ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【93】
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
オリジナルの文章を随時募集中!
点数の意味
10点〜39点 日本語に難がある!
40点〜59点 物語性のある読み物!
60点〜69点 書き慣れた頃に当たる壁!
70点〜79点 小説として読める!
80点〜89点 高い完成度を誇る!
90点〜99点 未知の領域!
満点は創作者が思い描く美しい夢!
評価依頼の文章はスレッドに直接、書き込んでもよい!
抜粋の文章は単体で意味のわかるものが望ましい!
長い文章の場合は読み易さの観点から三レスを上限とする!
それ以上の長文は別サイトのURLで受け付けている!
ここまでの最高得点76点!(`・ω・´)
前スレ
ワイが文章をちょっと詳しく評価する【92】
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1528516541/ 第四十六回ワイスレ杯の参加作品を前スレから転載する!(`・ω・´) 予知夢
私は路地裏へ迷いこんでしまった。
細い道が碁盤の目ように走っていて、古い民家が立ち並んでいる。
交差点を渡ろうとしたそのとき、大きな魚が視界の右から現れた。
私は電柱の陰に隠れ、魚は私に気づくことなく、ゆっくり視界の左端へ消えた。
電柱から首だけだして魚の往った方角を確認してみる。
鯉幟のようなその魚は、私のいる地点から3ブロックほどさきの民家の前でじっと動かずにいる。
尾びれと胸びれがゆっくり空気を掻いている。
見てはいけない。強くそう思い、私は魚が往った反対の方向へ歩いて行く。
ある民家の格子戸を開けてみると、上がりかまちに男が座っていて、テレビ局に勤めていそうな風体である。
ネクタイをしないサラリーマンのようなこの男に、大きな魚がすぐそこにいることを告げる。
しかし男はにやにや笑うばかりで、何でもないことじゃないか、とでも言いた気である。
私は諦めて玄関を出た。
魚に気づかれぬよう慎重に格子戸を閉める。
抜き足差し足で路地裏から大通りにでた。
大通りを横ぎると、埋立地のように殺風景な原っぱが広がっていて、ススキや泡立ち草が生い茂る中に、外壁がくすんだ灰色の倉庫のような建物がぽつんと一棟だけ在る。
中に入り、階段を最上階まで登ると、そこは何故か病室になっていて、私が常日ごろから死んでほしいと願う女がベッドに横たわっていた。
ベッドの脇の椅子に座り、私は女と言葉を交わす。釣師が海底に沈めた仕掛けを探るように、慎重に言葉を選びながら、私は女を観察する。
女の青くむくんだ顔を見て、この女はもうすぐ死ぬと確信する。
私は嬉しくて堪らない。
いつもより1時間早く目覚ましがなった。早番出勤のためである。
ベッドの傍らに同棲している女が横たわっている。
もぞもぞ動く毛布越しの輪郭が紡錘形の魚のようである。
しかし私は最近この女に欲情しなくなってきている。
少し前から女の体臭が気になり始め、それが兆候だったかもしれない。
今では女のやることなすことが気に入らない。
ベッドから降りた私はクローゼットからワイシャツをだして着けた。
女はようやく目を覚まし寝ぼけた声で言った。
「起きれなくてごめんね。朝ご飯はコンビニのおにぎりですませてちょうだい」
さっきまでの夢を反芻していた私は、知らぬうちにネクタイの結び目を解いていた。
端と端を持ち、だらりとUの字に弛ませたネクタイ。
私はそのままの姿勢を保ち、ベッドへ近づいていった。
そして…… 第四十六回ワイスレ杯参加作品
>>3-30
只今、二十八作品!(`・ω・´) >>1ワイさん、おつかれさまです。
現在ワイスレ杯の覆面論評会と化したスレも貼らせて下さい。
ID出ません。
ワナビの作家レベルを向上させるスレ1
http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bun/1528944388/ >>31
お疲れ様です
今日と明日であと30作くらい来るのかなっと 「神姫プロジェクトRは神ゲー」の訂正
先頭の前か前後に
→戦闘の前か前後に 第四十六回ワイスレ杯のルール!
名無しの書き込みを必須とする!(名乗った場合は通常の評価に移行する!)
設定を活かした内容で一レスに収める!(目安は二千文字程度、六十行以内!) 一人による複数投稿も可!
通常の評価と区別する為に名前欄、もしくは本文に『第四十六回ワイスレ杯参加作品』と明記する!
ワイが参加作品と書き込む前に作者が作品を修正する行為は認める!
今回の設定!
設定は無し! ジャンル不問、一レスで完結する作品を募集する!
今回はいつものワイスレ杯ではない! 確実に一人、プロが混ざっている、たぶん!
このまま独走を許すのか! アマの底力を見せて頂点に立つのか!
己の強い意志と作品に賭ける情熱が勝敗を決める!
応募期間!
今から土曜日の日付が変わるまで! 上位の発表は投稿数に合わせて考える! 通常は全体の三割前後!
締め切った当日の夕方に全作の寸評をスレッドにて公開! 同日の午後八時頃に順位の発表を行う!
ワイスレ杯のルール!(`・ω・´) >>34
>>36
>ワイが参加作品と書き込む前に作者が作品を修正する行為は認める!
このルールに則り、修正は認めないものとする!(`・ω・´) >>37
まだ日曜日まで時間があるし、禁止する理由も意味も全くないと思うのですが?
それに、みんなが
「ここは間違った。ごめんね」
と言っているところに、わざわざ
「ここは間違いだ。こんな間違いをしていたら減点だ」
と言っても
「間違いだと言ってるじゃないか」
となるのですが、そうやって修正を認めないことに何の意味があるんですかね。
何の意味もないならやめたらどうかな。 >>39
ワイスレ杯のルールにちゃんと書いてある!
守らない者に非がある! 従って修正は許可しない!
