>>489
まず全体の流れについて。
ただ単に編集者の主観視点で日常を眺めるだけの作品かと思ったら
14話ラストで唐突に校正の男の覚悟に唐突に興味を持ち始めて
ここまで編集者がそういったところに興味を持つような心の動きをしていなかったので違和感があり、
この作品をどうしたいのかがよく分からなくなった。

ラストへ至るその過程についてもところどころに難点が。
1話ずつの字数が少ないのと各話タイトルのキャラにある程度絞った流れになっているので読みやすくはあるけど、
その字数の少なさに加えて会話劇が中心になっているため
ストーリーの動きが少なく、かつその説明も不足しているきらいがある。

例えば13話〜14話で語られているグラドルの年齢詐称を指摘する名前の漢字について。
「親が漢字表記にしたがった」けれど断念した理由が出生届に出せる漢字のためとほぼ断定して話を進めているけど
現実には画数が合わなかったり祖父母が漢字名を嫌ったりと他の理由も考えられるので推理としては不十分というか勇み足。
解答から設問を作ったが説明が足りないという典型的なパターンに見える。
せめて「親が漢字表記にしたがったけど、なんか役所で受け取って貰えなかったらしくて」とまで書けば
狙い通りの解答に至る日常ミステリー的な設問に出来たと思う。

イヤホン使用禁止も道路交通法に記載されているわけじゃない。
少なくとも道路交通法にイヤホンの文字は無く、イヤホンを具体的に挙げるのは各都道府県の道路交通規則なので
(それでも大抵「イヤホーン等を使用して安全運転に必要な音が聞こえない状態での運転」が禁じられているだけ)
そもそも六法全書の奥付とイヤホン使用禁止は関係が無いと思われる。

地の文の言葉については概ねすんなり読める文章だけど
テーマがテーマだけに疑心暗鬼になってしまい引っ掛かってしまう部分が多い。
また、話数の切り方について。
シーン途中の中途半端なところで切ったり(8話→9話)一文を途中で切ったり(10話→11話)するのは
次への引きに使おうとしているんだろうけど、
読み手としてはひと連なりの話の流れがぶつ切りになっている印象がある。
前者は鈴川が怒鳴り込んできたところで、
後者は「何者かが大声を上げながらその場に現れた」ところまで書くのでは駄目だったのか。
例えば3話→4話のように、同じ台詞や風景描写を前話と後話で被らせたりすることで
流れを途切れさせないように書くことが出来るはず。

知識を誇るような作品は自分が知っているつもりのことでも読者のチェックを受けることになるので
それぞれ改めて確認すべきかと。