もう一本書けた。
全く違う切り口から行ってみました。

お題 『麦わら帽子』『四字熟語』『レーズンブレッド』『スマホゲーム』『青』

【流行りのゲーム】

 最近流行のスマホゲームがある。名は『スキャン・ダンジョンズ』
 スマホ内蔵のカメラで普通に売っている商品のバーコードを読み取れば、それに準じたアイテムが手に入り、自身のキャラを強化してダンジョンを攻略していくという物である。

 高い商品なら良いアイテムで手に入るとは限らず、安い商品でも良いアイテムは手に入る。ただし、同じ商品のバーコードでもある程度ランダム性があって、この商品なら必ず決まったアイテムが手に入るという訳でもない。
 一度読み込んだバーコードは一定期間は再び読み込む事も出来ないが、その期間は製品の値段毎に変わってくる。

 そして、このスマホゲームには課金アイテムが一切存在しない。噂では広告費を多く出している企業の商品のバーコードほどレアアイテムが出やすくなっているとかなんとか……?

 全ての商品のバーコードを自力で集めていく事はほぼ不可能に近い。そんな事をすれば青天井になり、どれだけお金があっても足りないだろう。
 実際にあらゆる物を大量に購入して読み込んだ人が、未購入でのバーコードの読み取りと間違われアカウント削除となり阿鼻叫喚な事になっていたりする。

 大量購入や未購入でのバーコードの読み取りには非常に厳しいゲームなのだ。あくまでも日常の中で購入した商品で楽しもうというのがこのゲームのスタンスなのである。


 学生である俺としても、そんな事に無駄に金を注ぎ込みまくる訳にもいかない。手持ちの物のバーコードは全て試した。いくつかレアアイテムも手に入れたけれど、次が欲しくなるのも人情というものだろう。

 だから、毎日の日課として昼休みに昼飯用に買った物のバーコードを読み取る事にしていた。同じ教室にいる友人も同じことをしている。
 昨日はメロンパン。一昨日はサンドイッチ。そして今日はレーズンブレッドだ。

「よし、激レア来い!」

 そう願いを込めながらレーズンブレッドの包装のバーコードを読み取った。アイテムゲットの演出が始まる。青から金、金から虹へと変われば激レアゲットとなるのだが、画面は青いまま進んでいく。

「あー、外れか……」

 手に入ったアイテムは『麦わら帽子』だった。見た目変更用のアイテムであり、特にレアでも何でもない。三日続けて外れだった。明日の昼は何を買おうか。

「よっしゃ! 激レアゲット!!」

 がっかりしていたら友人が激レアを当てたらしい。友人が読み取っていたバーコードは俺と同じレーズンブレッドの物。
 得意満面なその友人に少しイラッとしても仕方ないんじゃないだろうか。