ワイの考え!(`・ω・´) スレ立て本当にお疲れさまです。ありがとうございます! 「天ぷら屋」
久しぶりにこっち方面に来たな、さて昼は何を食べよう。蕎麦にしようか、ザルではない冷たいぶっ掛け系のやつだ、ここら辺りにいつも食べているチェーン店があったはずだ。それに天ぷらを足すのもいい。
天ぷらかぁ……そうだ、その蕎麦屋の近くに天ぷら定食屋があったな、そこにしよう。
狭い路地の奥、店に近づくと徐々に天ぷら油の匂いが強くなってくる。間口は一間の引き戸のみ、奥行きのある店内は長いカウンターだけだ。昼をとうに過ぎた時間だが、20席ほどある席の半分近くが埋まっている。
入口の置物みたいないおばあさんに注文を告げる、食券販売機の人間版だ。
メニューはもちろん天ぷら定食(ご飯、味噌汁、天ぷら)のみ、定食の種類が天ぷら5品(野菜2、魚、ササミ、その他)、5品+エビ2、エビ5のみというシンプルなもので、あと一品だけとかご飯の大盛り小盛りなど。
私は5品を注文した。おばあさんは少し大きな声で「お一人様」と言いい、おつりと札をくれた。今じゃめったに見ない、数字の書いた楕円のプラスティックの札だ。
狭い間隔で椅子が固定されているで、私は両側に客のいない席を選んで座った。札をパチリとカウンターに置くと、すぐにカウンター内の店員がお茶を持ってきて、札をさっと取りカウンター内側に置く。
それから少し間をおいて、大根おろしの入ったつゆとタクアンが二切れの小皿が運んでこられ、次にワカメと豆腐の味噌汁(白味噌仕立て)とご飯が目の前に置かれた。
天ぷらが出てくるのはもう少しあとだ。席から厨房の台に並べられたタクアンの小皿、具だけ入った味噌汁のお椀、大きな炊飯器に山積みされたご飯茶碗などが見える。奥では天ぷらが揚げられている。
とりあえず味噌汁を一口啜る、前に見えるあの大鍋でずっと温められている汁だ、まあ風味はあまり無い。
そこで目の前にある七味唐辛子を一振り味噌汁入れる、それから天つゆにも二振り。もう一度味噌汁を口に運ぶ、それからタクアンをかじり、ご飯を一口。
これで一旦止めて置かなければ、後に出てくる天ぷらとご飯の量のバランスが崩れる。
おっ、揚がったな、……他の客の分だった。眼の前のご飯と味噌汁を我慢しつつ再び待つ。スマホ開いて、5chを見て暇つぶし。おーワスレハイが始まってるぞ。
「はい、どうぞー」と揚げたての天ぷらが目の前に来る。
さて何から食べよう。ごぼうとニンジンのかき揚げ、紫蘇をのせた鶏のササミ、開いたキス、玉ねぎの輪切り、あと四角い白い……イカだ。
それではまずかき揚げをつゆをつけ一口、サックと噛み切れる、これは三口分だな。次はキス天を小さく一口、サクッどころではないパリッと行ける。よしご飯だ、そして味噌汁。
次は玉ねぎだ、大抵アーチ状で揚がったのが出てくるのだが、玉ねぎの端の部分だから丸い形で揚がっている。
それを半分噛じる、おや皿の玉ねぎの下から細長い棒状の天ぷらが出てきたぞ。何だろう? 山菜かな、6品目だ、ラッキー! では一口……。あらさっきの玉ねぎの丸い一番外側が切れて伸びて揚がってただけだった。
気を取り直して、二切れ目のタクアンを食べご飯を一口。よし次はササミだ、天つゆにつけ半分食べてみる。あっさりとしたササミに紫蘇がいいアクセントになっている、二口に分けて食べようと思ったが、そのまま全部口に放り込む。
それからご飯を少し多めにかき込む、それを味噌汁で流し込む。思ったよりご飯の消費が激しい少しセーブしなくては。
玉ねぎを全部食べ、味噌汁、かき揚げ二口目、味噌汁、ご飯一回休み。キス天にはたっぷりつゆをつけ大根おろしも山盛りで口に運ぶ。尻尾を出すなんて野暮なことはしない、そこがいっそうこのサクサク感を演出しているのだから。
残すは、ご飯一口少々、味噌汁も少々、かき揚げにいか天。先にかき揚げを片付け、そして味噌汁を飲み干す。
とうとうメインのイカだ、ササミとこれどっちをメインに持ってこようかと考えたが、ちょっとイカの方が大きかったのでこちらにした。つゆの大根おろしも残してはもったいないのですくうようにつけ、口へ。
これは一口で行こう、もちっとした食感をを感じようとしたら、軽く噛み切れた。……あちゃーこれ白身魚じゃん! そうだったここには一品にもイカ揚げとかなかったな、他の店のメニューと勘違いしてた。
残念無念と残りのご飯を平らげお茶を飲んだところで、二人連れお客が私のすぐ隣に座ったので、私は席を立った。
入口のおばあさんが「ありがとさん」と言って送り出してくれた。 男女
ようやく小説らしくなった
が、文章レベルは今回のコンテストの中で間違いなく下位レベル
ストーリーにも何ら面白味がなければ、驚きもなく、鮮やかなオチがあるわけでもない
このストーリーラインでなにを魅せたかったのか甚だ疑問
というか、ラノベを低く見ているくせに、書いてきたのがこれってどういうこと?
出来が悪くてもいいから、せめて純文書いてこい、純文
お前の半分の太宰が草場の陰で泣いてるぞ
仮にも創文板の端くれだろうが、お前は 寸評面倒になった
神姫プロジェクトRは神ゲー
やはり悪文。しかも気持ち悪い。何が書きたかったの?
願望垂れ流し? あるいは、キモオタ批判?
キモオタもお前のような屑にだけは批判されたくないと思う
働いてさえいたら、少なくともお前より上位存在 分際
冒頭の分別の下り、丸っきりいらん
後の話に全く関係ない。ただの字数稼ぎ。削れ。そもそも文意が掴みにくすぎる
冒頭以降はまだ意思疎通可能な日本語だが、この冒頭の文章はおかしい
エイズに関して偏見を持ち過ぎ、そもそも知識がないなら書くな
あるいは、どうしても書きたいなら下調べしろ、ボケ
エイズ患者と健常者のパートナーは存在する。勿論肉体交渉を持つときは、
しかるべき対応を怠るとパートナーに移してしまうが
なので、色事ができなくなるわけではない
そもそも、エイズ患者が、乱れた性生活を送った報いと書いているが、
エイズの感染経路はセックスだけではない、性交渉関係なくエイズに感染するパターンもあるんだよ、阿呆
そして意思疎通は可能だと書いたが、ただ書いてあることが分かるというレベル
美文とは程遠い悪文、そして読者の共感を得られるような内容ではなく、むしろ読者から軽蔑される内容だ
これを書く理由がホントに理解できん
捻くれたド底辺が、何かいいことを言ってるような体をとろうとしてとれず、ド低能の下らない不満をぶつぶつとみっともなく晒してるだけ。無様 神の遣い
まず冒頭のナレーション、ナレーション自体は別にいいんだが
お前のはセンスない駄文。ガキが頑張って背伸びしましたみたいなナレーションでがっくしくる
しかも『考えてもみろ』が浮いている、一生懸命ガキが背伸びしたナレーションの最中に急にイキリ出すな
後、神の数え方は、一人二人じゃなくて、一柱二柱だ
更に言えば、考えてみろの後に続く稚拙な論理に対する反論はいくらでもできる
神様同士の会話にも面白味が皆無
天才児がいます、下っ端神様が言うが、作文の内容に天才性の欠片もない
馬鹿でも考えそうな、というか、宗教がなくなった方が平和になるんじゃね? なんてのはネットのそこかしこで暇人が鼻ほじりながら言ってるわ
ついでに、平等なんか欺瞞だー、も痛々しい馬鹿の叫び聞いてる気分になる
神様Aがこんな駄文で、感心する理由がわけわかめ
よっぽどド低能な神様なんだろうな
後、平仮名に開いたら夜されると思うな。おと武の描写は完全にアウトだ、ボケ 第四十六回ワイスレ杯参加作品
>>3-30
>>43
只今、二十九作品!(`・ω・´) 「太宰っていうのは、結局は気取り屋なのよ。気取りの文学よ、太宰は」
私は文芸批評が好きだ。人の批評を受け売りするだけだが。
「でも『走れメロス』は名作じゃない?」
「あれは太宰の健全な部分が現れてるわね。でも大半は気取って、嘘を並べて謙遜してるのよ。でも実は、謙遜に見えて気取って書いてるの。文学者はそういう作品を褒めるわけには行かないの。
自然に、あくまでも自然に書くのが文学なのよ。『風の便り』という短編の中で、太宰は自分でそこに言及してる。自分の文学は正確を期す文学ではなく、その一番大事な所が自分の文学にはないって。
おそらく作家仲間の誰かがそう言ったのね」
「それって、太宰へのジェラシーじゃないの? 太宰の作品は、それはそれとして十分完成しているし、直す箇所などもないように思えるのだけれど……」
げ、太宰に詳しいのか。私は焦った。
「あくまでも私の個人的な意見よ。太宰を無条件に肯定する人にとやかく言う気はないわ」
そう、受け売り以外は私は語る言葉を持たない。語彙がないのである。
語彙がないばかりでなく、表現力もない。的確に言い表すことができない。平成生まれ特有の、知的障害者スレスレの国語の能力。取り返そうとして高校から読書を始めたが、
遅すぎたようだ。もう一生直らないのだろう。
その私が、書評の受け売りを話す時だけは雄弁に、饒舌に語るから不思議だ。なぜこのようなことができるのか、自分でも解らない。
その後も私は「太宰は気取り」という説明をさんざんっぱら繰り返した。智子は太宰を、ほぼ全て読んでいるようだった。私は劣等感を覚えた。
喫茶店を出ると、夕方だった。いや違う。朝だ。ひんやりとした空気が肌に感じられ、時計を見ると五時だった。まだ薄暗いのは日が出ていないからなのだ。
超常現象か。私は驚くほど平然としていた。世の中、何が起きるか解らない。これぐらいで驚倒していては身が持たない。
だが、おかしいことはまだあった。あちこちに、本のキャッチコピーやらタイトルやら、本文の抜粋などが張り出されてある。百貨店の吊り広告や看板のようなものが到る所に出ていて、色々な文句が揃っている。
なぜこんなにも、広告が?
