、顔へ泥を塗られたではない
か! なんの為だろう? 誰の裁きだろう? 誰があのような裁きをすることができたのか?――これが

彼の世馴れぬ処女のような心を悩ました疑問なのである。彼が心から 憤懣と侮辱を感じずにいられなかったのは、あの正しきが中にも取り分け正しい長老が、自分よりずっと低いところに立っている軽薄な
群衆の毒々しい嘲笑に委ねられたことである。たとえ奇跡など全然なくても構わない、奇跡的なものが
少しも現われないで、即刻期待が満足せられなくても構わない、――けれど、あの悪名はなんのため
に被せられたのだ、あの汚辱はなんのために与えられたのだ? 意地悪い僧たちのいわゆる『自然を超
越した』急な腐敗はなんのためだ?
0962吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 23:00:10.66ID:jZ/UhpQ6
ああ、神はどこにある、神のみ手はどこにある、なんのために神は『最も必要な

瞬間に』(とアリョーシャは考えた)そのみ手を隠してしまって、盲目で 唖のような、無慈悲な自然律に屈
従する気こなられたのであろう?

こういうわけで、アリョーシャの心は血潮に湧き立ったのである。そうしてもちろん、前にも言った通り、
彼の目前には世界じゅうで誰より一番愛している人の顔、しかも『汚辱を受け悪名を被せられた』人の
顔が浮かんでいるのであった。もしわが主人公のこうした訴えが、軽薄で無分別だというならそれでもよ

い。しかし、 筆者は三たびくりかえしていうが(これもやはり軽薄だという非難に対しては、はじめから同
意を表しておく)、わが青年がこういう時にあまり分別くさくないのを、筆者はかえって喜んでいる。なぜな
ら、分別は馬鹿な人間でない限りいつでも浮かんで来るものだが、しかし愛に至っては、こういう大事な
時に青年の心に湧かなかったら、決して湧き出す時がないからである。けれど筆者はこの際、ある一つ

の事実を黙過したくない。それはアリョーシャにとって運命的な、しかも 混沌たるこの瞬間に当たって、ほ
んの束の間ではあるが、彼の心に浮かんで来たある奇怪な現象である。彼の心に新たにちらと浮かん

だある現象というのはほかでもない、昨日兄イワンの言ったことが、今しきりにアリョーシャの記憶に 甦っ
て、妙に悩ましい印象を与えるのであった。それがちょうど、今という時なのである。とはいえ根本的な、
先天的な信仰が、心の底で動揺し始めたわけではむろんない。彼は自分の神を愛している。今とつぜ
ん不平を訴えはしたものの、確固たる信仰を有している。が、それでも昨日の兄の話を思い出すにつけ

てなんだか妙に漠然としてはいると、しかし悩ましく毒々しい感触が、今また急に彼の胸に 蠢きだして、
次第に強く外へ頭をもたげようとする。
0963吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 23:01:47.95ID:jZ/UhpQ6
アリョーシャは頭を上げて起き直り、木立に体を寄せかけた。彼は泣いてこそいなかったが、その顔は
苦痛の表情を示し、その眼差しにはいらだたしげな色が浮かんでいた。もっとも、彼はラキーチンを見な
いで、どこかわきの方を眺めていた。
「君には分かるまいが、顔つきがまるきり違ってしまったぜ。以前あれほど評判の高かった柔和さは、少
しもありゃしない。君だれかに腹でも立てたのかね? 誰か失敬なことでも言ったのかね?」
「あっちへ行ってくれ!」不意にアリョーシャがこう言った、依然として相手の方を見ないで、大儀そうに片
手を振りながら。
0964吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 23:02:53.36ID:jZ/UhpQ6
アリョーシャはとうとう彼の方を向いた。しかし、やはり妙にぼんやりした様子で、相手の言うことがよく分
からないふうであった。
「一体君はあのお爺さんが臭い匂いを立て出したので、そんなに......しかし、まさか君はあのお爺さん

