単純先取りは駄目だって話で、クライマックスを上手く冒頭に置くってこと自体は否定しない。難しいけどやれれば凄い。
(投稿前にそう言ってるのに気が付いたが、自分の読解力の低さを呪うためにあえてそのままにするorz)
ついでだから、なろうから来た勘違い作品についてもう少し言うなら、あれは典型的な最後の山場先取りの失敗例だね。

視覚的に凄いバトルシーンを思いついたのはいいんだけど、それが言葉だけで見せられるか、どう見せるかを全く考えてない。
最後に持ってくるなら可能なんだ(実際、そうしてる)。舞台を説明し、メカを描写し、キャラを立ててからバトルに持っていける。
そうすると、固有名詞だけできちんとイメージも気持ちも分かるんで、テンポよく簡潔にバトル描いても、充分見えるものになる。

でまあ、作者はその最後の山場のバトルまでの流れは構想したんだろう。先にラスボスとのバトルを書いたかもしれない。
なかなかの出来と思った。そこで間違うんだな。最初のツカミが大事ってコツの使い方でさ。コツ自体は正しいんだけど。
描写を積み上げた実績あってはじめて分かるシーンを、何の工夫もなく出だしに突っ込んじゃった。
それじゃ作者にしか分からない、読者が読んでも分かりゃしない。読者がようやく分かるのはラストまで読み切った後。

一応、最後まで読んでみて出だしが分かって感心させるっていう方法もあることはある。だけどすんごく難しい。
あの作品、そういう狙いではないようだ。最後まで読んだらツカミとして成立する面白さがあるって、矛盾にしかならない。
最後まで読ませるためのツカミなんだから。あの出だしだと、なんとなくバトルの流れが分かる程度でしかない。

まずいことになんとなく分かるせいで、クライマックスのラストバトルが台無しなんだな。もう流れと勝敗が分かっちゃってるから。
出だしを読んだときには分からないとこも分かるようにはなるけど、もうおよそ知っていることの繰り返しでしかない。いわば再放送。
前より詳しく見えても、ハラハラドキドキ度がゼロ。そんなものが最後の大盛り上げになりゃしない。
出だしとラストが殺し合ってるのに作者も愉快な仲間たち()も気づかず、褒め合いっこで盛り上がってもねぇ。情けねえ。