「追撃行為やめ! 全軍、反転攻勢――!」
 潰走する敵軍両翼の追撃を放棄し、優れた機動力をもってして、戦場を反転する。
 序盤から一貫して戦いを優勢に繰り広げていた騎兵部隊が、中央に戻ってくる。
 そうしてエジンバラ中央の重装歩兵部隊の背後へと殺到したのであった。
 さらに三層に分かれて戦っていたウェルリアの中央歩兵団は、横一列だった状態から、半円を描くようにして戦陣を移動させていく。
 こうして重装歩兵が薄く伸びた形で、エジンバラ軍の左右にとりつく。
 すると、中央を突破し優勢に勝ち得たかに見えたエジンバラ軍は、いつの間にかどこを向いても士官学校部隊がいるという状況になっていた。
 包囲機動の完成である。
 こうして、士官学校部隊は、エジンバラ軍の戦力六千に対し、一千弱で包囲陣を敷くことに成功したのだった。
 戦場における包囲機動とは、敵の主戦力を非戦力化したうえで、最も効率的に自軍戦力を発揮できる最良の戦術である。
 ――包囲殲滅陣。
 敵が攻撃を予期できない側面や背後からの打撃は、非常に高い効力を発揮する。
 それは、心理的にも敵を圧迫することができ、戦術における最高の形の戦型であった。



――ハッキリ言おう
この流れで包囲とか出来るわけがない
キンクリ喰らった気分になったわw

>側面や背後からの打撃は、非常に高い効力を発揮
……そやね
けどそれって相手が密集してたら意味ないよね
だって背後も側面も味方だもん、前だけ向いて戦えばいいんだから
ってかさ包囲しちゃったら騎兵の機動力を活かせないよね
戦線が伸びて命令伝達は遅くなるし、戦力が薄くなるから各個撃破される可能性の方が高い

そもそも包囲って基本的に包囲は相手よりも(主に数的に)優位な状況でなければ、ほぼ成立しないんだよ
包囲はその数的優勢の効果をより決定的なものにする戦術