>>549
読んだ
多分、ホラーじゃなくて感傷小説(西洋分類での)の系譜だから一次で落ちたんだと思う
あとは坂口安吾の引用をしておいてホラーと言い切った度胸がまずい
求道的なものをホラーの引用にするのは、これはジャンルが違うだろと言いたくなる
その怖さも含めての求道の厳しさだと思うので

失礼な指摘になるが、ホラーというのは「怖いのが待っている予感」が常にあって息もつまる
感じなんだが、これは「ここはのんびりしてますよ、ここからはグロいですよ、これは胸が痛い
ですよ」という誘導をされながら読めるので、別に怖くない
後半の展開に対して畏れた、ならあるかもしらん
追憶や感傷を覚えたというのが最後まで読んだ感想だ

付け足しは他でも言われるように、冒頭が死体発見ではなくて小野の来訪で始まっていいと思う
最後まで読むと、クローニングの仕事すら職業気質よりも追及の代替と糊口を凌ぐことの
妥協点のように感じるし、小野でオチがつくなら始まりも小野でいいと思う

というかSFチックな海外的未来作品だと思ったら、日本の男性の感傷の物語が始まってるから
あらすじが質の悪いひっかけですらある
冒頭そのものはホラーではあるけれど、話の展開に対してやはり違う感じがする
推理小説とかだったらわかるんだが、これは事件を明らかにすることではなく「生きているとは
どういうことか、生きてきたとはどういうことか、救ったとはどういうことか」という事を感じさせる
事が主題のような気がするので、冒頭だけの犬がさんざん噛んだ指の持ち主が誰なのかが
明らかになってもどうなんだ、という疑問がある
繰り返すがオチの担当者が違うし

あとは、ナタとナタクと小野との生活をそれぞれ増やすことで、もう少し「完成して僅かな間だけ
は人間として個性を持って生きている姿」を見たかった
みんな「調整中にたどたどしく生きてきた姿」と「変質してもなお生きている姿」は見られるので、
これが足りない気がする
小野もカツサンドに昇格出来るくらいの油っ気、横柄さ、ドリィのパーソナルスペースに対して
みっちりしている感じが、もう少し見たかった

あとは、ただの引用をあんなに短い幕間にするくらいなら本編の中に入れた方がいいだろうし、
あんなに前面に「これから影響を受けてんすよ!」と告白するのは意味があるのか?と思う
青年との会話の中で普通に提示して、普遍的なテーマであること、それを受けての主役たちの
振舞いだった、と示した方がいいんじゃなかろうか
それと、読点が少なすぎて一つの文章が長すぎる気がする

電撃では主人公感がしないので、やっぱりMWなのか・・・?