私はそれを見ているうちに、肌がむず痒くなった。
いや暫くして、刺すような痛みが走った。耐えられない。私は全身を服の上から掻き毟りながら、地面に倒れ臥し、地面で背中をこすった。
「大人の流儀」
「私は私を殺して
私は私になった。
私は私を生かして
私は私を捨てた。」
「怪奇探偵 Lizzie and Crystal」
「ばんそうこうダイエット」
「なぜベストを尽くさないのか」
絆創膏を平仮名で書く、ここに気取りを感じる。
絆創膏を貼っても痩せる訳がないのに、気取ったおばさんと、気取った詐欺師の気取った文化だ。
なぜベストを尽くさないのか。ベストを尽くしても他人から見てベストでないこともある。努力の強要は時として悪い。要はただ気取っただけだ。
ああ、痛い! 私はこのまま死ぬのだろうか。
考えてみれば、太宰なんて、気取りというほど気取ってはいない。謙虚な、好感の持てる作家だ。自分の書くべきものを書き、自分を演出することが作家の義務であると心得ていただけのことである。
神様、変に気取ってすいませんでした。これからは、もうしません。神様!
そこで目が覚めた。酷い夢だった。これからは正直に生きよう。自分を騙すのはもう御免だ。 >>41
法律で徴兵されたら、法律だから仕方がないと言って人を殺しに行く、そんな考え方ですね。
ルールというのは常に検討が必要なのに、決まっていることだから、というのはおかしいですよ。
まあでも直さない方が悪いとも思うので、このままで結構ですが、貴方の横暴に付き合う方の身にもなってね。
やっぱり独裁はまずいね。 第四十六回ワイスレ杯参加作品
>>3-30
>>43
>>50 「批判」
只今、三十作品!(`・ω・´) >>51
その修正はルールに則って認める!(`・ω・´) 判定不能というものがあると、ワイは指摘しておいたが、それがどういう基準かわからぬ者がいるので、ここに改めて記しておく! まあ簡単な話ではある!
語り口調で、延々と、駄弁っている、もの! それこそがクソである!
クソでも短ければ我慢できるが、誰だってそんなもの何百ページに渡って読みたくもあるまい!
短編を書いても意味がないとわめいていた者がおったが一理ある! 今回の1レス作品と同じ調子で長編を書いても、それが読むに値するか、わからぬ者は、とくと想像してみるがよい!
なぜエッセイがダメで小説ならいいのか! 極論すれば小説であるならば延々と読んでいられるからである!
エッセイもどきのクソをまき散らしている者は、早々におのれのケツをパンツの中にしまうがよい!
さらなる精進を期待する! ワイが話を聞く気がないなら
ここにはテキトーに投稿して、後でじっくり推敲させてもらうわ
ここ以外でも公開できるし >>58
お前どんどん糞になるな
もはやただのワイのリモコンロボットじゃねえか >>58
弱者の添削ばっか攻撃してんじゃねーよ
ワイを攻撃しなかったら、お前の存在価値はどこにあるんだ? >>58
> 明智はまあ普通に合格である!
クソワロ、プロのリーマンには土下座か
リーマンにダメ出ししてこそのプロの技術力だろ >>46
>エイズの感染経路はセックスだけではない、性交渉関係なくエイズに感染するパターンもあるんだよ、阿呆
性生活が乱れたひとや、ホモが感染しやすい事実はある
>いいことを言ってる
いいことなんか言ってない。
初めから分際を弁えて、物書きなんか目指さずにドカタやってろとお前らに言ってる。
>>44
純文学を書け? 文学には色々あるんだよ。全てに価値がある。
純文学でないとダメなんて言うのは視野狭窄。当たり前だそんなこと。
>>47
作文の内容に天才性の欠片もない
現実にはいないから超人と言った方が適切な位なのに
天才じゃないというのはおかしいね >>64
逆である! ワイが情けをかけた! 詳しくは語るまい!
さらなる精進を期待する! 始祖ワイ 、お前のレベルでは無理だよな
プロのリーマンを晒すなんて
> 明智はまあ普通に合格である!
やれるのは土下座のみ >>67
はて、プロのリーマンとは何であるか! 少々世情に疎いので説明してもらえると助かる!
さらなる精進を期待する! お前らがやたらと持ち上げるから、俺が本当のことを言ってリーマン氏が傷つく
お前らのせいだな
ほんとレベル低いよ リーマンは中途半端に完成してしまって
もう修正不可能だからな
お気の毒様だよ ワイが多くてわけわからんな
ちなみに俺は一人称が小学生に上がるまで僕でそれ以降は18までワイ
リアルワイだ
この中で俺以外に実用してたやつはいないだろ ちなみに鹿児島弁ではワイというと「あなた、君」の意になる >>60-70
ワイの建設的な議論の意味を履き違え、
個人の評価に対する評価を繰り返す君達はワイスレには必要ない!
居座るのは自由だが、ワイは君達を見限った!(`・ω・´) >>73
知ってる
宮崎のヤツに言われた
ちなみに自分の事はオイだってw
そうだろ? 往年の夫婦が嫁さん呼ぶ時かよwww
って笑った記憶がある
懐かしいなあ >>32
勅使河原作者です。
今日はアップしないので言わせてください。
カジャは素敵な作品だと
思いますが、俺が書いたのではありません。 勅使河原さんなんで沈黙してんだろと思ってた
余計な事を言わないように黙ってました >>79
俺が書いてると言われた時は分からなくて戸惑いましたが、
良い作品だなあと思います。ぎゅっとつまった感じがすごく好きです。 >>80書いた人が名乗り出るんだろうなあと
思ってましたw
後、匿名のお祭りですからね。作品をいくつか投稿してたので、
ばれてまうw だけど、明智光秀はお株を奪った感じがしました。リーマンさんかなと。 まあまあ、野次馬が勝手な事を言って騒ぐのもお祭りの楽しみの内ですよ
こいつら馬鹿だなあと笑っていればいいのです もうすぐ春という冬の朝の事だ。私、平泉咲はいつもの通り、スマホに入れているPS(ピンク・サーモンズ)の曲で目を覚ました。
PSは半年前に解散したパンクバンド。光秀がギターを務めていた。私は昔からライブの常連。光秀とのお付き合いも中学から始まって、もうすぐ干支を一回りと長い。
でも彼とはもう半年も会えていない。理由はバンドの解散をきっかけに、光秀が自分を変えたいと言って、ベーリング海で蟹漁をしに行ってしまったからだ。
出国の前夜わたしは、必ず戻ってきてね、と彼に言った。それからベランダで髪をバリカンで切ってあげた。結果、光秀のドレッドヘアは見事な丸坊主になり、
涼しくなった頭を撫でながら彼はアメリカに旅立っていった。それが半年前。
ほぼ12年という時間を共にした光秀がいない生活は、とんでもなく寂しかった。仕事のストレスも激増。
目、肩、背、腰に疲労が重く溜る日々。
だから、その朝目覚めて違和感を右肘に覚えた時、ああ、ストレスが腕にも来たのか、と思ったりした。
腕を上げようとすると、重い。
気だるく視線を向ける。肘から先が表面がすべすべとした黒い金属の塊になっていた。レゴブロックみたいな長方形の先っちょに煙突みたいな筒がついている。
……とりあえずベッドから上体を起こす。右肘の下に手をそえて腕を持ち上げた。肘の角度を90度にしてまじまじと見ているうちに、引き金のようなものを発見。
引いてみたらドン!! っと音と、肩がはずれるような衝撃。天井に穴が開き、体ごと前につんのめる。……これは銃だった。
朝起きたら右肘の先が銃になっていた。なんで? どうして? と色々と混乱。
昨夜は普通に仕事から帰ってきた。気だるく就眠儀式をこなしながら、光秀がいないと弱いなあ。私。強くなりたいなあ、と思ったりした。
けど、こんな具体的な殺傷能力はいらない……!!
