>てっしーさん
感想、遅くなりました。
作品を読んで、まず一番の驚きは、「女」でした。この物語は中学三年生の女の子の一人称で語られます。自然なんです。女性が自伝的に書いたと言われても、何の違和感もない。
寄せてなくても「女」が滲み出ている。しかも、「女の子」と「女」の微妙な揺らぎが中学三年生という年齢を醸し出している。凄い!
物語には、「女の子」と「女」と「女性」と「母親」と「メス」が出てきます。
この書き分けを男性という客観から描くので、ストーリーに自伝的な重さがなく、軽快なドラマとして、作り物として仕上がっている。
これは身につけようとしてもなかなかできるものではない、作者の天性のもの、強力な武器だと思います。
私が女性をかいたら、オカマにすらならない、女装したおっさんになるでしょう。

ストーリーは流れるように進み、元ヤクザの神父、風俗嬢のヒモ、堅物の父親、母親と妻の仮面をかぶる女性、その友達、
登場人物が生き生きと自分の色彩を主張し、作者は結末に向けてその色を巧みに物語というキャンパスに描いてゆく。
その鮮やかさに筆力の高さを感じました。暴力シーンもハラハラしました。

惜しいところは、速筆の弊害とでもいえるかも知れませんが、中心とするテーマが埋没している感じがありました。それでも私にとって得るものはたくさんありました。
ありがとうございます。
また良い作品を読ませてください。

ワイさん、長文失礼しました。