「夜の匂い」
夜中に外出るのって、結構面白いよね。何て言うか夜の匂いがある。

家の外に出て目を閉じて深呼吸する。
胸いっぱいに空気を集めて、ゆっくりゆっくり吐いて行く。
右側には自分のうち。左側には友達の家。
右から匂う葉っぱの匂い。サカキって言うんだっけ?玄関の隣に生えてる木がめっちゃ自己主張してる。
左側からは青臭い雑草の匂い。お隣さんはいつも草むしりサボるから雑草が騒いでしょうがない。
一度目を開け空を見る。
そこには満点の月、、なんて無くて、ちっちゃな星がちょっとだけ。
後ろの方からお月さんが私はここに居るよって言ってるけど、聞こえなーい。
もう一度目を閉じ深呼吸。
息を吐いたら目を開けて、くるりと一周。
体を追いかけて来る夜の匂い。胸にも背中にも、たくさんくっ付いてくる。
ちょこっと遊んでたら、振り返って、お月さんにお辞儀。
照らしてくれて有難う。と、意地悪してゴメンね。ってね。
三日月さん、満月さんより好きですよ、と、ちょっとふざけておやすみなさい。