恨みがましく右腕の先の銃を見つめる。どうすれば良いのだろう。やはり警察に出頭するべきだろうか。
意図せざるとはいえ、明らかに銃刀法違反だ。
でもとりあえずスマホの片手操作に四苦八苦しつつ、会社に連絡。体調不良でお休みをいただく。
それから、ふう、と息を漏らすと、インターホンがなった。
誰だろう? とモニターを見ると、モコモコジャケットの光秀が画面の向こうにいた。巻いたバンダナにかかる髪に半年を実感しつつ、嬉しく驚く。
襲い来る戸惑い。半年ぶりに会う彼女の右手が銃刀法違反。これはやばい。ムードも感動もへったくれもない。
でも、やっぱり直接顔を見たくなり、とりあえず腕にタオルを巻いて、もう片方の手で銃身を支え、玄関に向かう。足音が急いていた。
ドアを開ける。私を見下ろして、光秀が笑った。前歯が欠けていたが、ずっと慣れ親しんだ、私の好きな笑顔がそこにあった。
「光秀」「ただいま、咲」「おかえり」私は満面の笑顔になった。抱きつきたい。けど腕が銃なので無理だ。悲しい。光秀の視線は私の腕に移った。
「どうしたんだ? タオルなんか巻いてよ」「えっと、これは、ね」口ごもる私。
「それに火薬臭い」「え」「まさか、咲、お前」応える前に光秀は私の腕に手を伸ばし、タオルを剥ぎ取った。
顕になる銃身。漂い満ちる沈黙に、胸が苦しくなった時、光秀が額のバンダナをほどいた。髪の生え際からこめかみにかけて走る、生々しい傷に、私は息を呑む。
「どうしたの、それ」「蟹の籠がさ、頭にぶつかってさ」
光秀は銃にしゃがみ込み、銃の先端付近にバンダナを巻いてくれた。
「ほら、こうするとリボンみたいだろ? 可愛いじゃん」
うわ。嬉しい。胸の奥がきゅんっと締め付けられる。そんな私をまじまじと見て、光秀は口を開いた。
「…ごめんな咲。俺のせいだ」「え?」
「この銃、俺のせいだ」「どういうこと?」
「蟹の籠が頭に当たって海に投げ出された時さ、思ったんだ。神様、助けてくれ。生きれるなら、咲の腕がアサルトライフルになっても良いから、てさ。
なんでそんな事思ったかわかんねえけど、そん時は必死だった」
……お前のせいかあ!! と思わず叫びそうになる。が、堪えてすぐに納得。私の腕が銃になったくらいで、光秀の命が助かったのだ。神様に感謝しないと。
「でも、良かった。光秀が帰ってきてくれて」「咲。結婚しようぜ。冬のベーリング海でお前の大切さが分かった。資金も蟹で稼いだ。1500万ある」
「あ、はい。うん、でも良いの? 私の腕、銃、だよ?」「咲だから良いんだよ」光秀に抱き寄せられた。もこもこのジャケットが頬に当たる。幸福感。
「とりあえず、結婚指輪買いに行かないとな」「うん」こくんと頷きながら、銃になったのが右手で良かったと思った。結婚指輪をはめるのは、左手だから。 「ヤダヤダヤダヤダ! 明日は絶対、晴れなきゃヤダー!」
「いやーでもるっちゃん。いきなりそんなこと頼まれてもさあ……」
るっちゃんが、小さな手足をジタバタさせて畳の上をころげまわっている。
雨水のしたたる窓の庇からるっちゃんを見下ろして、ぼくは困った声で首をフリフリ。
るっちゃんがどんなに泣きわめいても、もう決まってるものは決まってるのに。
テレビに映っている天気予報。明日は1日中、ずーっと雨、5月の雨だった。
「そこをなんとか! 明日は遠足なの。ママやコーちゃんやエナちゃんたちと! もうおやつも買ってリュックも準備もしてるのに。どーして雨なの? あたしテルちゃんなら出来ると思って、こーやって頼んでるんだよ!」
調子のイイこと言うなあ。
るっちゃんがぼくを作ったのは、つい今しがたなのに。
仕方ないか。作り主のるっちゃんのためだし、やれるだけやってみよう。
「じゃあちょっと待っててね、るっちゃん。頼むだけ頼んでみるから」
「ヤッターありがとう! よろしくねテルちゃん!」
るっちゃんの顔が、パッと明るくなった。
ぼくは大きく息を吸って、ぶらさがっていた窓の庇からフワリと浮かび上がった。
笑顔で手を見送りのるっちゃんを背中にして、冷たい雨が降りしきる夜の空を雨雲の向こうめざして上っていく。
#
「ダメだダメだ! いまさらそんな予約は無理! 明日は関東一円、ずーっと雨!」
「神様。そこをどうにか!」「無理を押して午前中だけでも!」
「多摩地区のココのポイントだけ何とかなりませんか? 明日の動物園。ウチのミカちゃんはずーっと楽しみにしてたんです!」
雨雲の上、満天の星空の下。天気をつかさどる空の神様のもと。
僕と同じように地上からやって来た「お使い」たちが、何十人も神様の社に殺到していた。
自分たちの作り主のために、必死に頭を下げる「お使い」たち。
でも神様は、取り付く島もない。
「ダメなものはダメ! そういう大事なイベントなら1月前の抽選会から参加してもらわないと。今ごろ来たってもうスケジュールは埋まってるの!」
神様は僕たちを見回してそう怒鳴ると、社の門をドンと閉めて中に籠ってしまった。
「ハー。ごめんるっちゃん。やっぱりぼくの力じゃ無理……」
ぼくは頭を垂れてため息をつく。
るっちゃんのガッカリした顔が頭にチラつく、その時だった。
「ん……? 『るっちゃん』? あなた、るっちゃんのために来てくれたの……?」
ぼくにそう尋ねる声が聞こえて頭を上げると、目の前に立っているのは優しそうな目をした1人のおばあさんだった。
こんなところに、るっちゃんの知り合い? もう天国にいる、るっちゃんの知り合い……!?
