効果のない会話と無意味な視点変更は×
「改稿」
接待という気骨が折れる束縛から解放された私は新橋のあるスナックでビールを飲んでいたとき、ふと入り口を見ると一人の女が目に入ったのだった。
その女は、ちらりちらりと陰鬱そうな眼差しを私に流しており、私は欲望を感じた。
私はグラスを手に持ってその女の隣に席を移し、その女に付き合わないか、と言った。
断れるかと思ったが、女は頷きグラスを飲み干して立ち上がった。
ホテルの部屋に入るとすぐに女の胸に手を這わそうとしたが、女はその手をふりのけて、自分で洋服を脱ぎ始めた。
貧弱な胸だと思った。
男性のような筋ばった身体。
私は失望したが、女はベッドに横たわり、無言で股を開き、二本の指で肉蓋をひらいた。
女の性器は既にたっぷり濡れていた。
たまらず私はぱっくりあいた肉蓋に肉棒を押し込んだのだが、挿入した瞬間に、当時の私は思わずうめき声をあげてしまった。
女の肉は私の肉棒を強烈に締めつけてくるのだ。女は動かないが、性器が私の肉棒を強烈に締めこんでくる。
肉棒を強引に肉の壁を押し進み、引き下がるたびに私は射精を精一杯に我慢したが、到底、我慢できるものではない。
私は、あの味を思い出しただけで欲望を感じてしまう。
萎える暇もないのだ。数えきれないほど射精したと思う。
そのせいか、私はいつの間にか失神してしまった。
深い眠りから醒めたとき、女はもういなかった。
気がついたのは自分のマンションのベッドの上だった。
どのくらい経ったのか、どのようにして帰ってきたのかはわからないが、身の置き場の無いほどの激しい倦怠感と下半身の違和感だけははっきり記憶している。
股間にあるはずの突起物がなくなり、変わりに縦に走る割れ目があった。
何気なく指を割れ目に這わせてみたが、それはまさしく触り慣れた女のそれであった。
指を襞に触れると、やはり締め付けてくる。
あの女の肉蓋と同質の感触であった。
少々苦労して指を引き抜いて見ると、指はべったり濡れていた。
その後の様々な情報から、信じがたい話だが、どうやら昨晩の女に性器を奪われてしまったらしかった。
私はそれからスナックで毎晩男を漁り、そして何年ぶりかに、ようやく性器を取り戻した。
あの奇妙な事件以来、私はスナックに通い続けている。どの席でも、必ず男が無言で一人で酒を飲んでいて、日を増すごとに男の客は増えている。
そのスナックにはいつでも陰鬱そうな女が一人でビールを飲んでいる。
探るような視線を男たちに投げかけてくる。
私は、その女の企みが手に取るようにわかる。
もう笑うしかなかった。が、騙されてもよい気分でもあった。
と言うのも、性器を取り戻した後に、私は何人かの女と行為をしたが、どの行為も満足はできなかった。
あの肉の包みとはあまりにも次元が違った。
性器を取り戻した以降、私の中では常に欲望と恐怖がいつも交差しているのだ。
そもそも、私が失った性器を取り戻す最大の目的は、もういちどあの女と交えることであった。
おそらく、他の連中も私と同じく苦しんでいるに違いない。