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安価・お題で短編小説を書こう!3
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0001この名無しがすごい!垢版2018/04/04(水) 00:55:10.74ID:hc7Tm9Ma
安価お題で短編を書くスレです。

■お題について
現在、毎週日曜日の午後22時に前回のお題を締め切り、新しいお題を安価で決める方式を取っています。現時点での募集お題はスレ主によるレスを確認してください。

■投稿方法
投稿する際は、1行目に【】でタイトルを付けてください。決めていなければ【無題】でも可。
作品は3レス以内で。レスが2つ以上に別れる場合は分かりやすいよう番号を振ってください。

■「小説家になろう」等への投稿について
同一内容を別サイトへと投稿する行為は認めています。
その際、著作者以外が5ch上から無断で転載したものと区別するため、出来る限り【本スレへ投稿する前に】投稿してください。ご協力よろしくお願いします。

■前スレ
安価・お題で短編小説を書こう!
http://mevius.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1508249417/
安価・お題で短編小説を書こう!2
http://mevius.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1511408862/
0131この名無しがすごい!垢版2018/04/20(金) 22:37:08.74ID:btiDP/Fd
感想ありがとうございます。
今回のお題は難しかった。

一番得をしているのは彼氏だったりもするんですよね。
まぁ誰も不幸になってないので良いでしょう!
0132この名無しがすごい!垢版2018/04/21(土) 14:37:23.94ID:QOHyY7s1
使用お題:『伝説』『五七五』『呂律の回らない酔っ払いが登場する』『出不精』『柳眉』

【アルレリナ戦記】(1/3)


 ここ、アルセリナ大陸では、魔族の侵攻が本格化してから数年が経ち、各地では小競り合いの様な戦争が今も続いていた。
 一進一退の長き戦争で、各国の国力は次第に低下しつつあり、人類側も戦争を終結させる為、様々な方策を練ってはいるが、それのどれも決定打にはなっていなかった。

 ******

 メイズ・コルセイアは、行きつけのバーのカウンターでギムレットをチビチビと口にしながら、ブチブチとくだを巻いている同僚に対し溜息を吐いた。

「気持ちは分かるけど、もう、飲むのは控えなさいよ……」
「あ〜? らいひょ〜!! わきゃうあら、ほまへあはいお〜!!」

 そう言ってレモンハートをお代わりする、呂律も回っていない酔っ払いこそ、アルセリナ士官学校の導教員であるラナイヤ・シズンだった。

(……また説得に失敗したのね)

 普段は柳眉の整った美貌を誇り、男子士官候補生の憧れの的であるラナイヤの、ちょっと生徒には見せられない醜態具合に、メイズは彼女から目線を外すとギムレットを飲み干した。
 この日、ラナイヤはある人物を訊ねた帰りだった。メイズとも旧知であり、先の戦場での負傷により軍から離れた男である。
 この様子を見れば、話し合いは上手くいかなかったのだろう事は想像に難くない。

「う〜……あんれ、わきゃっへくえあいおよぉ……」
「うんうん、セウス君は分かって無いよね」

 バタンッとバーテーブルに突っ伏し、そのまま寝息を立てるラナイヤを見ながら、メイズの脳裏に一人の男の姿が思い浮かぶ。
 セウス・アルティアナ……彼は優秀な男だった。
 勇猛果敢と言うタイプでは無かったが、冷静で知略に優れていた。
 ラナイヤやメイズ、そしてセウスの居た中隊は、指揮官のミスにより魔族の挟撃を受けた。撤退する敵に乗せられ、突っ込み過ぎたのが原因である。
 その時もセウスは、いち早く違和感に気付き進言をしたのだが、しかしそれは指揮官に受け入れられる事は無かった。
 孤立する味方。支離滅裂な命令を発し、挙句負傷して意識を失う指揮官。ラナイヤとメイズでさえ、全滅が頭を過った。

「安心しろ、この作戦を十全に全うできれば、僕達は勝てる」

 誰もが絶望に染まった中、唯一人勝利を見据えていたのがセウスだった。
0133この名無しがすごい!垢版2018/04/21(土) 14:41:07.34ID:QOHyY7s1
【アルレリナ戦記】(2/3)


 結果から言えば、彼の作戦は成功した。生き延びるどころか包囲した魔族の4割近くを打倒せしめての大金星だった。彼の言葉は本物だったのである。
 だがその時、殿を引き受けた彼は重傷を負い、その後遺症の為、戦線に復帰する事は叶わなかった。
 そして皮肉な事に、この戦果によってラナイヤ達は昇進し、後進の育成に回される事に成ったのである。

「気持ちは分かるんだけどねぇ」

 その贖罪だけではないラナイヤの気持ちに気付いているメイズは、複雑な思いで同僚の寝姿を見守った。

 ******

「僕は教諭に成る気は無いよ? やる事が有るんだ」

 そう言いながらも杖をついたセウスはメイズを迎え入れた。
 メイズは苦笑する。退役をしたセウスは下町にあるアパートに半ば引き籠って居た。本人の言葉通りであれば、読書三昧の優雅な余生と言うヤツである。
 だが、ラナイヤにはそれが我慢できなかったのだ。セウスの才能は、こんな所で無為に消費されるべき物では無いと思っていたからである。
 その為、彼女は何度も彼の元を訪れては士官学校の教職員へと誘っていたのだ。

「ラナイヤじゃあるまいし、それは無いわね。わたしは出不精なセウス君に差し入れよ」
「うん? あー食料の差し入れはありがたいね」

 頭を掻きながらセウスはそれを受け取った。彼の部屋の中は何冊もの伝承や物語の本が積み重なっている。だが、メイズはあちこちに散乱しているメモらしき走り書きを見逃さなかった。
 セウスは、テーブルの本をどかすと、メイズをそこに招く。
 メイズは「ちょっと台所を借りるわよ」と言って、持参した紅茶を淹れた。

「わたしはセウス君が何をしていたとしても構わないとは思うけどね、でもラナイヤは……」
「……気にする事は無いと思うんだけどなぁ、僕の怪我は自己責任の内だ」
「助けられた方はそうは思わないものなのよ」

 セウスの怪我はラナイヤをかばった為の物だった。彼女の中では、優秀なセウスの未来を奪ってしまったと言う自責の念が渦巻いているのだろう。

「……ところで、セウス君は何を研究しているの?」

 しばらく世間話に花を咲かせた後、メイズはそう切り出した。

「……驚いたな、分かるのかい?」
「余人の暇つぶしにしては専門的過ぎる本が幾つも混じっている、それに、このメモもね……これは……魔法学かな?」

 トントンと走り書きを突くメイズに、降参という意思表示でセウスは手を上げると、溜息交じりに話を始めた。

「魔法の威力は言葉の組み合わせによる……それが今の常識だ」
「そうね、研究者は、その中で効率の良い組み合わせを発見しようと躍起になってる」
「でも、その前提が間違っているとしたら?」
0134この名無しがすごい!垢版2018/04/21(土) 14:45:17.17ID:QOHyY7s1
【アルレリナ戦記】(3/3)


「それは有り得ないわ、事実、それによって威力が違うんだし……」
「でもね、伝承や伝説を紐解いてみると、明らかにその当時の方が威力の高い呪文が見受けられるんだ」
「そう言うのは、言い方は悪いけど、所詮お話の事でしょ?」

 眉根を寄せるメイズに、セウスは不敵な笑みを浮かべた。

「え? まさか……」
「そう、そのまさかだよ。僕は様々な文献を調べて、呪文の基本テンプレートと言うべきモノが存在している事を突き止めた」
「え?」
「一つの語彙に込められる魔力の量は決まっている。だからこそ、効率よく魔力を込められる組み合わせを探す訳なんだけど、もし、その単語数そのものを増やせるとしたら?」
「……単純に一つの魔法に込める事の出来る魔力量が増える……」

 今使われている呪文は、3単語+呪文名という形で構成されている。この時、単語数が増えたとしてもまともに魔法が発動しないのが現在の常識であり、だからこそ、その単語の組み合わせを効率化するのが今の魔法学だった。

「呪文は、呪文名なんて関係なく、五文字、七文字、五文字と言うテンプレートで有れば発動するんだ」

 そう言われ、メイズも呪文の文字数を確認する。今まで、単語の数とそこに込められる魔力量とが問題だと思っていたのにも拘らず、実は文字数の方が重要だったと言う。
 だとすれば、これまではとんだ思い違いをしていたと言う事に成るだろう。
 アパートの中庭に2人は出る。そこには魔法用の的が立って居た。