が、とうに奇跡の一幕を演じるだろうと、真面目に信じてやしなかったろう?」再びこの上ない 真摯な驚
きに移りながら、ラキーチンはこう叫んだ。
「信じてたよ、そして今でも信じてる、むしろ信じたいんだ。これからさきも信じるよ。さあ、それから何が

訊きたいの?」とアリョーシャはいらだたしげに叫んだ。
0965吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 23:07:45.69ID:jZ/UhpQ6
四 ガリラヤのカナ
アリョーシャが庵室の入口までたどりついたのは、僧院の慣わしからいえばもはや非常に遅かった。門

番は特別な通路から彼を入れてくれた。もう九時が打った、――それは、すべての人にとって 煩い多か
りし一日の後に訪れた、一般の休息と安静の時である。

アリョーシャはおずおずと戸を開けて、長老の
庵室へ足を入れた。ここにはいま棺が据えられてある。部屋の中には、棺に向かって淋しく福音書を読
んでいるパイーシイ神父と、若い見習い僧のポルフィーリイのほか、誰もいなかった。ポルフィーリイは昨

夜の談話と今日の混雑に疲れ果てて、床の上で若々しい深い眠りを 貪っていた。パイーシイ神父はア
リョーシャの入った物音を聞いたけれども、その方を振り向こうともしなかった。アリョーシャは戸口から右
手の隅の方へ曲がって行き、跪いて祈祷を始めた。彼の胸は一杯になっていたが、妙に茫として、これ

という 纏まった感じは一つとして浮かんで来なかった。それどころか、さまざまな感じが 緩やかによどみな
い回転をしながら互いに消し合おうとしていた。しかし、心は不思議な甘い感じに浸っていた。アリョーシ

ャはこの事実に驚いた。彼は再び目の前にある棺を見た、――四方からことごとく 蔽い尽された、いとも

貴い 亡骸を見た。しかし今朝ほどの泣きたいような、 疼くような、悩ましい 哀隣の情はもはや彼の心に
なかった。彼は神聖な物に対するように、入口のすぐそばにある棺の前へ身を投げ出した。けれど歓喜

の情、――歓喜の情が彼の理性と感情をぱっと照らしだした。庵室の窓が一つ開け放たれて、 爽やか
なすがすがしい空気はしんと静まり返っていた――『とうとう窓を開けたところを見ると、匂いがいよいよひ
どくなったんだな』とアリョーシャは考えた。しかし、つい先頃まで不名誉と思われた、腐屍の匂いに関す

る想念も、今はあの時のような憂悶も 憤懣も呼び起こさなかった。
0966吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 23:09:21.05ID:jZ/UhpQ6
彼は静かに祈り始めたが、まもなくその祈りが機械的のものにすぎない、ということを自分でも感じた。

思想の断片は彼の心をかすめて、小さな星のように 閃いたが、すぐほかのものとかわって消えて行くので

あった。けれどそのかわり、何か心の 渇きを癒やすような、完全な、しっかりしたあるものが彼の魂を領し
ていた。彼は自分でもそれを自覚した。ときおり彼は熱誠を込めて祈り始めた。何か妙に感謝したいよ
うな、愛したいような欲望が込み上げてくる......けれど祈りを始めても、すぐふいとほかのことに心が移っ
たり、妙に考え込んだりして、祈りも、祈りの妨げをするものも、ことごとく忘れてしまうのであった。パイー

シイ神父の 読誦の声に耳を傾け始めたが、疲労しきった体は、次第次第にまどろみに落ちて行く......

『婚礼? なんだろう......婚礼なんて......』という考えが、旋風のようにアリョーシャの頭脳を疾駆し
0968吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 23:16:22.76ID:jZ/UhpQ6
感謝……

『あの女もやはり幸福を得て......
饗宴に出かけて行った......なんの、あの女は 小刀など持って行
きはしない、決して持って行くものか......

