「ポチ」

ポチとぼくとは仲良しだ。
いつでも何でもはんぶんこ。お菓子を食べてもはんぶんこ。
ほかほかおジャガもはんぶんこ。散歩もいっしょにはんぶんこ。
あれ……?

今日はウメボシ、たくさん持ってきた。
ビンの中にいっぱい、いっぱいあるよ。
ウメボシ好きなんだ、ぼく。
すっぱくてしょっぱくて、口の中がひりひりする。
あー、すっぱい。
すっぱいすっぱい、すっぱいよ。
ポチはお座りしながら、足をばたばた、ばたばた。
ポチも食べたいのかな。
ポチも食べるのかな。
手の上に大きなウメボシひとつのっけてポチにあげたよ。
ぺろりと一口で食べちゃった。ポチもウメボシ食べるんだ。
やっぱりぼくとポチとは仲良しだ。
でも、ポチはすぐに吐き出して、げほげほ、げほげほ。
やっぱり駄目なんだ、犬は。
ぼくはちょっぴり悲しくなって顔をウメボシみたいにしかめたよ。
そしたらポチは吐き出したウメボシを拾って、ばきばき音を立てて飲んじゃった。
種は食べなくてもいいんだよ。
ばかだなぁ。
ぼくはビンの中からウメボシを取り出して、口の中に放りこんだ。
足をばたばたさせてるポチと、にらめっこしながら。
ポチのおわんの水をひっくり返して、その中にぼくが食べたのと同じ数だけ入れてあげた。
全部で八こ。
またいっしょに食べようね。

外からポチの声が聞こえるよ。
きゅうきゅう、きゅうきゅう。
いつもは静かなのに、今日はおかしいね。
ぼくも今日はちょっぴりおかしいよ。
麦茶いっぱい飲んじゃった。
ジュースもいっぱい飲んじゃった。
あ、もう寝る時間だよ。
ポチも早く寝ようよ。そんなにいつまでも鳴いてないで。
もっとウメボシ食べたいのかな。

でもあんまり食べるとおねしょするよ。