「火炎爆ぜ、灼熱巻て、燃え荒べ!!」
「!! 6単語呪文!!」

 メイズが驚くと同時に今まで見た事の無い程の威力の魔法が発動する。
 当たり前だろう。単純に込められる魔力量が倍に成るのだ。

「凄い! でも、なんで? この事、何でラナイヤには……」
「……まだ研究は完全じゃない……それに、何か恥ずかしいじゃないか……」

 自分が魔法について研究している事が知られれば、未だに軍に未練がある様に見られるだろう。そうなれば原因を作ったラナイヤは今以上に気に病む事に成る。
 だからこそ、セウスは「未練なんてありませんよ」と言うポーズを取らなければならなかったのだ。

 ……ラナイヤの為に……

 まるで拗ねた子供の様なセウスの言葉に、メイズは「プッ」と噴き出したのだった。
0135この名無しがすごい!垢版2018/04/21(土) 15:34:27.89ID:QOHyY7s1
おおお……
タイトルを書き間違うとはorz

×【アルレリナ戦記】
○【アルセリナ戦記】
0136この名無しがすごい!垢版2018/04/22(日) 06:54:57.00ID:pGAiTGwW
>>132
132氏も呂律が微妙なってるじゃねえかw さあ今回バラバラのお題群は連結力が求められる、全選択の戦果はどうか? テンプレート・アップデート・アルセリナ!
舞台は戦乱の大陸、さっそく『呂律の回らない酔っ払い』となったラナイヤさんが、ある戦士へのご不満で『柳眉』の美貌を取り乱すぞ〜、えっ、いやごめん、何言ってるのか全然わからんw
場面は負傷によって戦いを降りたかに見えた『出不精』セウスさん宅に移り、『伝説』を紐解いた彼が『五七五』による川柳詠唱を開発だ〜、川柳詠唱、季語は不要かw 超必は和歌詠唱だろうな
ラスト、132氏が見事、音楽性バラバラのお題群をドッキングさせて微笑ましオチに落とす〜おお! オチ完成までよく成し遂げたァ
物語は「うれしはずかし相思相愛」と「魔術革新」という二戦局のアップデートを予告し、高難度お題全消化、更新・更新・更新ENDォ!
0137この名無しがすごい!垢版2018/04/22(日) 11:35:54.69ID:haCh8D//
感想有難うございます
この話を書いていて
百人一首大会の様に、詠唱の確定点で魔法を読みきって、カウンターを叩き込むとか
それを読んで詠唱をあえて変えて裏をかくとか言う駆け引きが出来そうだなぁ
等と妄想してましたw
0139この名無しがすごい!垢版2018/04/22(日) 20:03:48.89ID:Wlc9DW0e
過疎化が酷いねぇ
もうちょい初心者にも参加しやすくする企画でも立てる?
無理か
0140この名無しがすごい!垢版2018/04/22(日) 20:07:04.46ID:t9FvlF0Z
まあ前回は8作ありますし。一人が何作投稿してるかはわからんけど
今回はお題が難しいから・・・
0141この名無しがすごい!垢版2018/04/22(日) 20:21:59.76ID:mbLd5lKj
前回3で今回0ですん
まあ過疎っていうより、元からそれほど人がいなかったんだと思うで。誰かに読まれることより大喜利で遊びたい人向けのスレだし・・・
0142この名無しがすごい!垢版2018/04/22(日) 20:35:52.85ID:haCh8D//
今回は一作で力尽きました
お題がと言うよりも、残業や仕事で時間が作れなかった事が大きいのですが……
0143この名無しがすごい!垢版2018/04/22(日) 20:56:06.02ID:mbLd5lKj
いくつか思いついたんだけど、どれもオチが微妙すぎた・・・
今回お題書けた人凄いわ、マジで
0144二代目進行 ◆rZF28D1ulBTo 垢版2018/04/22(日) 21:42:01.22ID:gCdYMAzt
企画とか、もしいい案があれば積極的にやるつもりだよー!
アイデアがあれば教えてください!
俺も出したいけど、難しいお題が多い……というかお題全部取り込みたい欲が逆に投稿を阻むよねw
0146この名無しがすごい!垢版2018/04/22(日) 21:58:35.18ID:U4Na/iTe
そうだ1日ごとにお題を1個ずつ増やすのはどうだ
7日目には7お題で阿鼻叫喚
0147二代目進行 ◆rZF28D1ulBTo 垢版2018/04/22(日) 22:01:47.78ID:gCdYMAzt
お題『伝説』『五七五』『呂律の回らない酔っ払いが登場する』『出不精』『柳眉』締切

参加作品一覧
>>128【過ぎ去ったブーム】
>>132【アルセリナ戦記】
0148二代目進行 ◆rZF28D1ulBTo 垢版2018/04/22(日) 22:04:15.89ID:gCdYMAzt
さて……どうしようか?
三お題でもよし、七お題に増やしてもよし
投票行っとくか
投票結果を元にして、今回のお題安価で実験的に導入する単発企画ということで
@現状維持
A三お題
B一日ごとに+1お題

みなさんの意見を教えてください、23時まで
0149この名無しがすごい!垢版2018/04/22(日) 22:06:43.67ID:Dljq3pGg
物は試しでBをやってみましょうか
0150この名無しがすごい!垢版2018/04/22(日) 22:06:56.76ID:RcoNxzOA
一日ごとに+1お題
ってそれぞれの個数で投稿できるのは1日しか猶予無いって解釈でいいの?
お題3個で投稿できるのは3日目だけみたいな
0152二代目進行 ◆rZF28D1ulBTo 垢版2018/04/22(日) 22:09:51.55ID:gCdYMAzt
>>150
やるとしたら、先に七つお題安価して、「三個のお題の日は三個全部使う」にすると思う
先に全部公開しておけば、何日後に投稿予定って形で書くこともできるはず
参加者増えるかといわれれば疑問だけどw催しとしてはありかもしれないと思ってる
0153この名無しがすごい!垢版2018/04/22(日) 22:14:19.29ID:Dljq3pGg
別にお題は全部使わなくていいはずだったのに…
いつの間にか全部使わなきゃいけないみたいな風潮あるよな…
0154この名無しがすごい!垢版2018/04/22(日) 22:14:37.00ID:mbLd5lKj
>>152 さんの案面白そうだけど、やっぱり進行さんの負担大きくないかな・・・? 複雑にすればその分やること増えるし・・・
個人的には>>148 @現状維持でいいと思います。前回はなんかキツかっただけだし
0155この名無しがすごい!垢版2018/04/22(日) 22:15:47.36ID:RcoNxzOA
最初に全部わかってたらいけるか
けどまあ参加者はむしろ減りそうよねw
0156この名無しがすごい!垢版2018/04/22(日) 22:17:39.49ID:mbLd5lKj
お題全消化ってわかりやすいポイントゲットだし、やりたがる人は増えちゃうよね。で、結果投稿が減っちゃう・・・
いっそお題を3つ強制ってことにして、その代わり「安価4つ目は絶対使っちゃダメ」みたいな感じにするとかダメかな? 複雑か?
0157この名無しがすごい!垢版2018/04/22(日) 22:22:04.80ID:cgNcm0Yf
お題が多いと想像力をあまり使わなくてパズルゲームみたいになるから楽ってのもある
0158この名無しがすごい!垢版2018/04/22(日) 22:24:23.21ID:Dljq3pGg
お題をたくさん安価してその中から強制で3つか
0161二代目進行 ◆rZF28D1ulBTo 垢版2018/04/22(日) 22:39:11.38ID:gCdYMAzt
書けるお題のときって、お題見た瞬間に半分くらい完成するよね
参加者してたときはそうだった
0162この名無しがすごい!垢版2018/04/22(日) 22:41:22.85ID:RzkVkth7
思いつく時は一瞬で思いついて書く事自体は対して手間取らないんだよね
今回のは中々思いつかなかったけど
0163二代目進行 ◆rZF28D1ulBTo 垢版2018/04/22(日) 23:00:58.75ID:gCdYMAzt
時間になったけどあんまりまとまってない……

統合して「七お題から三つ強制」という形もアリかとは思いますが、いかが?
0164この名無しがすごい!垢版2018/04/22(日) 23:06:14.70ID:Dljq3pGg
いいよ
0165この名無しがすごい!垢版2018/04/22(日) 23:07:27.11ID:mbLd5lKj
7お題にすると、7つ全部消化しようとする輩が出るんじゃないか?
それでいいならまあいいけど・・・
0166二代目進行 ◆rZF28D1ulBTo 垢版2018/04/22(日) 23:11:15.54ID:gCdYMAzt
「三つ強制」は四つ以上も不可、ということで

……とりあえずこのまま安価取りますね、もし反対者が多くても一週限定ということで勘弁願います。
>>167-173
0168この名無しがすごい!垢版2018/04/22(日) 23:14:33.47ID:Dljq3pGg
実験
0172この名無しがすごい!垢版2018/04/23(月) 00:47:45.91ID:qEuoQ6xl
爆発
0173この名無しがすごい!垢版2018/04/23(月) 00:51:32.10ID:sqhCedvt
マジレス
0175二代目進行 ◆rZF28D1ulBTo 垢版2018/04/23(月) 01:57:58.88ID:tMTHyqvL
☆お題→『7』『実験』『スマホ』『池袋』『美人上司』『爆発』『マジレス』より三つを選択
※二つ以下、四つ以上は不可

☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割OK

☆締め切り→4/29の22時まで

☆平行して投票を行います(試験運転)→安価もしくはタイトルで一人一票までレスしてください。締切4/25の22時
【見逃し防止のため、このレスに安価してください。】
0178二代目進行 ◆rZF28D1ulBTo 垢版2018/04/23(月) 11:28:17.99ID:aTwkDFqA
久々にぱって思いついたお話
前のお話を覚えてる人、いるかなぁ

【爆発! 可哀想な者倶楽部】(1/2)
「トコロテン後輩、トコロテン後輩」
 春から夏へと徐々に気候が移り変わりつつある、何気ない一日。徐々に女子の制服から下着が透け始めるのを心待ちにするある日、チカン先輩──智寛(ともひろ)という名前であるが──は僕にこう切り出した。
 僕こと中川心太(しんた)、もといトコロテン後輩は、窓際からぼんやりとグラウンドを眺めていた視線を、そっと先輩に戻す。
「何ですか」
「僕はね、体育祭が憎いんだ。なにが悲しくて身体なんかを動かさないといけないのか、僕にはとても理解できない」
「はぁ、まあ、暑いですよね」
 秋に体育祭をする高校よりは恵まれているような気もするが、チカン先輩に言っても栓のないことである。
「だが、僕程度の人間が──それこそ生徒会長ほどの人間であれば話は別なんだろうけど、たかだか会計委員が中止にしようって言ったってそうはいかない」
「生徒会長でも無理だと思いますけど」
 僕の突っ込みは尽く無視され、ほぼ一方的にチカン先輩のターンが続く。
「でさぁ、僕は見つけてしまったんだよ。体育祭という呪いのような行事を中止する、画期的な方法を!」
「……どうせくだらない話なんでしょうけど、一応聞いてあげますよ」
 冷ややかな目を送る僕に、チカン先輩は気付きもしない。
「ほら、見て! この記事だよ」
 チカン先輩に差し出されたスマートフォンの画面を見ると、そこには「スマホ爆発! 原因はリチウムバッテリーか」という記事が表示されている。
「……何企んでるんすか」
 だんだん敬語が雑になる僕の対応を気にするでもなく、チカン先輩は続ける。
「このニュースのスマホ、僕のと同機種なんだよ! 小規模でも校内で爆発が起これば体育祭なんて中止になる……!」
「アホっすか」
 ここ「可哀想な者倶楽部」……通称カワクラが学内から馬鹿揃いという烙印を押される原因の一つは、間違いなく先輩にある。
 もう一つの原因、河合海月(みづき)ことクラゲ後輩のことをふと思い出したとき、足元に猫がすり寄って来た。
「にゃあ」
「あ、蒼(そう)ちゃんにご飯の時間。今日クラゲ後輩は来てないんですかねぇ」
 校内放送で、クラゲ後輩が猫をこっそりかくまっていたことをばらしてしまった事件──ここでは突っ込まないが──以来、カワクラの部室(という名の会計役員の部屋である)で飼うことは黙認されている。が、責任を持って飼うと宣言したクラゲ後輩の姿がない。
0179二代目進行 ◆rZF28D1ulBTo 垢版2018/04/23(月) 11:28:41.15ID:aTwkDFqA
【爆発! 可哀想な者倶楽部】(2/2)
 僕が「にゃおちゅるる」と書かれたチューブ状の餌を与え始めると、チカン先輩はこの猫・河合蒼(かわいそう)に与える水を用意するために立つ──ミネラルウォーターである。僕が普段水筒に入れるのは、水道水で作った麦茶なのに!
「ああ、クラゲ後輩はクラス対抗リレーのアンカーなんだよ。練習してから来るってさ」
「運動嫌いのチカン先輩とは、えらい違いですよね」
「そういう君はどうなのさ? そもそも、生徒会を希望して自ら入った活発なクラゲ後輩と、じゃん負けで押しつけられて仕方なく入った僕には、クラスのヒエラルキーに大きな隔たりがだね」
「はいはい、わかりましたってば。で、体育祭を中止するプランの続きはまだですか」
「……ふふん。記事によれば、このスマホのバッテリーは過充電を行った際に爆発が起こるとある」
「ふんふん……で、どうするんですか」
「だが、所詮はスマホ程度……独りでに教室で爆発しても、大した騒ぎにはならないのだ……」
 だんだん悪役めいた顔をするチカン先輩は、イケメンなのにオタク臭がすごくてもったいないなと思う。
「だから僕は考えた! 騒ぎになる場所で爆発を起こせばいいのだと! それは……校長室!」
「校長室で先輩のスマホを充電するんすか」
「そう! 体育祭当日にスマホ爆弾で校長のカツラごと吹き飛ばす爆発を起こせば、校長はきっと開会式に姿を現さず、開会式は中止! よって体育祭も中止!」
 鼻の穴を膨らませながら言うチカン先輩に、僕はおやつに買ってきた黒蜜掛けのところてんを開封する。
「先輩、そのプランには大きな欠陥があります」
「何だい」
「まず、どうやって校長室でスマホを充電するんですか」
「そこはトコロテン後輩、甘いよ。僕たちの役員は何だ? 生徒会会計だ。前年度の各部活動の収支を取りまとめた書類を校長に提出する締切は、確か体育祭の後だったね。体育祭当日の朝に書類を渡しに行き、隙を見てスマホをコンセントにブスっと」
「校長室のコンセントプラグの位置、把握してるんですか?」
「……もしわからなくても、校長室中央のデスクトップPCにUSBで電源を取れば良いだろう」
「パソコンに『新しいデバイスの選択』とか通知出ますよ」
「データ通信のできない、充電専用のコードを用いれば回避可能だよ」
 懲りない。今日のチカン先輩は、本当に懲りない。それだけ、運動嫌いも筋金入りなのだろうが。
「先輩、マジレス良いですか」
「どうぞ」
「爆発した後、先輩はそのスマホを失いますよね」
「尊い犠牲だね」
「……アニメイコの握手会抽選、確かそのスマホと結びついてますよね」
「あっ!?」
「だから、体育祭を中止にできたとして──」
 がらがらと言う引き戸の音とともに、クラゲ後輩がやってくる。
「先輩方、なに馬鹿なこと話してるんですか」
「いやあ、困ったものだよクラゲ後輩。トコロテン後輩ったらさぁ、スマホを爆発させるだなんて言い始めて」
 その後、チカン先輩の巧妙な罠により、体育祭を心待ちにするクラゲ後輩の手によって僕だけが正座の上で会計の仕事に取り掛かる羽目になったのは、未だに納得がいっていない。
0182この名無しがすごい!垢版2018/04/23(月) 12:15:35.10ID:fDcsFrBh
お題が多すぎて悩むわ、これ
なんか頑張って考えよう・・・
0183この名無しがすごい!垢版2018/04/23(月) 12:52:05.91ID:fDcsFrBh
>>175
自由度が高くて逆に難しい。きっと自分は縛られるのが好きなんだろう(ドM並感

使用したお題:『7』『実験』『爆発』

【宇宙の地図】

北斗七星の一等星、北極星は常に北の夜空に浮いている。

 北極星へ向かえば、地球の北極のその先に何があるかわかるのではないか。そして宇宙にも地図が作れるのではないか。
 きっかけはそんな突拍子もない発想で、ある地球人が壮大な実験を始めた。宇宙船を作ってひたすらに宇宙の北へ向かおうと。
 地球を南とし、北極星を北として地図を描きながら、彼は宇宙へと旅立ったのだ。

 宇宙船は何もないはずの宇宙で何かにぶつかって大爆発を起こし、船長は死んでしまった。




 宇宙船は何もないはずの宇宙で何かにぶつかって大爆発を起こし、船長は死んでしまった。

 チッキューを北とし、南極星を南として地図を描きながら、彼は宇宙へと旅立ったのだ。
 きっかけはある突拍子もない発想で、チッキュー人が壮大な実験を始めた。宇宙船を作ってひたすらに宇宙の南へ向かおうと。
 南極星へ向かえば、チッキューの南極のその先に何があるのかわかるのではないか。そして宇宙にも地図が作れるのではないか。

