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ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【92】
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0001ぷぅぎゃああああああ ◆Puuoono255oE 垢版2018/06/09(土) 12:55:41.13ID:Yg37KSzP
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点数の意味
10点〜39点 日本語に難がある!
40点〜59点 物語性のある読み物!
60点〜69点 書き慣れた頃に当たる壁!
70点〜79点 小説として読める!
80点〜89点 高い完成度を誇る!
90点〜99点 未知の領域!
満点は創作者が思い描く美しい夢!

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前スレ
ワイが文章をちょっと詳しく評価する【91】
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0303第四十六回ワイスレ杯参加作品1/2垢版2018/06/11(月) 11:13:15.69ID:jolM+Kni
 人間は何のために生きるのか。
 他者に奉仕する為だ。そう考える人もいる。そう考えることができる人は幸福である。その
人は、まだしも奉仕すべき他者という存在を持っているからだ。
 私には家族などいない。私は無惨な存在だ。
 そう絶望するな、何もそんなに自棄になることはない、世の中にはまだまだ、楽しいことが
沢山ある、さあ前を向いて生きよう。今は五月。植え込みに薔薇が華やかに咲いて、私達を祝
福している。お前は雑草風情ではない、一輪の薔薇のように可憐な乙女。髯が伸び、低い声で
たどたどしく話すがそれでも心は乙女なのだ。そう思い込んで、どんなつまらぬことにもから
からと笑って、幸せに生きていくのだ、S、お前の今のザマはなんだ、ただただ不平不満、絶
望、厭世的、厭離穢土、つくづくこの世の中がいやだなどと考え、他者に対する卑屈さ、無感
動、被害妄想的精神、いじけた心根、そうしてただつまらぬつまらぬと繰り返し、ずっとただ
そうやって、日がな一日、くだらないことを考える。お前に必要なのは乙女の精神だ、そう自
分に言い聞かせて、笑えぬようなことでも無理に笑い、そうしてやはり頭は下げ、迎合の笑み
浮かべて、ああ、これが人間の生き方か、所詮人間というのはこの程度のものか、と自問し、
そうではないと思いつつも、自分でも何がなにやらわからぬ心境、夢現のぼんやりした態度で
あっちにふらふら、こっちにふらふら、まるで自分というものが定まらない。しまいには自棄
になって、酒ばかり飲んで、また考える。
 乙女の精神など見習うべきではない。そもそも、己(おれ)にはそれは不可能ではないのか。
箸が転がっても笑っているというのは、笑い話ではない。白痴同然だ。ただ己の中に燦然と輝
く心の働きというのを無視して、表面的に自分というものを取り繕って笑っているのだ。いわ
ば本能かもしれない。そうしていけば、無難に結婚などもできよう。この己が真似したところ
で、はてこいつは気でも狂ったかと疑われるだけのことに過ぎない。
 人生というのは訓練である。言わばこの薄汚い世の中で、艱難辛苦に耐える訓練である。た
だひたすら耐え忍ぶ訓練。そうして死ぬまでそれが続く。人生に目的があると思っている人間
は幸せである。明盲(あきめくら)には目の前で人が殺されようが、関係ない。無知で愚鈍、
ただひたすら自分の情念に向かっていく姿勢だけは真摯、そんな生き方もある。私には真似で
きそうもない。
 絶対的で不可侵的な安穏、それを私は求めているのかもしれない。自分の侵した罪から逃れ
る為なら、私はどんな言い訳でもする。ああ、私は罪を犯しました。でもそれは、筆舌に尽く
しがたい私の苦しみの結果としての、必然的な行動だったのです。私に他に、どのような選択
があったと言うのでしょう。
 郷里の、あまり裕福でない母は、何も言わずただメールで、安心しろ、と言って、金を送り
続けてくれた。私はそこで、取るべき行動を取らず、ただこの一瞬の安寧、安息のために嘘を
つき、来年は卒業できると言った。来年になるとまた、同じことを繰り返した。焦燥感、罪悪
感で私の胸は潰れた。だが、それと共に私の心にあるのは、「人生は空しいのだ」という思い
であった。
 空しかった。授業を受けている自分というものが、なんだかとても空疎で、虚無的で、本来
的でないような気がした。教授の言うことも全て面白くなく、ただ金を取る為に無駄口叩く阿
呆、そういう風に私には見えた。たまらず、私はそこから抜け出し、大学の前を流れる小川の
散策をした。
 白鷺か青鷺かわからぬが鷺がいて、川の水の中に立っている棒のようなものの先に止まり、
微動だにしない。私はそれを、ただぼうっと眺めていた。そうする方が、教授の小言めいた教
えに耳を傾けるより、ずっと有意義に思えた。鷺が私に教えてくれるような気がした。
 人生、何が幸いするかわかりませんよ。一本道じゃないんですよ、人生は。
 大学を出て、規定路線で企業に入社して働くことが、私にはつまらなく思えた。旅に出よう
か。身も心も、旅先の景勝地で夕日でも浴びれば清くなるだろう。そう思い、清くなった自分
を想像した。清くなろう。ならなくてはならぬ。私には、そんな気がした。帰って、旅の準備
をした。すぐに済んだ。もっていくものは、羽織一着、袴一着、矢立、数枚の紙、鞄。それに
百万円。これだけである。
0304第四十六回ワイスレ杯参加作品2/2垢版2018/06/11(月) 11:13:40.43ID:jolM+Kni
 翌朝、私はN県へ向かって旅立った。何日で着くか、どのような障害があるか、何も判らな
い。N県に入るまで四日かかった。その先は更に道が険しい。息を切らして、私は進んだ。
 視界の悪い、雑木林の中。コンビニで買ったおにぎりを食べ、私は木に背を凭せかけて座っ
た。
 ああ、ここが己の、最後の場所となるのだ。己は懐から薬を出した。
 最期にマンガを読み、げらげら笑った。腹を抱えて笑った。これほどまでにおかしいとは思
わなかった。なんだか現実の全てのものが、燦然と光り輝いているようだった。
 もう、どうでもいいんだ。青酸カリと多量の睡眠薬。己は睡眠薬から水で喉に流し込んだ。
 少し苦い感じがした。胸が苦しくなった。何を考えたかは覚えていない。ただ、小学生の時
の初恋の女の子や、優しかった母のことを思い出したようだ。私はもう、母との連絡を絶って
いた。二度と会わないつもりだった。
 誰も助けになど来るまい。
 猛烈な吐き気に襲われた。うつ伏して四つん這いになり、力が抜けて地面に倒れ伏した。

 気がつくと、夜だった。車の音がした。己はまだ生きている。
 自殺失敗だ。お母さん、まだ生きているよ。
 もういいんだよ。お前は死ぬべき人間じゃない。そう言われた気がした。
 そう、世界はこんなにも輝いて……まるで万華鏡のように、我々に千変万化の姿を見せてく
れる。お前はまだ、死ぬべきじゃない。

 そうじゃない。
 M、お前は私を裏切った。私はお前を信じていた。大事に大事に扱うつもりだった。何より
も大事にして、共に生きていくつもりで、私はお前と結婚したんだ。
 己はこの世の中に相応しくない。いや、この世界は、俺に相応しい世界ではない。
 己は、青酸カリの瓶の中に残ったものを全て飲み込んだ。

 激痛の後に、安楽が訪れた。意識が遠くなった。己は無事、死ぬことができた。
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