もう10年以上前の話だが。

連載用の短編原稿のプロットを、
ざっと十本ほど没にされ、

これでは間に合わないからと「妥協」された一本にも、
微に入り細に入り修正を入れられ、

「もう作者名をアンタにしろよ」と言いたくなるような内容で掲載され、
その挙句に行きついた果てが、一年に満たぬ打ち切り。

好きなように描かせてもらってたら……と思う。そりゃあ思う。
無論、そうしてたらもっと人気が悪化してた可能性もあるが、
そうでない可能性もあるからな。

とはいえ、上司やら客やらの意見に押し潰され、
自分の意に添わぬことをしなくてはならない、なんてのは
大人だったら、社会人だったら、商売だったら、ビジネスだったら、
当たり前のこと。それで結果を出さねばならない。みんなそうしてる。

だから結局は、「自分が至らなかったせい」と思うしかないなと。

で今は、古巣だけは避けて、あちこちの新人賞に投稿してる。

「あの頃の作品群」は、とっくに本屋から消えて久しかったが、
今は全部電子書籍化されて、年に10〜20冊そこそこだが売れて、
雀の涙ほどだが印税も入ってる。ありがたい。

本音をいえば、もう無料配布してほしいけどな。
雀の涙の印税より、一人でも多くの人に読んでもらった方が嬉しい。
もちろん、それは現役新刊の売り上げを減らすことに繋がるから、
不可能だと解っているが。

と、こういう、俺のような身分の者にとっては。

電子書籍というものが世に出てくるまでの間、
「ブックオフの100円コーナー」には土下座しても足りないほど
感謝してたよ。自作の、「地上からの完全消滅」を避ける手段は、
それ以外何もなかったからな。この世に繋がるクモの糸だった。
この話は、某女性漫画家さんも言ってたよ。