 南斗七星の一等星、南極星は常に南の夜空に浮いている。
0184この名無しがすごい!垢版2018/04/23(月) 12:56:23.03ID:0ddTLIMB
>>178
妹さんはどうなったのでしょうか?
体育祭中止以前に傷害ですよねw
塀の向こうでは強制的に運動もさせられるので、今より辛い状況になりそうな?
0186この名無しがすごい!垢版2018/04/24(火) 00:58:23.49ID:yY3Kfd4J
第一日曜 5お題
第二日曜 ジャンル+お題
第三日曜 ○○○○
第四日曜 7お題から3つ強制
0187この名無しがすごい!垢版2018/04/24(火) 08:45:17.89ID:ZmeydWXI
>>178
進行氏、いつもありがとね、てか君だったのかw お題『スマホ』『爆発』『マジレス』を選択だ〜、可哀想な者倶楽部・リローデッド!!
あらためて紹介しよう〜、親の遊び心で誤解を招く名前を付けられた者どもの集い「可哀想な者倶楽部」、通称カワクラは短編スレ一期からのレギュラーメンバーだ〜
さあ、智寛ことチカン先輩が、心太ことトコロテン後輩に持ちかけるのは文化系の怨念、体育祭が憎い〜! 心太さんがところてん食ってるw
校長室での『スマホ』『爆発』なる犯罪行為に目を輝かせる卑劣な先輩〜、握手会をフイにする気かと『マジレス』が放たれ、ラストは納得いかない濡れ衣正座オチだァ!
スレ民が、放置され続ける第一話の妹名付け事件はどうなったのとツッコミを入れるが、進行氏は聞こえない聞こえないとそそくさ舞台袖に引っ込み、うん、でもお題は消化したし、次回をお楽しみにね、そんなドタバタ・テロリズムENDだあw

>>183
選択お題は『7』『実験』『爆発』〜、スペース・エクスプロージョン!
人は呼ぶ、地球の自転軸によって決定される、北の軸に最も近い輝星を北極星と…現在、北の極に該当するのはこぐま座・ポラリス、そして人は思う、北斗『七』星の向こう側には何があるのだろうかと…
さあ、人の夢を背負って物語が壮大な『実験』を描き出したぜ〜、星の回転法則の謎をどう解き明かす〜、って「宇宙船は何もないはずの宇宙で何かにぶつかって」×2 ←何だ、コピペミス、じゃねえ! これは…シンメトリー(対称)だww
きれいに反転した行と行が描き出すのは、宇宙の向こうで全く同じことを考えた宇宙船同士の激突か〜、文章・思考・星の自転をも反転させた、宇宙空間の奇妙な秩序オチw たまげたぜ、アイデアマンがお題を消化し短編の煌きを見せた!
そう、謎の秩序に満ちた宇宙、それあるかぎり、冒険は終わらない!! 183氏の描いた宇宙すごいENDは、シンメトリーな爆発の中に宇宙に生きる者共の好奇心の激突を映し出し、一瞬の煌めきとなったァ!!
0188二代目進行 ◆rZF28D1ulBTo 垢版2018/04/24(火) 09:12:32.97ID:ZpJSxLDH
感想ありがとうございます!
>>184
妹さんは……いつか長編を書こうかと……(しどろもどろ)
お題見た瞬間に、昔こんな風に休校にならんもんかと考えてた記憶が蘇って書いたので、傷害とか細かいところはキニスンナ、の精神です……

>>187
実況氏もいつもありがとうございます、っていうか意外に覚えてくれてる人が多くて嬉しい驚き(1スレ1話ペースだし)
妹さんね、どうしようね……広げた風呂敷の畳み方を悩んでるんだ……
0189この名無しがすごい!垢版2018/04/24(火) 10:08:56.88ID:ZmeydWXI
解決しないことを持ち味にしてもいいかもね
妹の件そう言えばどうにかしないとな、そうだな、ってチラッと話すだけのシーンを毎回入れて
まだやってるネタとして引っ張り続けるw
0190この名無しがすごい!垢版2018/04/24(火) 10:44:48.70ID:7XZoSTpZ
【論理的オーバースペック】
使用お題:『実験』『スマホ』『美人上司』

 私は上司に恵まれなかった。というのも、私があまりにも優秀すぎたからなのだが。
 上司というものは、常に部下よりも優秀で賢くなければならないものだと、私はそう考えている。
 しかし配属された研究所の先輩方の才能をすべて足したとしても、私の足元にすら及ばない──それほどまでに私の知識は豊富で、膨大で、圧倒的だった。
 私はずっと、理想の上司というものに憧れていた。

 ある日、私の脳裏にある考えが過った。優れた上司がいないのならば作ってしまえばいい、と。

 それからの私は素早かった。機械技術の知識を総動員し、骨格を作り上げた。外装は私好みのとびきりの美人に仕上げた。その肌は人工的な素材で組成されたものだとはまず分からない精巧なものだ。
 中央処理には私自身の脳内から知識データを抽出し、それを植え付ける。これで私と同等のスペックを誇るロボット、ということになる。
 あとは私よりも出来た人間の人格データと、理想的な記憶データを移植すれば、私を上回る存在が完成する。

 全ての準備が整い、私は手元のスマホで彼女の電源を入れた。触れてみると、人肌の熱をこの手に感じる。
 実験は成功だ。彼女に今、生命が宿ったのだ。

「初めまして、博士」

 目覚めた彼女が私の姿をその目で捉え、話し掛けてくる。そこにはロボットと話しているような違和感はなく、彼女は一人の人間そのものとしか思えなかった。

「……博士だなんてやめて。あなたは私の上司になるんだから」
「では、なんとお呼びすれば?」
「あぁ、私の名前は海──」

 私はふいに言葉に詰まる。研究所内で通っている名前は、私の本名ではないからだ。
 私が作り上げた私だけの上司。だったら私も、本当の自分で接したいと、そう思ったのだ。

「──いや、私の名前は……ゆい。あなたは最新型番V-01。呼び方はこれから考えていきましょうか、先輩」
0191この名無しがすごい!垢版2018/04/24(火) 17:24:40.12ID:pHrhV/1b
>>190
ついに最新型は自分で作ってしまったのですね
次ぎは後輩の復活を目指すのでしょうか?
0192この名無しがすごい!垢版2018/04/24(火) 18:17:54.65ID:7XZoSTpZ
んー、やっぱり以前投稿した作品を知ってないと駄目なオチになっちゃったな…反省…
0193この名無しがすごい!垢版2018/04/24(火) 20:30:30.61ID:/FFEq37B
>>175

使用したお題:『スマホ』『池袋』『美人上司』

【メガネをはずしてください】

スマホに見知らぬ美女の写真が入っていた。ビックリした。

「おい」

 ただちょっと待ってくれ。オレはこんな美女に会った記憶はない。そしてここまで素敵な女性を忘れるわけがない。
 だが現実に写真のフォルダの一番上に美女が映っていた。つまり、どこかで彼女と会ったはずなんだ。オレは少ない脳細胞をフル活性させて思いだそうとする。

「何仕事サボってスマホを凝視してるんだ?」

 上司がいつものように嫌味を言ってくる、が無視。そんなこと今はどうでもいい。記憶を必死に遡る。
 確か昨日は上司に誘われて飲みに行ったはずだ。池袋のいつもの店で。チェーン店特有の安っぽい店構えと、同じく安いがそれなりに美味いツマミがあるところだ。そうだ、昨日は飲み屋に行ったはずだ。

「おい、人の話を聞いてるのか? 上司の言葉を無視するとは良い度胸だ」

 上司の声がちょっと怖くなったのでスマホから視線を上げる。上司のトンガリ眼鏡にむかって「すいません」と生返事で謝罪をするも、頭の中では先程の美女の写真でいっぱいだった。さらに記憶を揺り起こす。
 整った顔を真っ赤に染めた美女の美しい横顔。濡れた瞳でスマホ越しのオレを見つめている。ただの写真なのにその妖艶な瞳に思わず心臓が高鳴った。真っすぐに伸ばした黒髪が美しい。
 わずかに映った後ろの座敷やテーブルは完全にチェーン店のそれだった。撮った日付も昨日の物なので、昨日上司と行った飲み屋で間違いない。ただ、誰なのかわからない。
 青いスーツはどこかで見覚えがあったが、どこで見たのか思い出せない。

「おい、お前何上の空になってるんだ。人が説教してるのに」

 写真の美女のことを精一杯思い出そうと頭をフル回転させていたけれど、傍から見たらただの棒立ちだったようだ。再度上司にきちんと目線を合わせて謝罪する。メガネの度がキツくていつものように表情が読めない。
 まだ30の大台に乗ったばかりだったはずだが、この上司の漂わせるお局さん的雰囲気は40のそれだった。色気の欠片もないまとめた髪の毛と、男のような愛想のない青のスーツが逆によく似合っている。

 と、ここで僅かな違和感。上司の様子が何かいつもと違った。「あれ、髪の毛でも切ったんですか?」と当たり障りのない質問をしてみた。

「いや……、というかそのことをメールで君に尋ねたら、君から見せたいものがあるって返信を貰ったんだけれど。覚えてないのか?」

 覚えていなかった。そのせいで美女の正体がわからないのだから。おそらく昨夜は少し飲みすぎて泥酔したのだろう。
 そのことを上司に説明すると、上司はオレの机の方を見ていた。先ほどまで弄っていたスマホの画面を見ている、と思ったらスマホを手に取った。