#
「そう、そんなことがあったの。ごめんなさいね、るっちゃんがいろいろワガママを言って……」
「いやー、ぼくの力が足りないだけです。まったくお使いとして、情けないですぅ……」
満点の星空を見上げて。
たまたまその場を通りかかったという、るっちゃんの「お祖母ちゃん」とお話をしながら、ぼくはポリポリ頭をかく。
「ウーンどうしたものかしら。もうお天気は変えられないから遠足は無理だけれど……そうだ!」
お祖母ちゃんが何かイイことを思いついたように、ポンと手を打った。
「テルちゃん。帰って雨が上がったら、この場所をるっちゃんに教えてあげて。あの子のお天気も、これで少しは晴れるでしょう……」
「え?」
驚いてお祖母ちゃんの方を向くぼくに、ゴニョゴニョゴニョ……
お祖母ちゃんが、何かを耳打ち。
#
次の次の日。日曜日の朝。
「わー凄い! お屋敷のお山に、こんな場所があったんだ!」
ぼくと一緒に、お祖母ちゃんに教えてもらった場所にやって来たるっちゃんが歓声を上げる。
大きな山の中に建った、るっちゃんのお家。
お祖母ちゃんに教わった場所、お山の一画の竹林の地面からは何本も何十本も、ニョキニョキと顔を出した立派なタケノコ。
「こんなにいっぱい! ママに教えてあげないと! 今日はタケノコ取り。タケノコご飯! コーちゃんやエナちゃんにも、お裾分けしなくっちゃ!」
お屋敷に向かって、笑顔で駆けて行くるっちゃん。
ハー。ぼくは胸をなでおろす。お祖母ちゃんのおかげで、るっちゃんの「お天気」もすっかり元に戻ったみたいだ。
でもここでノンビリしている暇はない。ぼくは気を引き締めて空を見上げる。
来月の今頃は……るっちゃんのお屋敷で、みんなを呼んでバーベキュー。
この日は絶対全日快晴。空の神様に、今から抽選会の予約を入れておかないと! >>85
もうすぐ春という冬の朝の事だ。私、平泉咲はいつもの通り、スマホに入れているPS(ピンク・サーモンズ)の曲で目を覚ました。
PSは半年前に解散したパンクバンド。光秀がギターを務めていた。私は昔からライブの常連。光秀とのお付き合いも中学から始まって、もうすぐ干支を一回りと長い。
でも彼とはもう半年も会えていない。理由はバンドの解散をきっかけに、光秀が自分を変えたいと言って、ベーリング海で蟹漁をしに行ってしまったからだ。
光秀の出国前夜、わたしは、必ず戻ってきてね、と彼に言った。それからベランダで髪をバリカンで刈ってあげた。結果、光秀のドレッドヘアは見事な丸坊主になり、
涼しくなった頭を撫でながら彼はアメリカに旅立っていった。それが半年前。
ほぼ12年という時間を共にした光秀がいない生活は、とんでもなく寂しかった。仕事のストレスも激増。
目、肩、背、腰に疲労が重く溜る日々。
だから、その朝目覚めて違和感を右肘に覚えた時、ああ、ストレスが腕にも来たのか、と思ったりした。
腕を上げようとすると、重い。
気だるく視線を向ける。肘から先が表面がすべすべとした黒い金属の塊になっていた。レゴブロックみたいな長方形の先っちょに煙突みたいな筒がついている。
……とりあえずベッドから上体を起こす。右肘の下に手をそえて腕を持ち上げた。肘の角度を90度にしてまじまじと見ているうちに、引き金のようなものを発見。
引いてみたらドン!! っと音と、肩がはずれるような衝撃。天井に穴が開き、体ごと前につんのめる。……これは銃だった。
朝起きたら右肘の先が銃になっていた。なんで? どうして? と色々と混乱。
昨夜は普通に仕事から帰ってきた。気だるく就眠儀式をこなしながら、光秀がいないと弱いなあ。私。強くなりたいなあ、と思ったりした。
けど、こんな具体的な殺傷能力はいらない……!!
恨みがましく右腕の先の銃を見つめる。どうすれば良いのだろう。やはり警察に出頭するべきだろうか。
意図せざるとはいえ、明らかに銃刀法違反だ。
でもとりあえずスマホの片手操作に四苦八苦しつつ、会社に連絡。体調不良でお休みをいただく。
それから、ふう、と息を漏らすと、インターホンがなった。
誰だろう? とモニターを見ると、モコモコジャケットの光秀が画面の向こうにいた。巻いたバンダナにかかる髪に半年を実感しつつ、嬉しく驚く。
襲い来る戸惑い。半年ぶりに会う彼女の右手が銃刀法違反。これはやばい。ムードも感動もへったくれもない。
でも、やっぱり直接顔を見たくなり、とりあえず腕にタオルを巻いて、もう片方の手で銃身を支え、玄関に向かう。足音が急いていた。
ドアを開ける。私を見下ろして、光秀が笑った。前歯が欠けていたが、ずっと慣れ親しんだ、私の好きな笑顔がそこにあった。
「光秀」「ただいま、咲」「おかえり」私は満面の笑顔になった。抱きつきたい。けど腕が銃なので無理だ。悲しい。光秀の視線は私の腕に移った。
「どうしたんだ? タオルなんか巻いてよ」「えっと、これは、ね」口ごもる私。
「それに火薬臭い」「え」「まさか、咲、お前」応える前に光秀は私の腕に手を伸ばし、タオルを剥ぎ取った。
顕になる銃身。漂い満ちる沈黙に、胸が苦しくなった時、光秀が額のバンダナをほどいた。髪の生え際からこめかみにかけて走る、生々しい傷に、私は息を呑む。
「どうしたの、それ」「蟹の籠がさ、頭にぶつかってさ」
光秀は銃にしゃがみ込み、銃の先端付近にバンダナを巻いてくれた。
「ほら、こうするとリボンみたいだろ? 可愛いじゃん」
うわ。嬉しい。胸の奥がきゅんっと締め付けられる。そんな私をまじまじと見て、光秀は口を開いた。
「…ごめんな咲。俺のせいだ」「え?」
「この銃、俺のせいだ」「どういうこと?」
「蟹の籠が頭に当たって海に投げ出された時さ、思ったんだ。神様、助けてくれ。生きれるなら、咲の腕がアサルトライフルになっても良いから、てさ。
なんでそんな事思ったかわかんねえけど、そん時は必死だった」
……お前のせいかあ!! と思わず叫びそうになる。が、堪えてすぐに納得。私の腕が銃になったくらいで、光秀の命が助かったのだ。神様に感謝しないと。
「でも、良かった。光秀が帰ってきてくれて」「咲。結婚しようぜ。冬のベーリング海でお前の大切さが分かった。資金も蟹で稼いだ。1500万ある」
「あ、はい。うん、でも良いの? 私の腕、銃、だよ?」「咲だから良いんだよ」光秀に抱き寄せられた。もこもこのジャケットが頬に当たる。幸福感。
「とりあえず、結婚指輪買いに行かないとな」「うん」こくんと頷きながら、銃になったのが右手で良かったと思った。結婚指輪をはめるのは、左手だから。 「ヤダヤダヤダヤダ! 明日は絶対、晴れなきゃヤダー!」
「いやーでも、るっちゃん。いきなりそんなこと頼まれてもさあ……」
るっちゃんが、小さな手足をジタバタさせて畳の上を転げまわっている。
雨水のしたたる窓の庇からるっちゃんを見下ろして、ぼくは困った声で首をフリフリ。
るっちゃんがどんなに泣きわめいても、もう決まってるものは決まってるのに。
テレビに映っている天気予報。明日は1日中、ずーっと雨、5月の雨だった。
「そこをなんとか! 明日は遠足なの。ママやコーちゃんやエナちゃんたちと! もうおやつも買ってリュックも準備もしてるのに。どーして雨なの? あたしテルちゃんなら出来ると思って、こーやって頼んでるんだよ!」
調子のイイこと言うなあ。
るっちゃんがぼくを作ったのは、つい今しがたなのに。
仕方ないか。作り主のるっちゃんのためだし、やれるだけやってみよう。
「じゃあ……ちょっと待っててね、るっちゃん。頼むだけ頼んでみるから」
「ヤッターありがとう! よろしくねテルちゃん!」
るっちゃんの顔が、パッと明るくなった。
ぼくは大きく息を吸って、ぶらさがっていた窓の庇からフワリと浮かび上がった。
笑顔でお見送りのるっちゃんを背中にして、ぼくは冷たい雨が降りしきる夜の空を雨雲の向こう目指して上っていく。
#
「ダメだダメだ! いまさらそんな予約は無理! 明日は関東一円、ずーっと雨!」
「神様。そこをどうにか!」「無理を押して午前中だけでも!」
「多摩地区のココのポイントだけ何とかなりませんか? 明日の動物園。ウチのミカちゃんはずーっと楽しみにしてたんです!」
雨雲の上、満天の星空の下。天気をつかさどる空の神様のもと。
ぼくと同じように地上からやって来た「お使い」たちが、何十人も神様の社に殺到していた。
自分たちの作り主のために、必死に頭を下げる「お使い」たち。
でも神様は取り付く島もない。
「ダメなものはダメ! そういう大事なイベントなら1月前の抽選会から参加してもらわないと。今ごろ来たってもうスケジュールは埋まってるの!」
神様はぼくたちを見回してそう怒鳴ると、社の門をドンと閉めて中に籠ってしまった。
「ハー。ごめん……るっちゃん。やっぱりぼくの力じゃ無理……」
ぼくは頭を垂れてため息をつく。
るっちゃんのガッカリした顔が頭にチラつく、その時だった。
「ん……? 『るっちゃん』? あなた、るっちゃんのために来てくれたの?」
ぼくにそう尋ねる声が聞こえて頭を上げると、目の前に立っているのは優しそうな目をした1人のおばあさんだった。
こんなところに、るっちゃんの知り合い? もう天国にいる、るっちゃんの知り合い……!?