あれはただ『哀れな』泣き言にすぎないのだ......そうとも......

哀れな泣き言はぜひ赦してやらなければならない。哀れな泣き言は心を慰めてくれる......


これがなかったら、悲哀は人間にとって、ずいぶん苦しいものとなったに違いない。

ラキーチンは路地へ入ってしまった。ラキーチンが自分の侮辱を考えている間は、
いつでも露地へ入って行くだろう......ところが本当の
道はどうだ......本当の道は広々として、まっすぐで、明るくて、水晶のように澄み渡って、向こうの果て
には太陽が輝いている......おや?......何を読んでいるのかしら?』
0969吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 23:19:02.77ID:jZ/UhpQ6
あんたが祈ってやればいい

初めて奇跡を行う時に当たって、人間の悲しみでなく悦びを訪れた、人間の悦びを助け
た......「人間を愛するものは、彼らの悦びをも愛す......」これは亡くなった長老が絶え間なくいわれた
ことで、あのお方の主な思想の一つだった......悦びなしに生きて行くことはできない、とミーチャは言っ

......そうだ、ミーチャ......すべて、真実で美しいものは、一切を赦すという心持ちに充ちている、――
これもやはりあのお方のいわれたことだ......』
0970吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 23:21:56.86ID:jZ/UhpQ6
先生こそ誰よりもいちばんに みんなと居たかった

母の偉大な魂は、そのとき彼が降って来たのも、あながち恐ろしい大功業の為ばかりでない、ということ
を見抜いたのだ。自分の貧しい婚礼に愛想よく彼を招いた無知な、とはいえ正直な人々の純朴な罪
のない楽しみも、彼の胸に感動を与えられるということを

『おや、これはどうしたことだ、これはどうしたことだ? なぜ部屋が広がり出したのだろう......ああそう
だ......これは婚礼だ、結婚式なのだ......むろんそうだとも。ほら、あそこに客人たちがいる、ほら、あそ
こに客人たちがいる、ほらそこに新郎新婦が座っている。そうして群衆は楽しそうな様子をしている、し
かし宴を司る賢者はどこにいるのだろう? ところであれは誰だ? 誰だろう? また部屋が広がって来
たぞ......あの大卓の陰から立ち上がったのは誰だろう? え......一体あのお方がここにいらっしゃるの

かしらん? あのお方は棺の中に 臥ていらっしゃったではないか......しかし、やはりここにいらっしゃるの
だ......立ち上がってから僕を見つけて、こちらへ歩いておいでになる......ああ!』

そうだ、彼の方へ、彼の方をさしてその人は進んで来る。顔には 小皺の一杯ある、痩せた小柄な老
人が、静かに悦ばしげに笑っている。棺はもはやそこにはなかった。彼はゆうべ客人たちを集めて、談話
を交換した時と同じ着物をきている。顔全体が開け放したような表情を帯び、眼はきらきらと輝いてい
る。これはどういうわけだろう。きっとこの人も婚礼に呼ばれたに違いない、ガリラヤのカナの婚礼に招か
れたに違いない......
0971吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 23:24:47.20ID:jZ/UhpQ6
霊鷲山へ。治療に行く

「やはり、そうじゃ、倅、やはり呼ばれたのじゃ、招かれたのじゃ。」という静かな声が彼の頭上で響いた。
「お前はどうしてこのような所に隠れて姿を見せぬのじゃな......さあ、お前も一緒に皆の方へ行こう。」
あの人の声だ、ゾシマ長老の声だ......こうして自分を呼ぶ以上、人違いだなどというはずがない。長
老はアリョーシャの手を取って引き起こした。で、こちらは突いていた膝を伸ばして立ち上がった。
「面白く遊ぼうではないか。」と痩せた小柄な老人は語をついだ。「新しい酒を飲もう、偉大な新しい歓
びの酒を酌もう。見ろ、なんという大勢の客だろう! そこにいるのが新郎に新婦じゃ。あれは婚礼を司