「……ああ、なるほど。このときはすでにいつも付けていた髪留めがなくなっていたのか……。だとしたらどこで落としたのだろうか。そんな簡単に外れるものでもないはずなのに……」

 上司はそう言うと、先程のオレのように記憶を探り出したようだった。横を向いて顎に手をやり、ブツブツと呟いている。
 その横顔と目元の泣きボクロに何か引っかかりを覚えたが、その前に上司はオレにお礼を言った。

「感謝する、大事な髪留めだったんだ。もうちょっと探してみる。キミは仕事を再開しなさい」

 そう言って上司は自分の席へと戻ってしまった。オレは思い出すのを諦めて、仕事に戻った。その際、最後にチラリと先程の美女の写真を見た。
 しなだれるように座った美女はメガネを片手に、泣きボクロと頬を赤らめながらオレを見上げていた。
0194この名無しがすごい!垢版2018/04/24(火) 22:43:56.81ID:pHrhV/1b
>>193
メガネを外すと……と言うのはある意味お約束ですね
果たして彼は、自分の上司の正体を
0196この名無しがすごい!垢版2018/04/24(火) 23:21:20.85ID:ZmeydWXI
>>190
お題『実験』『スマホ』『美人上司』を攻略宣言! 挑戦者あらわる、アップデート・ザ・ボス〜
さあ、さっそく職場に不満の主人公が語り始めるぞ、なになに自分より優れた上司がいない、オッケー作っちゃお〜、上司を作るという新しさw 『実験』は成功、『スマホ』に電源を入れ、いざ『美人上司』を起動だ〜!
なるほど「私好みのとびきりの美人」と誘引しておいて、主人公に女性を重ねてくる、実は百合だったオチになってるw そして百合と言えばあの人…
「海」と言いかけて「ゆい」と言い直す、やっぱりだ! これはシリーズ作者の署名代わり、そう、本作は連作だったオチでもあり、署名は初代進行氏その人〜会いたかったぜ(シリーズ初見の人で話が気になったら前スレ76の話を参照のこと
司会が揃い踏みとはめでたいな! 初代、二代目そろってお題消化おめ、まま、とりあえず一杯飲もう、そんな感じで、今夜はおつかれ盃ENDだ〜

>>193
親しみやすそうなお題『スマホ』『池袋』『美人上司』に挑戦〜、池袋ウエストゲート・ザ・ボス〜
記憶が定かでない主人公、頭をヒネる先にあるのは、昨夜『池袋』の安い飲み屋で、ご一緒の濡れた瞳の美女、それを思い出させる『スマホ』の画像〜
髪留めなくしたトンガリ眼鏡の上司(センスw)に怒られながら、主人公はもう少しで噛み合いそうな記憶をたどる〜、あー髪留めを渡そうとしたんだろうな
「青いスーツはどこかで見覚えがあった」「男のような愛想のない青のスーツが」「目元の泣きボクロに何か引っかかりを覚えたが」←193氏、読者の心を絶妙に弄ぶw
さあ、志村うしろうしろ『美人上司』は後ろ〜状態になった物語が最後のお題を見事消化し、ラスト! トンガリ眼鏡を片手に泣きボクロ〜、ハイ決定打、もう分かったよね? えっ、ここで後はご想像にお任せしますなのかよって感じで続きはよENDォ!
0197この名無しがすごい!垢版2018/04/25(水) 08:03:32.56ID:Ki5T1KMP
やっぱり前回のお題は何か難しすぎたんやな。今回サクサクできるし・・・
0198この名無しがすごい!垢版2018/04/25(水) 09:29:08.38ID:KQ8dwG38
『七お題から三つ強制』なかなか良さそうね
0199この名無しがすごい!垢版2018/04/25(水) 20:07:42.49ID:Ki5T1KMP
7お題どうなんだろ?
選択肢が多いから達成感が少ない、といえばデメリットだし、組み合わせでいろいろ思いつける、といえばメリットだし・・・
とりあえず自分は使用頻度の少ないお題を使って「オレ賢い!」って自己満足しようかな。早速一つ思いついたし
0200この名無しがすごい!垢版2018/04/25(水) 21:15:25.29ID:Ki5T1KMP
>>175

使用したお題:『実験』『美人上司』『爆発』

【人が死なない爆発】

人間だけを殺さない爆弾を発明した。
普通の爆弾と同じで非生命体は爆風で破壊するのに、人間にはせいぜい火傷や打ち身程度の被害で済むのだ。自分で言うのもなんだが、世紀の大発明だと思う。

 これさえあれば戦争が変わる。殺戮目的ではなく戦略拠点陥落のための空爆をこの爆弾ならし放題だからだ。人道的に配慮した戦術・戦略が行えるようになる。
 もちろん戦争だけではない。人質もろとも誘拐犯を爆破し、その武装を破壊して解除することもできる。火力発電所や原子力発電所に応用できれば、人的には絶対安全な施設を作れるだろう。倒壊した建物だけ破壊すれば人命救助だって楽々だ。
 極論、子供の遊びに爆弾を利用することだってできるだろう。とにかく世界の全ての技術と文化が大きな前進をしたのだ。素晴らしいことだ。

「はぁ、ここまで長かったな……。彼女たちに感謝だ」

 私は過去を思い出す。彼女たちと過ごしたありきたりで平凡で、幸せだったあの日常の日々を。

 料理が下手だった妹のことを思い出す。妹が揚げ物をすると台所がよく黒焦げになったものだ。
 謎の実験をよくやっていた幼馴染のことを思い出す。あいつのせいで何度理科室の窓を割ったことか、多すぎて回数なんて覚えていない。
 イタズラ好きだった先輩のことを思い出す。あの人にいろいろなイタズラを仕掛けられて死を覚悟したことは一度や二度ではない。

 あれから何年も経った。経ってしまった。しかしそのおかげでこの非殺傷爆弾を完成させることができた。
 私は感慨深く思いながらいつものようにいつもの場所に座り、いつものように線香に火をつけた。手を合わせる。

「みんなのおかげで完成したよ。本当に、本当にありがとう」

 仏壇に乗った三人の写真に向かって真剣に手を合わせる。心の中で幾度となく繰り返した言葉を何度も何度も唱え続けた。

 彼女たちのおかげでこの非殺傷爆弾を完成させることができたのだ。
 妹が台所に立つたびにこっそり油や粉末を混ぜこんで料理させたり、幼馴染が気づかないうちに実験準備室にある薬のラベルをわざと危険ではないものとすり替えたり、イタズラに引っかかる際にヘリウムや火薬の量を調整しつつ、先輩を盾にしたりして。
 そうして何度も『人が死なない爆発』を実証・観察できたことによって。

 私は心の中で何度も何度も感謝と、謝罪を繰り返す。

「みんな、ありがとう。そして、ごめん。ごめん、やり過ぎたんだ。みんなを死なす気はなかったんだ。でもみんなは爆発に巻き込まれて死なないのか、どうしても気になって。気になってしまって……。ホントに、ホントに……」



「……フフフ」
0201二代目進行 ◆rZF28D1ulBTo 垢版2018/04/25(水) 22:02:24.40ID:Zo7nf97O
お題『伝説』『五七五』『呂律の回らない酔っ払いが登場する』『出不精』『柳眉』投票締め切り

投票無しのため、一覧はありません。
0203この名無しがすごい!垢版2018/04/26(木) 02:21:53.10ID:a8bnVjq9
選択お題、『7』『実験』『池袋』

【リバイバル】

その居酒屋のBGMには、池袋には似つかわしくないクールで清潔なジャズがかけられていたが、個室の誰も熱心に耳を傾けているようには見えなかった。
「で、そのラノベってのは、いったい何なんだい」と柳眉を顰めた清少納言が尋ねてきたので、
「今の若者にウケてる読み物ですよ」と僕が答えると「はーい、どうせこちらの生まれは平成ならぬ平安ですよ、1000歳超えの婆ですよ!」と頭をはたかれた。

くっくっくと笑いながら芥川龍之介が言う。
「いやエッセイばっかり書いてた清少さんには分からないだろうなァ、文学は重苦しくなったんですよ。
ボクなんかはね、自分の娘が生きながら焼かれて、苦しむけれども、それが芸術だって言って、娘の焼き姿を描いちゃう画家の話、みたいなのを書いてね。
滅法ウケてましたから。ラノベってのもそういうモンでしょう」
「いえ、完全に違います」

安価になったクローン技術は、いつしか倫理観念をなし崩しにして、人々は好き勝手に人体複製を行うようになった。
人体造成のテクノロジーは、脳の模造をも可能にし、過去に残された文献を基に偉人がクリエイトされ、彼らのトークがバラエティとして人気を博している。
ここ池袋の居酒屋には、伝説の物書きとも言われる文豪が七人集められ、
ネット生放送の中、あいつらが顔を合わせて文学談義を交わしたらどうなるか、という企画実験「ライトノベルの未来を語る」が行われている。