#
「そう、そんなことがあったの。ごめんなさいね、るっちゃんがいろいろワガママを言って……」
「いやー、ぼくの力が足りないだけです。まったくお使いとして、情けないですぅ……」
満点の星空を見上げて。
たまたまその場を通りかかったという、るっちゃんの「お祖母ちゃん」とお話をしながら、ぼくはポリポリ頭をかく。
「ウーンどうしたものかしら。もうお天気は変えられないから遠足は無理だけれど……そうだ!」
お祖母ちゃんが何かイイことを思いついたように、ポンと手を打った。
「テルちゃん。帰って雨が上がったら、この場所をるっちゃんに教えてあげて。あの子のお天気も、これで少しは晴れるでしょう……」
「え?」
驚いてお祖母ちゃんの方を向くぼくに、ゴニョゴニョゴニョ……
お祖母ちゃんが、何かを耳打ち。
#
次の次の日。日曜日の朝。
「わー凄い! お屋敷のお山に、こんな場所があったんだ!」
ぼくと一緒に、お祖母ちゃんに教えてもらった場所にやって来たるっちゃんが歓声を上げる。
大きな山の中に建った、るっちゃんのお家。
お祖母ちゃんに教わった場所、お山の一画の竹林の地面からは何本も何十本も、ニョキニョキと顔を出した立派なタケノコ。
「こんなにいっぱい! ママに教えてあげないと! 今日はタケノコ取り。タケノコご飯! コーちゃんやエナちゃんにも、お裾分けしなくっちゃ!」
お屋敷に向かって、笑顔で走って行くるっちゃん。
ハー。ぼくは胸をなでおろす。お祖母ちゃんのおかげで、るっちゃんの「お天気」もすっかり元に戻ったみたいだ。
でもここでノンビリしている暇はない。ぼくは気を引き締めて空を見上げる。
来月の今頃は……るっちゃんのお屋敷で、みんなを呼んでバーベキュー。
この日は絶対全日快晴。空の神様に、今から抽選会の予約を入れておかないと! 目の前には静かな池が横たわる。人気のない貯水池のような場所で、私はここで釣りを始める。
通り抜ける緩やかな風、その風に押されて微かに起こる草木のさえずり。耳を傾けて生命のささやきを聞き取ろうと息を潜める。
不意に音がした。すぐ足元に小さな波紋があらわれ、藻屑の濁りと共に消えてゆく。
これは私への挑発であろうか? はやる気持ちを抑えつつ、手にした竿から糸を振り出して静かに水面へ送る。
餌の付いた仕掛けが濁った水中へ消える。みなもを漂う朱色の浮きは、この景色の中に孤立した色彩を放つ。
こつん、と微かな魚信が届く、続けてぐぐーっと糸が引かれ竿がしなった。
興奮が全身を貫く。岸に立つ私と水中の魚との格闘が開始される。
冷静であれと理性が告げる。沸き上がる闘争心をいなすように竿先の行方と糸の張りに神経を集中させる。
魚と、自分自身に対する駆け引きに没入し、闘争と知略の心地よさに身を任せる。
存分に楽しんだ数十秒後、両手の平のほどの大きさの魚が水揚された。
獲物の濡れた鱗と真っ白な腹が、日の光を受けて美しく輝いた。
えらと口を開閉させヒレを動かしながら喘ぐ。だがこの魚からは何の感情も見出せない。
感情は無くとも美しいと感じる。この濁った池の中で育まれ磨き上げられた究極の美しさが目の前にある。
その美しさに見惚れていた刹那、魚が大きく身をよじった。私の手を離れ、大きな音を立てながら水撥ねを残し水中へ逃れた。
私は呆然とそれを見送ると、やがて大きく息をついて眩しい青空を見上げ、意を決して水中へ足を運んだ。
衣服が濡れて重くなる感覚。渦巻く泥、温度、響き……。私は満足して右手を伸ばし精緻な動作で正面のドアを開いた。
風景が四角く切り取られる。その向こうに見える廊下の中央にスーツ姿の男が立っていた。
「いかがでしたか? この仮想空間は感覚の全てが表現可能なんです。弊社は作動機器に留まらずこのような環境も提供しております」
男は三十台後半だと言っていたがそれよりも若く見える。整えられた髪と精悍な顔つきに満面の笑みを湛えて私を見ている。
実を言うとこの男は私のことをひどく嫌悪している。だがそれはそれで構わない。
私はエアシリンダーと電力モーターで作動する自分の足を駆動させ男の元へ歩み寄った。
「とても良く出来ている。購入の手続きを進めてくれ」
男は喜びの感情を爆発させて大きな安心と達成感を膨らませた。しかし私への好意は微塵も発さずに屋敷の出口へと向かう。
去っていく男を見つめながら私は自分自身のことを考えていた。
私は資産家である。私は死という運命に抗い、自らを機械化しながら延命を繰り返し今に至った。
取りつかれたように身体の部品を取り換えていくなかで、どういうわけか、私は相対する人々の内面の感情を知覚できるようになった。
機械化の副作用なのか。
本来ならば自分自身にしか分からず、他人ものは推し量るしかなかったものが、今では手に取るように分かってしまうのだ。
嫌悪、欺瞞、憐み、親切、怒り……。
私はそれらの感知にはじめは恐れ戦き戸惑っていたが、やがて突き付けられる真実に向き合いそれらの意味を深く考えるようになった。
そう。いまでは私を嫌悪しながらも偽りの笑顔で近づくあの男にも感謝している。
嫌悪という感情を……自由を、有難う。
表面を取り繕うとも、全てを支配されたわけではない。そのしなやかな感情。それが生命だと、それが自由だと思い知った。
支配していると思い込み、知らず自らを束縛していた私と違い、臆することなく自由に生命の輝きを放っている。
ようやく勝ち得たと思っていたものが実は、すでに持っているものに過ぎなかった。だから私はありのままを受け入れる。
現実のテクノロジーで生み出される仮想の魚を釣り上げ、それすらも支配できなかったという事実。それはまるで私の人生そのものではないか。 午後の日差しが眩しい。私は少しだけ帽子のつばを下げながら水際までゆっくりと歩を進めた。
目の前には静かな池が横たわる。人気のない貯水池のような場所。私はここで釣りを始める。
通り抜ける緩やかな風、その風に押されて微かに起こる草木のさえずり。耳を傾けて生命のささやきを聞き取ろうと息を潜める。
不意に音がした。すぐ足元に小さな波紋があらわれ、藻屑の濁りと共に消えてゆく。
これは私への挑発であろうか? はやる気持ちを抑えつつ、手にした竿から糸を振り出して静かに水面へ送る。
餌の付いた仕掛けが濁った水中へ消える。みなもを漂う朱色の浮きは、この景色の中に孤立した色彩を放つ。
こつん、と微かな魚信が届く、続けてぐぐーっと糸が引かれ竿がしなった。
興奮が全身を貫く。岸に立つ私と水中の魚との格闘が開始される。
