>>549
完読しました。

やはり序章は削ったほうが良いでしょう。
物語との関係性は薄く、狙った効果も成功してるとは言い難いです。
なにより最も重要な1ページ目をこれに使うのは単純にもったいないです。

で冒頭に関して個人的な意見ですが。
このお話の場合、冒頭に転がすべきは死体ではなくアイドルの裸体ではないかと思います。
作品の雰囲気にもマッチしそうですし、読者の関心も引けるでしょうし
そこへの背徳感で「良くある良い話っぽく」見せずに済むかも知れません。
複製屋という仕事もビジュアルで楽に解説できそうです。
性玩具って設定として美味しいのに使い方がなんかもったいないなと感じました。


で前半なのですが、なにぶんクローン技術の設定周りに文章が割かれすぎているため
全体的に冗長に感じます。読者としてはその理系的な説明よりも
主人公のキャラクターをもっと深掘りしてほしかった面があります。
正直に言って、序盤はかなり退屈でした。

けどナタが出てきてからは別作品のように面白くなっています。

主人公の執着などが見え始め、人間らしいところがようやく垣間見えたからだと思います。
なので構成的にはナタの登場をもっと早めたいところです。序盤は加筆より削りたい。

加筆すべき部分はナタと主人公の交流の場面でしょう。
他の有象無象とは違いナタに抱いた感情や、主人公のキャラクターの掘り下げに
さらに10〜15ページくらいの演出があっていいと思います。

「最近よく笑うようになった」みたいに『変化』をさらっと流してしまうのは実にもったいない。
シーンとして「初めて笑った」場面を描き、それに驚く主人公、ナタに対する執着を自覚し始めるなど、
その辺の交流の部分をもっと微笑ましく描ければ、後の電話のシーンをより衝撃的にできますし、
終盤に向けてのシーンも輝くと思います。

個人的には納期を守ってるのももったいないと感じました。
これまで一度も納期を破らなかった主人公が、ナタのときだけ小野に言い訳つけて納期を破るなど、
名残惜しさのようなものをもっとシーン割いて演出しても良いと感じました。


補強は物語というよりキャラクターの掘り下げに重点を置くのがいいかと思います。
またメディアワークス文庫を狙うのであれば、「複製屋」という職業の魅力(もちろん倫理に反するダークな魅力)を
演出していくのも効果的かと思います。ストーリーの完成度も大事ですが、
職業モノとしてのジャンルの完成度なども狙って加筆していくのもありではないでしょうか。

設定への違和感は、しいて言えば睡眠学習周りでちょっと感じたくらいでしょうか。
ヘレン・ケラーに言葉を喋らせるのに結構苦労したわけですが、
本当に最初からナタのレベルで声を発することができるのかなあとか。
ただ大した違和感ではないですし、問題にもならないと思います。

締切まであと10日ですか。頑張ってください。