木箸で魚の目をつついて盲目だと言って喜んでいた谷崎潤一郎が、焼かれる娘という怪しい単語に反応した。
「となりゃ、結局ラノベったあ、アレですかい、女をさ、自分好みにしよってんで、子供の頃から育ててたらさ? 悪女になっちまって、逆に男が入れ込んじまって破滅、みてえなやつ?」
こじらせ方が違うのだが、説明するのが面倒だ。
「萌えの大家と呼ばれる谷崎さんの趣味には合うかもしれません」とだけ、とりあえず言う。

すると、二葉亭四迷がジョッキをぐいっと飲み干して、テーブルに身を乗り出してきた。さすがロシア帰りだけあって、ハイボールを水のように飲む。
「や、でも嬉しいですねえ、ラノベってのは、ライトノベル、でしょ? ノベルを小説としたのは、私こと二葉亭の、二葉亭の、師匠でしてね。
それまで悩みなんて日本では描かれてなかったわけですよ。それをね、私こと二葉亭が海外から輸入して〜」とマシンガンのように自慢話が続く。
「しずけさや、岩にしみ入る、蝉の声」
松尾芭蕉が一句詠んだ。黙れ蝉、ってことなんだろう。

「すいませんねえ、芭蕉先生。しかしねえ、やっぱり文学と言うのは重たいだけじゃない。出不精だけのもんじゃないんです。
小説ってのは、町の噂って意味ですから。ライトノベルって言うぐらいだ。一葉さんみたく軽快な文体が、現代でも人気なんでしょうね?」
二葉亭が水を向けると、端で縮こまっていた、最年少の樋口一葉が、集まった視線に恐縮した。
「え、わ、わたしですか? なんか、もう、先生方の前で、人気とか……語れる存在とかじゃないです……」

困惑しきった若い女性に、女好きの谷崎が素早いフォローを入れる。
「いやいや、でも、一葉さんの作品は今でも通用するぐらい、作風が若々しいって、評判だそうで」
「はーい、どうせこちらは今じゃ通用しない婆ですよ!」
「婆! 婆と言えばね、ボクは死体から髪を盗む婆の話を……」

濃ゆい文豪達の果てしなく続く駄弁は、もともとの主題まで行き着くことなく、ライトノベルとは何か、それすら理解することなく数時間を費やした。
ネット生放送も時間切れとなり、いまや文豪数人がテーブルに突っ伏している。カオス。

「夏草や、つわものどもが、夢の跡」
「それでェ、結局あんたァ、誰なんだいィ?」と呂律の回らない清少納言が、こちらに絡んできた。

僕は自己紹介すらしていない。
「やれやれ」
ひとつため息をついた。
0204この名無しがすごい!垢版2018/04/26(木) 07:19:53.73ID:a8bnVjq9
>>200
200氏がサイエンティストものでお題『実験』『美人上司』『爆発』に挑む、ノンデッド・ボマー!
さあ、『爆発』はしても人をほとんど殺傷しない、対非生命体用トンデモ爆弾を開発した主人公が、仏壇の写真に手を合わせるぞ〜
並んでいるのは、台所を黒焦げにしていた妹、謎の『実験』をよくやっていた幼馴染、死を覚悟させる悪戯マニアの先輩だあ、他の家の人を合同で祀ってやがるw
語り口は何やらデンジャーな方向に転がり…ラスト! 出た、マッドサイエンティスト告白オチだァ〜、人を殺しかねないイタズラが好きだった先輩にだけは同情の余地はないな、彼女が『美人上司』かw
科学進歩に犠牲はつきもの、飽くなき探究心に突き動かされた科学者の口から漏れるは謝罪、いや、これは破壊衝動だ〜、好きだからこそ壊したい! どうでもいいから守りたい! 渾然一体の漆黒がチラリ覗いて、お題消化のマッドボマーENDだァ!

>>202
二作品だしね、
あと適当なところで投票を促す掛け声があったら違うかもよw

>>203
自作!
選択は『7』『実験』『池袋』だが、
実は前お題『伝説』『五七五』『呂律の回らない酔っ払いが登場する』『出不精』『柳眉』も含めてみたぜ!
0205この名無しがすごい!垢版2018/04/26(木) 07:40:20.67ID:5DGE/g/c
ていうか前回のお題がめちゃくちゃすぎたんだな
もうすこし安価取る人は自重しろと
0206この名無しがすごい!垢版2018/04/26(木) 12:14:24.04ID:yfIzrq36
前回はたまたま相性が悪かっただけだと思うよ。お題全消化してる話が3つもあるし・・・
思い付くときは「長靴下のピッピ」ですらお題として流用できちゃうしねぇ
0207この名無しがすごい!垢版2018/04/26(木) 15:45:01.88ID:H/6loEWL
>>200
お巡りさん、コイツですw
イタズラは多少自業自得ですが、ほかの爆発の元凶は主人公ですか
人には優しいハズの発明をした立役者がサイコパスと言う皮肉w

>>203
人格が宿るのは脳か魂か? 文豪達の様子を見ているかぎり、後者な様ですが
それとも脳に直接インストール?

>>202
投票したくなるような、心に残る話を書きたいものです
0208この名無しがすごい!垢版2018/04/26(木) 20:40:53.50ID:yfIzrq36
心に残る短編ってどんなのがいいんだろう?
叙述トリック系? インパクトが強い系? それとも普通に感動系かな。
自分は文章で遊んでる系だけども
0210この名無しがすごい!垢版2018/04/26(木) 21:22:00.44ID:yfIzrq36
お題消化しつつそれは無理ゲーじゃなかろうかw
でも3行くらいで起承転結つけるのはいけそうかな? 考えてみようか
0211この名無しがすごい!垢版2018/04/27(金) 17:21:42.09ID:nQ3y8rEj
使用お題:『実験』『池袋』『爆発』

【アルケミスタ】(1/3)


 池袋。言わずと知れた国内有数の繁華街であり、雑多とした人々が集い、観光地、歓楽街、そして心霊スポット等の様々な貌を持った怪物でもある。
 だが、そんな街もひとたび路地裏へと入り込んでしまえば、表通りの喧噪も遠のき、異界と化す。

「あ、が……」
「ふむ……」

 青黒い顔の男が喉を掻き毟りながら次第にピクピクと痙攣を始める。その男を眺めるのは地味な色合いのコートを羽織った人物。
 男は完全に事切れたのか、弛緩し、四肢を大地に放る。

「フム、想像通りの結果になったな。やはり、幽子と霊子の結合が甘い様だ」

 コートの怪人物は、死んだ男の顔を覗き込む。と、そのコートから金属の輝きを持ったコード状の物が伸び、死んだ男の体をまるで調べるかの様にまさぐった。
 死んだ男の体はあちこちが異形と化していた。しかし、この結果はコートの怪人物の希望に沿う物ではなかったらしい。

「霊的力場の強いこの地でならと思ったが……従来の方法の方が安定しているな。この方法では外部からの霊子の補助は出来ないと考えた方が良いようだ……」

 立ち上がった怪人物は、懐からアンプルを取り出すと、それを死体に振りかける。と、薄く光る緑の液体は、降りかかったと同時に死体をシュワシュワと溶解させてゆく。

「ふむ、外部霊子の取り込みは自然結合だけでは足りない……やはり、失われた“アブソーバー”を再現できないのが辛いな……」

 立ち上がった怪人物は、キューブ状の品をカチャカチャと操作すると、まるでカーテンの裏にでも入り込むかの様に、その姿を消す。
 後には、かつて人だったモノの、黒い染みだけが残っていた。

 ******

 郷下 剣穂がゴシップ記者の矢五明 範司からその情報を仕入れる事が出来たのは、ゴールデンウイーク間近の事だった。
 サンシャイン60通りにあるファストフードの店に並で座った2人は、お互いにだけ聞こえる声で話をしていた。

「ダンナの言った通りでしたね、届出のない行方不明者も合わせれば一週間で5人。明らかに多いですよ」
「……予想通りか、グランドパルスの揺らぎが多いから、“ヤツ等”が動いて居るんじゃないかと思ったんだよ」
「…………グローリアスドーンですか……」

 範司が忌々しそうに眉を顰める。

 グローリアスドーン……いつの頃から存在しているか分からない錬金術師達の結社であり、剣穂、範司共に因縁浅からぬ相手でもあった。
 剣穂は、都内近郊のエキゾチックマターの分布を調べている時に、たまたまその事に気が付き、特に揺らぎの多い池袋で何か起こっていないかを範司に調べて貰っていたのだ。
 グランドパルスはグローリアスドーンの空間移動アーティファクトを使用した時に、その影響を受ける為、彼等が動いて居るのだと思ったのである。