冷静であれと理性が告げる。沸き上がる闘争心をいなすように竿先の行方と糸の張りに神経を集中させる。
魚と、自分自身に対する駆け引きに没入し、闘争と知略の心地よさに身を任せる。
存分に楽しんだ数十秒後、両手の平のほどの大きさの魚が水揚された。
獲物の濡れた鱗と真っ白な腹が、日の光を受けて美しく輝いた。
えらと口を開閉させヒレを動かしながら喘ぐ。だがこの魚からは何の感情も見出せない。
感情は無くとも美しいと感じる。この濁った池の中で育まれ磨き上げられた究極の美しさが目の前にある。
その美しさに見惚れていた刹那、魚が大きく身をよじった。私の手を離れ、大きな音を立てながら水撥ねを残し水中へ逃れた。
私は呆然とそれを見送ると、やがて大きく息をついて眩しい青空を見上げ、意を決して水中へ足を運んだ。
衣服が濡れて重くなる感覚。渦巻く泥、温度、響き……。私は満足して右手を伸ばし精緻な動作で正面のドアを開いた。
風景が四角く切り取られる。その向こうに見える廊下の中央にスーツ姿の男が立っていた。
「いかがでしたか? この仮想空間は感覚の全てが表現可能なんです。弊社は作動機器に留まらずこのような環境も提供しております」
男は三十台後半だと言っていたがそれよりも若く見える。整えられた髪と精悍な顔つきに満面の笑みを湛えて私を見ている。
実を言うとこの男は私のことをひどく嫌悪している。だがそれはそれで構わない。
私はエアシリンダーと電力モーターで作動する自分の足を駆動させ男の元へ歩み寄った。
「とても良く出来ている。購入の手続きを進めてくれ」
男は喜びの感情を爆発させて大きな安心と達成感を膨らませた。しかし私への好意は微塵も発さずに屋敷の出口へと向かう。
去っていく男を見つめながら私は自分自身のことを考えていた。
私は資産家である。私は死という運命に抗い、自らを機械化しながら延命を繰り返し今に至った。
取りつかれたように身体の部品を取り換えていくなかで、どういうわけか、私は相対する人々の内面の感情を知覚できるようになった。
機械化の副作用なのか。
本来ならば自分自身にしか分からず、他人ものは推し量るしかなかったものが、今では手に取るように分かってしまうのだ。
嫌悪、欺瞞、憐み、親切、怒り……。
私はそれらの感知にはじめは恐れ戦き戸惑っていたが、やがて突き付けられる真実に向き合いそれらの意味を深く考えるようになった。
そう。いまでは私を嫌悪しながらも偽りの笑顔で近づくあの男にも感謝している。
嫌悪という感情を……自由を、有難う。
表面を取り繕うとも、全てを支配されたわけではない。そのしなやかな感情。それが生命だと、それが自由だと思い知った。
支配していると思い込み、知らず自らを束縛していた私と違い、臆することなく自由に生命の輝きを放っている。
ようやく勝ち得たと思っていたものが実は、すでに持っているものに過ぎなかった。だから私はありのままを受け入れる。
現実のテクノロジーで生み出される仮想の魚を釣り上げ、それすらも支配できなかったという事実。それはまるで私の人生そのものではないか。 第四十六回ワイスレ杯参加作品
>>3-30
>>43
>>50 「批判」
>>87
>>88
>>90
只今、三十三作品!(`・ω・´) 565 名前:名無し物書き@推敲中?[sage] 投稿日:2018/06/16(土) 10:48:53.77
中島はいくら挑発しても出てこないだろう
アレがダントツ最下位だから 今日は投稿が少ないですね
夜のラッシュが待ち遠しい 相変わらず寂しい所だ、鳥居をくぐるなり隆は思った。神社には、陽も随分傾いていることもあり、他に参拝客は見当たらない。
勝手知ったるように手水舎で清めて参拝し絵馬を購入、そしてマジックで願いを書いた。
『父が早く死にますように』
父が痴呆だと判明したのは半年前だ。隆は妻と共に介護生活を開始したが、容易いものではなかった。
トイレの水は流し忘れ、名前も偶に分からなくなり、その上すぐに怒鳴る父に毎日振り回される日々。日に日に溜まるストレスに
我慢の限界が近づいていた。子供の頃から世話になる神社にこんな絵馬を奉納するのは気が引けたが神にすがりたい気分だった。
隆が絵馬掛に足を向けると人影が有るのに気が付いた。巫女装束の女が絵馬を手にしては裏返し、傍らの長机に置いている。
「何してるの?」
隆が声をかけると女は言った。
「絵馬の整理です。人の願いは際限が無く増える一方、ですから偶に絵馬を処分するのです」
子供程の背丈に似つかわしくない魅惑的な笑みだった。「良かったら手伝っていただけますか?」
圧倒された隆は何も言えず、女を手伝うことになった。
やり方はこうだった。願いが見えぬよう掛けられた絵馬を二人で一枚ずつ交互にめくる。願いの内容が違っていたら長机に置く、同じなら二枚とも処分する。
「一つ一つ選んで処分しては時間もかかるし公平でありません。この方法ならば内容の偏り過ぎをも解消出来ます」
「長机の絵馬はどうなるんだ?」
「最後にまた掛け直します。いつか神の目に留まれば願いが叶えられるでしょう」
早速女は絵馬を裏返した。『結婚が認められますように』と書かれてあった。
隆は見覚えがあった。二年前、当時付き合っていた妻を父に初めて紹介する時に隆自身が書いたものだ。厳格な父が妻を受け入れてくれるか不安だったが
ご利益のおかげか快く受け入れられた。
「さ、次は貴方の番です」
促されて隆も絵馬をめくった。『就職するぞ!』
これも知っていた。隆が就職活動していた時に藁をも縋る思いで書いたものだ。無事に内定が取れて父は柄にもなく涙を流して喜んでくれた。
二枚の絵馬は内容が違った。二人は絵馬を長机に置いた。
絵馬整理は黙々と進められた。どこか神経衰弱みたいだが二人で一枚ずつめくるので勝敗が無く盛り上がらない。
『彼女とよりを戻したい』『IH出場』『お母さん生き返って下さい』『足が速くなりたい』。次々と絵馬が山と積まれるのみだった。
しかし隆は楽しかった。まるで昔のアルバムを見ているよう、絵馬を一枚めくる度に父との思い出が蘇る。
父の笑顔、男手一つで育ててくれた感謝、尊敬。介護に追われて忘れかけていた思慕の念が込み上がり、疲れた心がほぐされていく。
「ちょっと待て!」
ただ看過できぬことがあった。隆の声に女は手を止めた。「なんで僕の書いた絵馬ばかりなんだ?」
二人でめくった絵馬はすでに十を超える。その全てが隆の書いたものだった。いくら参拝客が少ないとは言えそんな事はあり得ない。