る賢者が、酒を試みておるのじゃ。どうしてお前はそう驚いた顔をして、わしを見るのじゃな? わしは 葱
を与えた為にここにいるのじゃ。ここにいる人は大抵葱を与えた人ばかりじゃ。わずか一本の葱を与えた
人ばかりじゃ......ときに、わしらの仕事はどうじゃ? お前も、わしの静かなおとなしい少年も、今日一人の
渇した女に、一本の葱を与えたのう。はじめるがよい、倅、自分の仕事をはじめるがよい......とこ
ろで、お前にはわれわれの『太陽』が見えるか、お前には『あのお方』が見えるか?」

「恐ろしゅうございます......見上げる勇気がございません......」とアリョーシャは 囁いた。
0972吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 23:27:36.37ID:jZ/UhpQ6
僕も私も霊鷲山へ行き先生と生まれ会う

「恐れることは少しもない。われわれにはあの偉大さ、あの高さが恐ろしゅうも見える。しかし、限りなくお
慈悲ぶかいのはあのお方じゃ。今も深い愛のお心からわれわれと一緒になって、われわれと遊び戯れて
おいでになる。そうして客の歓びが尽きぬために、水を酒に変えて、新しい客を待ち受けておいでにな
る。永久に絶ゆることなく新しい客を招いておいでになる。そら新しい水を運んで行く。ご覧、器を運ん
で行くではないか......」

しかしなぜ先生は私を待っていてくれなかったのか。3週間と約束したのに
0973吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 23:29:59.61ID:jZ/UhpQ6
何ものかがアリョーシャの胸に燃え立って、とつぜん、痛いほど一杯に張りつめてきた。そして歓喜の涙

が心の底から 迸り出た......彼は両手をさし伸べて一声叫んだと思うと、眼が覚めた......

再び棺、開け放した窓、静かな、ものものしい、区切りのはっきりした読経の声が 甦った。不思議に

も彼は膝を突いたまま眠りに落ちたのに、今はちゃんと両足を伸ばして立っている。と、急に飛び上がる

ような恰好をして、速い、しっかりした歩調で三足ふみ出し、棺のそばにぴったりと寄り添った。その時パ

イーシイ神父に肩をぶつけたが、それには気もつかなかった。神父はちょっと書物から目を離して、彼の

方へ転じたが、青年の心に何か不思議なことが生じたのを悟り、すぐまたその目をそらしてしまった。アリ

ョーシャは三十秒ばかり棺の中を見つめた。なき人は胸に聖像を載せ、頭に八脚十字架のついた頭

巾を 被り、全身をことごとく蔽われたままじっと横たわっている。彼は、たった今この人の声を聞いたばか

りで、その声はまだ彼の耳に響いている。彼はまたじっと耳を澄ましながら、なおも声の響きを待ち設け

た......が、突然身を翻して庵室の外へ出た。

僕は先生の手を握りそこに溢れる涙をそそいだ。死にたくないと──
0974吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 23:33:43.92ID:jZ/UhpQ6
先生はわたしの命だった。先生だけを思い魔を制してきた