「……また、いつもの実験か? それとも、良からぬ事を企んでいるのか?」
「どっちにしろ、犠牲者が出るんです、放っては置けないでしょう?」
「だな、俺も調査を進める」
「ならオレも、引き続き調べてみます」
「頼む」
0212この名無しがすごい!垢版2018/04/27(金) 17:25:30.74ID:nQ3y8rEj
【アルケミスタ】(2/3)


 ******

 星の巡りの悪い……そう、評すれば良いのだろうか? 少女はワースト1位だった今日の星占いを思い出し「最悪だ」と涙声で呟いた。
 短絡は凶と言う占いの結果を思いだし、ラッキーアイテムの革表紙の手帳を持っていなかった事を今更ながら後悔する。
 ガクガクと震える足が動かない以上、彼女には、怪人物がこちらに気がつかない様に祈る他に出来る事はなかった。
 コートの怪人物は、足元の異形の死体に何某かの液体を振りかける。すると、その死体がシュワシュワと溶解していく。

「あと一歩と言う所ですか……」

 そう呟き、振り向いた怪人物の顔を見た少女は、思わず「ヒィッ」と、呻き声を上げてしまった。
 その顔はウゾウゾと蠢く金属のコードに依って形作られていたのだ。

「ちょうど良いモルモットが居るようですね」

 怪人の顔が厭らしく歪む。少女の足から力が抜け、ペタンと座り込んだ。
 ここから逃げなくてはいけない。それは分かって居る。だが、彼女の体はその要求に応えようとはしなかった。

 カツン……カツン……

 革靴の乾いた音だけが路地裏に響く。

「あ、ああぁ……」

 絶望に彩られた声が漏れた。

「!!」

 飛び込んで来た影に怪人が身を翻す。その顔は驚愕に染まっていた。その視線の先に居るのは、鍛え上げられた身体つきの青年だった。
 怪人の視線は、その青年のベルトのバックルに固定されている。

「……失われし“アブソーバー”」

 青年……郷下 剣穂は冷徹な視線で怪人を見下ろす。
 と、少女は突然抱きかかえられた。

「もう大丈夫ですよ」
「!!」

 もう一人、先の青年とは別の青年。矢五明 範司だった。
 範司は、少女を安全な距離まで運ぶと、剣穂達の様子を伺う。
 二人は対峙し、睨み合いを続けていた。
0213この名無しがすごい!垢版2018/04/27(金) 17:28:54.26ID:nQ3y8rEj
【アルケミスタ】(3/3)


「アブソーバーだと! 小僧! 貴様どこでそれを手に入れた!!」
「あんたこそ、イカれた格好じゃないか、今日はパーティー帰りか? 尤も、格好以上に頭の中の方がイカれてるみたいだがな!」

 一瞬、既に消失した犠牲者の居た黒い染みの方に目を向けた剣穂だったが、次の瞬間には怪人に殴りかかった。
 だが、怪人は軽々とコードで拳を受け止めると、剣穂の顔面を掴む。ミシリと、頭蓋が軋んだ。

「小僧、これは貴様には過ぎた代物だ、ワシが有効に使ってやる。だから、安心して……死ね!!」

 顔面を掴む手に力が籠る。そして、ニヤリと笑みを浮かべた。

 ビキイィ!!

「!! ガアアアァァァ!!」

 手を握り潰された怪人が叫びを上げる。自由になった剣穂が地に足をつけた。だが……

「何だ! 何なんだ! その姿は!!」

 脈動する、生きた金属の鎧。

「ホムンクルス……」
「馬鹿な!! そんなホムンクルス等!! まさか!!」
「そう、“ホムンクルス・モデル”のイデアを書き換えた……故に俺の表へと顕現した!!」

 そう言いながら剣穂は、バックルのアブソーバー、その錬金炉に火を入れると数種のエキゾチック物質の結晶を放り込む。

「生体パルスの置き換え以外の変身方法だと!! そんな物認められるか!!」

 そう言った怪人のコートが弾け飛び、身体が倍に膨れ上がる。剣穂を捕まえようと体中のコードが彼を襲った。
 だが、それを飛び上がる様に避けた剣穂はそのまま反転し、怪人に照準を付ける。炉の中の結晶は溶け合い、アブソーバーによって剣穂の体に吸収される。
 それは深紅の輝き、錬金術を求める物にとって究極の光。カーバンクルの……
 足に集まったエネルギーは、それを受け止めようとした怪人のコードをあっさりと千切り飛ばし、その怪人の力の源、疑似賢者の石に到達する。

「ば……かな」

 怪人はそれだけ呟くと、爆発四散した。
 その光景をどこかぼんやりと見ていた少女は、そのまま気を失ったのだった。

 ******

 少女が意識を取り戻したのは路地からそう離れていない公園のベンチでの事だった。
 母子が楽しそうに戯れる風景をみていると、先程の事がただの悪夢だった様に思えた。

 ******

「ダンナ、良いんですか?」
「ああ、知らない方が良いって事は確かにある」
「ですか? いや……ですね」
「ここから先は、知ってしまった者の責務だ」
「ですね、オレ達がやらなけりゃいけない事だ」
「ああ」

 そう言って2人は池袋の街を見下ろしたのだった。
0214この名無しがすごい!垢版2018/04/27(金) 20:51:34.78ID:/0aLpvhj
>>175

3行くらいの短いの書きたかったけど、さすがに無理だったは・・・

使用したお題:『7』『スマホ』『爆発』

【この中に一人、嘘付きがいる】

 数人の男女が暗い部屋に閉じ込められていた。扉は開かず、窓はなく、どうやっても外に出られない。
 途方に暮れたみんなに、床に置かれていたスマホがメールの着信を告げる。そこには一言、こう書かれていた。

「この中に一人嘘つきがいます。誰が嘘つきか見分けて殺しなさい。そうすればこの部屋から脱出することができます。殺さないと一生外には出られません」

 スマホから顔を上げて目の前を見た。そこには6人の人間がいた。彼らは口々に訴えてきた。

「オレは猟奇殺人犯だけど、嘘付きじゃないよ」
「ぼくは連続殺人鬼だけど、嘘付きじゃないよ」
「私自爆テロリストだけど、嘘付きじゃないよ」
「うちカニバリストだけど、嘘付きじゃないよ」
「儂はプロの殺し屋だけど、嘘付きじゃないよ」
「おいら凶悪爆弾魔だけど、嘘付きじゃないよ」

 彼らの証言を聞いて、自分はこう答えた。

「なるほど。誰が嘘付きが、すぐにわかった」

 そうして嘘付きを殺し、他のみんなは外へ脱出することができたのだった。

 めでたしめでたし。
0215この名無しがすごい!垢版2018/04/28(土) 07:36:32.48ID:LzlVqO7n
嘘つきでなければ良いというモノでもないと言うw
何故犯罪者ばかりを集めたのか気になりますね
0216この名無しがすごい!垢版2018/04/28(土) 07:49:03.59ID:Lq2Aburf
>>211
混ぜるなキケンの三種お題、選択は『実験』『池袋』『爆発』! ブクロのアルケミスタが登場だ〜
物語は『池袋』に蠢くコート男が邪なる『実験』を繰り返し、あとには黒い染みだけを残していくぞ〜、おぞましい顔面、ナイス描写〜
コートだけに正体は金属のコード、少し引っ掛けたかw さあ、知ってしまった女の子にコート男のワームが迫り、正義のホムンクルス、剣穂さんが現れる!
「そう、“ホムンクルス・モデル”のイデアを書き換えた……故に俺の表へと顕現した!!」←だめだ何を言ってるのか分からねえw アルケミスト必殺の蹴りがコード男を『爆発』四散〜
ラスト、カメラは戯れる少女を映し、記憶を抹消!? 戦意は高揚! 知られざる者が痕跡残さず戦いを続ける、アンノウン・シリアス・ヒーローENDだァ〜

>>214
短さを追求する214氏が、お題『7』『スマホ』『爆発』に挑戦するぜ、ネタバレ注意のライアーゲーム、in短編スレ!
舞台は壁しかない疑惑の部屋、集結した『7』人、彼らの『スマホ』に嘘つきをヤれと指令が下る〜、展開はやっ
嘘つきはこの中にいるッ、見つけ出すぞ、じっちゃんの名にかけて! 他の面子がここで唐突に自分の凶悪性をアピール、嘘とか関係なく全員、仕留めなきゃいけないレベルw
しかし、これで分かったぜ、だってアンタは死んでるはずだろ! ああ『爆発』してなッ、て感じでお題全焼、オレ分かっちゃいました極短ENDォ!
0217この名無しがすごい!垢版2018/04/28(土) 07:51:40.10ID:Lq2Aburf
失礼、追記

