神視点の書き方、続きね
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 人が人として生き、鬼が鬼として蠢く。人は人として死に、鬼は鬼として裂く。
 そんな光景がある。夜闇は幾度もそれを見た。そして通り抜けてきた。六年間の旅路で、
僧が一生かかって埋めるよりも多くの屍に触ってきた。
 つらい旅路たったはずだ。
 もっとも、彼女は昨日の記憶さえ持ってはいないのであるが。
 
 然して今の−−常に今の−−彼女は幸福そうだった。鳳から警告を受けていたことも忘れ、
村へ続く細道をはしゃぎ回りながら歩いていく。何が楽しいのか嬉しげに笑い、後ろの鳳との
差をさらに拡げていった。
 鳳は、それを見ながら無表情についていく。
「普通の村みたいだよ」
 夜闇が言った。鳳は、首を横に振った。
「まやかしだ」
 少しむくれて、夜闇が言い返す。
「誰も死んでないよ」
 と、村を指した。
「蜘蛛は、鬼とは違う。鬼は定めとして人を殺し、蜘蛛は喰うために人を捕らえる」
「牢屋なんてないよ」
 村は貧しいようだが、平穏さを連ねている風情だ。
「蜘蛛の糸は、細くて見えぬ」
 だが鳳は彼女の言うことなど、はなっから否定するべく構えているようだった。彼は続けた。
「人には見えぬのだ。蜘蛛は、人の弱さにつけこむ魔性なのだから」
「鳳には見えるじゃないか」
 ぶつくさと夜闇が言った
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神視点で書くということはね、情景描写から逃げられないということなの。
それこそ映画とか漫画のように、神様に見えている、背景はきちんと書かないといけないし、
キャラクターのヨヤとかオオトリの表情や仕草を丁寧に書いていかないといけないわけ。

もっというと、文末を上手くつなげて、セリフや行動が自然に流れるように
計算されてるのね。
ちなみに作者は当時、十七歳。
まあ、冒頭ちょっと見ても才能はあるのはわかるじゃん?

才能は真似出来ないし、それでも神視点で新人賞を狙うなら
このレベルを越えていかないといけないわけだ。




つまり、地の文で描写する力がないと、神視点で進行するのは無理なのよ。