彼は正面の階段の上にも立ち止まらず、足早に庭へおり感激に充ちた彼の心が自由と空間と 広闊

を求めたのである。静かに輝く星くずに充ちた空の 円天井が、一目に見尽すことの出きぬほど広々と頭

上に蔽いかぶさっている。まだはっきりしない銀河が、天心から地平へかけて二すじに分かれている。不

動と言っていいほど静かな爽やかな夜は、地上を蔽い尽くして、僧院の白い塔や 黄金色をした円頂閣

は、 琥珀のような空に輝いている。 奢れる秋の花は、家の周りの花壇の上で、朝まで眠りを続けようと

している。地上の静寂は天上の静寂と合し、地上の神秘は星の神秘と相触れているように思われ

た......アリョーシャは 佇みながら眺めていたが......不意に足を払われたように、地べたへ倒れ伏した。

彼はなんのために大地を抱擁したか、自分でも知らない。またどういうわけで、大地に残りなく接吻し

たいという、抑え難い欲望を感じたか、自分でもその理由を説明することができなかった。しかし彼は泣

きながら接吻した。大地を涙で潤した。そして自分は大地を愛する、永久に愛すると夢中になって誓うのであった。

貴方のしていることは無駄じゃないよ。応援しているよ。
0975吾輩は名無しである垢版2020/07/29(水) 23:40:56.82ID:jZ/UhpQ6
『おのが喜悦の涙をもって大地を潤し、かつその涙を愛すべし......』という声が彼の魂の中
で響き渡った。一体彼は何を泣いているのだろう? 彼は無限の中より輝くこれらの星を見てさえ、感
激のあまりに泣きたくなった。そうして『自分の興奮を恥じようともしなかった。』ちょうどこれら無数の神の
世界から投げられた糸が一斉に彼の魂へ集まった思いであり、その魂は『他界との接触に』震えている
のであった。

彼は一切に対してすべての人を 赦し、それと同時に、自分の方からも赦しを乞いたくなっ

た。おお! それは決して自分のためでなく、一切に対し、すべての人のために 赦しを乞うのである。
『自分のかわりには、また他の人が赦しを乞うてくれるだろう』という声が再び彼の心に響いた。しかし、

ちょうどあの円天井の毅然として 揺ぎのないあるものが、彼の魂の中に忍び入るのが、一刻一刻と明ら
かにまざまざと感じられるようになった。何かある観念が、彼の知性を領せんとしているような心持ちがす

――しかもそれは一生涯、いな、永久に失われることのないものであった。彼が大地に身を投げた時
は、か弱い青年にすぎなかったが、立ち上がった時は生涯ゆらぐことのない、堅固な意志を持った一個

の戦士であった。彼は 忽然としてこれを自覚した。自分の歓喜の瞬間にこれを直感した。アリョーシャは
その後一生の間、この瞬間をどうしても忘れることが出きなかった。『あのとき誰か僕の魂を訪れたような
気がする』と彼は後になって言った。自分の言葉に対して固い信念を抱きながら......
三日の後、彼は僧院を出た。それは『世の中に出よ』と命じた故長老の言葉にかなうものであった。

なぜ、先生に肩を差し出し、先生の杖とならなかったのか。なぜ、先生の苦悩と恐怖と痛苦をいたわらなかったのか。
なぜ、先生のお顔を見れなかったのか。なぜなぜ。そして今 親をも助けなかった自分が、先生をお救いできるのか。
0978吾輩は名無しである垢版2020/07/30(木) 13:25:25.44ID:8f3LQ5ao
以前ウィキペディアをウキウキしながら見ていて、
カラマーゾフの兄弟の邦訳の多さに感心した記憶があるけど、
実際はどうやらさらに多くて、
今回の邦訳は16番目らしいですね。
驚きを通り越して桃の木な数の多さです。
0979吾輩は名無しである垢版2020/07/30(木) 13:51:09.82ID:iD7JwUKU
昔の文学全集に入っていて文庫化されていない訳なんか多いんじゃないかな
自分は中公の全集で読んだけど、今ではそういうのは電子書籍で安く売ってるから読めるよ
0982吾輩は名無しである垢版2020/07/30(木) 16:11:09.69ID:KM9xcj+8
>>980
ウキウキをウィキウィキと言い換えて
"ウィキペディア"の"ウィキ"とかかるようにしたんですね?
わかります?"ウィキ"ペディアだけに"ウィキウィキ"
0983吾輩は名無しである垢版2020/07/30(木) 19:12:49.79ID:oUIC+PNt
死に恥を晒した偽聖人ゾシマ
池田大作も死体から悪臭を放つに違いない
0985吾輩は名無しである垢版2020/07/30(木) 19:21:23.42ID:NE/TZ4uQ
>>978
<ヽ` ∀´>「なんでこんなにカラマは人気があるニダか? たぶんチョッパリ特有の超ウルトラ権威主義の影響が大きいニダ」
0986吾輩は名無しである垢版2020/07/30(木) 19:23:27.62ID:NE/TZ4uQ
>>983
<ヽ` ∀´>「先生は死んでないニダ。ただボケて言動が怪しくなってるニダから、病院に幽閉されてるニダ」
0988吾輩は名無しである垢版2020/07/30(木) 19:54:24.36ID:9KE2gBzy
次スレたのんます
0989吾輩は名無しである垢版2020/07/30(木) 20:18:07.68ID:o6ijUAEo
スマホだから勃てられねえ
「キリスト教文学総合スレ(ドストpart51)」で誰かやってくれ(他力本願)
0991零余子垢版2020/07/31(金) 01:49:49.19ID:Ljay1s0z
次スレ立てましたよ。
0992吾輩は名無しである垢版2020/07/31(金) 05:43:31.73ID:+SWkoaFG
>>991