>>211お題全クリア!
0218この名無しがすごい!垢版2018/04/28(土) 14:34:01.48ID:LzlVqO7n
>>216
感想有難うございます
ホムンクルス・モデル云々は
哲学における知覚認識「『我々が知覚する事が出来るのは、脳内で視覚情報を再構築して見ている小人がいるから』なら、その小人が見ているものは、更に脳内にいる小人が居るのか?」と言うカルテジアン劇場の「カルテジアンのホムンクルス・モデル」の事です
それに「人には見る能力と見られる能力が有る為に知覚される」と言うイデア理論に引っ掛けて
脳内の「見る」小人のイデアを「見られる」に変えたから外に出てきた
つまり、「僕の考えた最強脳内小人(ホムンクルス)を引っ張り出して変身したんだよ」と言う子供理論を難しい言葉で言っているだけですw
0220この名無しがすごい!垢版2018/04/28(土) 20:23:09.97ID:qzkG7LF7
じいさんや、次のお題は4/29の22時ですよぉ
だからもうちょっと待っててくださいねぇ
0221この名無しがすごい!垢版2018/04/29(日) 07:47:44.46ID:sOqQHh5f
>>218
台詞の裏にそこまで編まれた理論があったとはw
0222この名無しがすごい!垢版2018/04/29(日) 10:56:33.74ID:Bg4jXS72
使用お題:『7』『美人上司』『マジレス』
【美人過ぎる女上司が俺に厳しい気がしたけど勘違いだった件について】(1/3)

 「田村君。この資料は何?」
 井上専務のピシャリとした声に俺は思わずビクリと震えた。
 声の方向へ振り返る前に、俺は顔を横にいる先輩へとかすかに向けるが、先輩は苦笑いをするだけだった。そんなぁ。
 「田村君。聞こえてる?」
 「ただいまぁ!」
 俺はダッシュで専務の机の前まで来て、媚びへつらうように無理やり笑顔を浮かべた。それに対して井上専務は、まるで氷でできているかのような真顔で俺を突き刺すように射抜いた。
 それを見て俺は冷や汗を浮かばせる。
 「この資料提出する前に誰かに見てもらった?」
 「い、いえ! ちゃんとは見てもらってません!」
 「どうして? これでいいと思ったの?」
 「い、いえ! そんなことは!」
 「これだと主旨が伝わらない。いらないことを書きすぎて論点が分かりにくい。それに誤字がかなり多い」
 「すみません!」
 「すみませんじゃない! どうしてわからないことを人に聞かないの!?」
 「すみません!!」
 「すみませんじゃないって言ってるでしょ!!」
 「はいぃぃ……」
 井上専務の雷のような怒鳴り声にただただ俺は平伏するしかなかった。
 ああ、これで何度目のお叱りだろうか……怒られるたびに俺の精神がストレスですり減っていくのがわかる。
 「今度からちゃんとなさい」
 「はい……」
 ちらりと専務の顔を窺うと、専務は隙のない真顔で俺を見ていた。
 ……もう少し柔らかい表情をすれば、もっと美人なのになぁ……。
 席に戻ると、隣の席の先輩がドンマイと俺の肩を叩いてきた。
 「……先輩、ちらっと見てこの資料いいじゃんって言ってくれましたよね?」
 「ああ、悪かったよ。俺の名前出さなくてありがとう」
 「……」
 「でも専務が厳しいのもあると思うぜ。あれくらいのなら普通は通ると思うんだがなあ」
 「……俺、嫌われてますかね?」
 「お前には厳しいよな。初日がまずかったんじゃねえの」
 「あのアニメTシャツスケスケ事件ですか……」
 「お前のじゃなくてアニメキャラの乳首が透けて出てきたのは俺もまずいと思うぞ」
 「俺の勝負服なのに……あれから専務が俺をマークしてるっぽくて……いつもあの真顔で俺を見てくるんですよ……」
 「あの人笑わねえよなあ。俺もあの人は苦手だ」
 肩をすくめて先輩は仕事に戻る。俺も仕事に戻るが、気分は憂鬱だ。
 他の無難なアニメTシャツ持ってくればよかったなぁ……。
0223この名無しがすごい!垢版2018/04/29(日) 10:59:41.43ID:Bg4jXS72
使用お題:『7』『美人上司』『マジレス』
【美人過ぎる女上司が俺に厳しい気がしたけど勘違いだった件について】(2/3)

 「田村君。もうすぐ仕事終わりますよね。今夜飲みませんか?」
 俺はガタンといすから転げ落ちて、声をかけてきた専務を見上げた。専務はマジの顔だった。
 俺は助けを求めて周囲を見るが、誰も我関せずといった様子だった。
 「積もる話があるんです。積もる話がね……」
 俺は戦慄した。
 
 「え!? 専務もあのアニメ好きなんですか!?」
 「あまり人には言えませんがね。あのバカバカしさは好きです」
 「い、いやあ! 嬉しいなあ! 俺、あのアニメ好きだっていうとすぐクソアニメ愛好家とかバカにされて」
 「否定はしませんが、一味は違います」
 最初は専務の一挙手一投足に警戒していたが、酒が進み和やかに続く会話に俺はおやっと戸惑いつつ、実は専務がアニメ好きだという事実に驚天動地して、
さらにアニメの話を俺と話す機会を窺っていたと聞いて、俺はなんだかホッとするような嬉しいような困惑するような気持でいた。
 「専務、古めのアニメとかも知ってるんですね。おいくつなんですか?」
 「うーん、まあ、7です。7」
 「37?」
 「怒りますよ」
 そう言いつつ酒を飲みながら楽しく会話を続けてくる専務は、いつもと違う新鮮な面を出していて、俺はとてもはしゃいでしまった。
0224この名無しがすごい!垢版2018/04/29(日) 11:03:00.27ID:Bg4jXS72
使用お題:『7』『美人上司』『マジレス』
【美人過ぎる女上司が俺に厳しい気がしたけど勘違いだった件について】(3/3)

 「……いやあ、俺、専務に嫌われてると思ってましたよ」
 「嫌ってなんかいません。アニメのこと話したくて、ついついつっかかるようになってしまいましたが」
 「他の人はアニメ好きだって知らないんですか?」
 「知らせていません。ボロを出さないようにしてますから……」
 「だからいつも硬い表情をしてるんですね。可愛いのにもったいないなあ」
 「ちょ、なに言ってくるんですか……」
 「今の専務はポワポワしてて超絶可愛いですよ!」
 「酔ってるんですか、まったく。ああ、私も酔ってますね、うう……」
 井上専務は顔を赤くして隠すように頬に手を当てていた。
 「うわ! それ、萌えってやつです! 萌え!」
 「ちょっと古くないですかぁ?」
 「あー! そんな専務だったら、今ごろ社内の人気者なのになあ!」
 「からかわないでくださいよ……」
 「めっちゃ可愛いなあ! もっと砕けていいと思います! 専務はめちゃくちゃ可愛いので!」
 「か、可愛いですか? そんなに言われると、その気になっちゃうなぁ」
 専務はいやいやと身をよじらせながら、表情をほころばせていた。あれ、ちょろいぞこの人。
 「井上専務! 井上専務! あそれ井上専務!」
 「はーい、井上専務、17さいで〜す。きゃぴ!」
 「あ、それきついっスね。はは。しかも古くないすか」
 「なんでそこでマジレスしてくるんだよ!」

 翌日、専務に殴られた跡を引き連れて出社する俺に心配の声が上がり、専務の社内評価が落ちて、専務はさらに落ちこんだ。
 誤解を解くべく俺はできる限りのフォローをして、なんとか専務の評価を戻した。専務は俺に礼を言うが、俺も悪かったので恐縮しきりだった。

 それからも、俺と専務は頻繁に二人で飲んでは、アニメについて語り合うようになったとさ。
0226二代目進行 ◆rZF28D1ulBTo 垢版2018/04/29(日) 22:02:33.36ID:GMDoXwlC
お題『7』『実験』『スマホ』『池袋』『美人上司』『爆発』『マジレス』締切

【参加作品一覧】(1/2)
>>178【爆発! 可哀想な者倶楽部】
>>183【宇宙の地図】
>>190【論理的オーバースペック】
>>193【メガネをはずしてください】
>>200【人が死なない爆弾】
0227二代目進行 ◆rZF28D1ulBTo 垢版2018/04/29(日) 22:02:49.19ID:GMDoXwlC
【参加作品一覧】(2/2)
>>203【リバイバル】
>>211【アルケミスタ】
>>214【この中に一人、嘘付きがいる】
>>222【美人過ぎる女上司が俺に厳しい気がしたけど勘違いだった件について】
0229この名無しがすごい!垢版2018/04/29(日) 22:07:49.99ID:QLr/6/4c
投票は特別やらんでもいいんじゃない? 勝手に投票する感じで

ちなみに>>203【リバイバル】に一票。上手い事偉人を盛り込んだのがよかったから
0230この名無しがすごい!垢版2018/04/29(日) 22:07:54.91ID:D44wSwJr
7お題から3つ強制
なかなか良かったんじゃない?
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