おつでごわす
0993吾輩は名無しである垢版2020/08/02(日) 00:20:20.78ID:fuj9M9YT
先生、来世もよろしくお願いします、ぐらいの感じで……。大間違いだった。

先生のもとに、はせ参じるためだもん」「真の勝利は、生きるか死ぬかじゃない。戦い
続けるってこと。広宣流布ですよ。治った姿を見せるより、戦い続けて語りたい。そこ
に、がんを超越した喜びがある」 

第六天の魔王が、家来に命じるんです。『各各ののうのうに随って・かの行者をなやま
してみよ』それでも駄目なら、俺が乗り込むぞと。第六天の魔王は強烈だ。命を奪いに
くるからね」「医学を超える妙法のリズムで戦うしかない。『命限り有り惜む可から
ず』だから。

戦う命のまんま、来世に行くんだ。病魔に対しては『鎌倉へ打ち入りぬ』の覚悟
ですよ。日蓮大聖人の声が聞こえるようだ」

『このやまひは仏の御はからひか・そのゆへは浄名経・涅槃経には病ある人仏になる
べきよしとかれて候、病によりて道心はをこり候なり』。

ここです。病ある人は、仏になるってことですよ。地に倒れた
人は、地によって立つようにですね、がんに倒れた人は、がんによって御書を深く命に
刻める」
「これでもか、これでもかと難が競う。朝は体がきつくて起きらんない。両手両足が痺
れて、時に唱題も苦しい。そうなったら、生死一大事血脈抄の一節が浮かぶんだ。

『在在諸仏土常与師俱生』たとえ死んでも、来世も先生と同じ所に生まれるから……。
そう捉えていた。甘っちょろい考えだったよ」

「師と生まれ合わせるには、弟子次第だよ。だって先生は若き日に、喀血してでも池田
先生を守ったでしょ。死闘を制したんだ。なのに弟子がぼやっとした信心では、師匠と
生まれることはできん。
0994吾輩は名無しである垢版2020/08/02(日) 00:20:51.77ID:fuj9M9YT
まさしく今、私は死闘を頂いた。『仏になる道は必ず身命をすつるほどの事ありてこ
そ』
千載一遇の時なんだ」おこがましいけど、私には責任がある
んです。私が頑張ればみんなは来世も先生と一緒なんだ。そう思うからね」

「確かに表向きは最悪の状態ですよ。だからこそ、三世につながる因を積めるんです。

実は心で一人一人に約束してました。
『必ず勝つから。生きるから』。あの瞬間、私の本当の命が始まった」
「終わりだと言われた命。生まれ変わった気持ちで先生に誓願していく。これなんだ。

先生の題目をキャッチするには、誓願の命じゃないと。先生に誓いながら、祈るんです。
一日一日を生き切ることが、師匠との契りだ。私はね、

三世の旅路の出発点にようやく立てたよ」

ありがとう。さぁ、これからだ!
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