「さあ? 何がめくられるかは神のみぞ知る事ですから」
女は平然と答え、絵馬をめくった。
『父さんなんか死ね』
まただった。隆は小学生の時、父と喧嘩して家を飛び出した事がある。泣きながらこの神社たどり着いて書いたのがこの絵馬だ。
手品の類だろうかとも考えたがそれは無い。数ある絵馬から隆のものを見つけるのは至難だしどれを引くかは隆が決めるのだから。
まさに神の御業に思われた。
「次は貴方の番ですよ?」
この謎めく女の正体を隆は計り兼ねていた。だがもし女の言った通りこの絵馬がいつか神の目に留まる恐れがあるならば、今隆がすべき事は一つだった。
隆は絵馬を裏返した。「初めて内容がかぶりましたね」女は言った。
『父が早く死にますように』
裏返したのは掛けられた絵馬でなく手に持っていた絵馬。先ほど書いたばかりの願い。
「この願いを処分しても良いのですね?」
女の問いに隆は頷く。
「今までずっと父の世話になったんだ、僕ももう少し辛抱強く見守る事にするよ」
隆の言葉に女は優しく微笑んだ。すると二枚の絵馬がまばゆい光を放ち始めた。視界が白く包み込まれ隆はたまらず目を瞑った。
目を開けると女はいなくなっていた。手に持った絵馬は消え絵馬掛もいつもの通り。神社に来た時に戻ったようだ。
幻を見ただけかもしれない、しかし隆は拝殿に向かい深々と頭を下げた。心配をかけたお詫びといつも励ましてくれるお礼を込めて。
遠くでカラスが鳴くのが聞こえた。そろそろ父が「飯はまだかと」喚く頃だ。久々に好物の煮物でも作ってやろうか、そう考えながら隆は神社を後にした。 第四十六回ワイスレ杯参加作品
>>3-30
>>43
>>50 「批判」
>>87
>>88
>>90
>>94
只今、三十四作品!(`・ω・´) 海へ突き出た岬の先端に、男がひとり佇んでいる。
コートの襟が強風で翼の様にはためいている。
男は鈍色の海原を暗い目で見つめている。
灰色の雲が低く重く垂れ込めている。
高波が荒々しく岩礁を洗っている。
海岸線で波は白く泡立っている。
泡は波打際に吹き溜っている。
突風にさらわれ舞いあがる。
岬の先端まで吹きあがる。
粉雪の様に舞いおどる。
「波の花というんです」
声に男は振り返る。
「お久しぶりです」
「元気そうだな」
男は言った。
「元気です」
「そうか」
「電話を貰って驚きました。よくわかりましたね」
「ずいぶん捜したよ。寂しいところだな、ここは」
「何もありませんが、いいところですよ。僕には」
「おれは全てを失ったよ。妻も財産も友の信頼も」
「僕が失敗したせいですか」
「まあそれも少しはあるな」
「すみません、僕だけ逃げ出して。卑怯ですよね」
男は若者の顔を見据えた。
「おれが何の為におまえを捜し出したかわかるか」
「ええ。覚悟は出来てます」
「覚悟って?」男は笑った。「違うよ。全然違う」
「え?」
「もう一度二人で仕事をしないか、おれはそう言いに来たんだ。なあ、今度こそ成功させようじゃないか」
「それは……」
「駄目かい?」
「いまさら何故です」
「わからないのか?」
男は泣きそうな声で言った。
「おれはおまえと一緒にいたいんだよ、これからもずっと! おまえのいない人生なんて考えられないよ」
重い沈黙が辺りを支配した。
波の花が激しく舞い踊った。
ようやく若者が口を開いた。
「ごめんなさい。あなたの気持ちに応えることは出来ません。僕はこの土地で新しい人生を始めたんです」
「じゃあ、俺もここで暮らすよ。それならいいだろ」
「僕には結婚の約束をした人が。そこに来ています」
後ろを向き、道路脇に停まっている車を指さした。
運転席にいた若い娘が笑って、若者に手を振った。
「僕は車がないので、ここまで送って貰ったんです」
「そうか、おまえは幸せを見つけたのか。わかった」
「本当に何というか申し訳ありません」頭を下げた。
「いいよ。もう行け。彼女が待ってる」顔を背けた。
「それではお元気で。幸せを祈ってます。さよなら」
黙って海を見つめる男に背を向けて、若者は車のほうに歩き出した。
運転席の女の子は微笑みを浮べて、近づいてくる若者を待っている。
彼女の笑顔が突然強ばり、若者の背後に視線を向けて悲鳴を上げた。
若者は岬の突端を振り返った。そこにいるはずの男の姿はなかった。
暗い海を背景に、大量の白い波の花が岬を越え、天に昇っていった。
立ち上る波の花はやがて、白から鮮やかな紅色へと変わっていった。 デスクの脇にペンを置いた。大きなため息を漏らす。書いたものを読み返してみても、あまり気持ちのいいものではない。
日記帳を閉じて、重い腰を持ち上げる。
ベッドに入らなくては。明日を乗り越えれば休日だ。少しでも、睡眠を、とらなくては。電車に、乗り遅れてしまう。新卒だっていうのに、遅刻してしまう。
「……とうございます、ありがとうございまぁす!」
不意に声が届きビクリと身体が揺れた。ぼやけた視界が徐々にひらける。座席に座り、片手を口に添えた老婆の姿があった。
どうやら席を譲った矢先に立ち寝をしてしまったようだ。
「いえ、私はもう、目的の駅がすぐですから」
「本当に、ありがとうね。ほら、私は腰が悪いでしょ」
言われて思い出す。さっき目を覚ました時に、老婆の曲がった腰を見て、僕は席を譲ったのだった。
老婆は杖を脇に置き、膝に乗せた手提げバッグから光る何かを取り出すと、それを差し出してきた。
「これね、気持ちだけど。こんなものでごめんなさいね」
よく見ると、サランラップにくるまれたもののようだ。中に入っている物体は黒っぽくて、糞のように見える。
受け取るのを躊躇していると、老婆が慌てたように説明をはじめた。
「これ、うちで作った干し柿なの。孫が好きなものだから」
「いや、これは……」
とっさに断ったが、老婆はどうしても得体の知れないそれを僕に手渡そうとする。
仕方なく、ありがとうございます、と受け取った。できる限りの笑みを返したつもりだが、どう思われたのかは定かではない。
内心ではただ、ひたすらに面倒くさかった。面倒くさいだけではない。自分の矮小な人間性を確認させられるようで、ひどく迷惑だった。
受け取った矢先、それをどうやって処分しようかと考えなければならない迷惑を、この老婆は想像もできないのだろう。
そう考えながら、しかし僕はうつらうつらと船を漕ぎつつ、会社の最寄り駅まで老婆の話に付き合わなければならなかった。
「なんだそりゃ。お前、そんなんで、生きづらくない?」
男の声に意識を戻される。また居眠りをしていたようだ。
対面に座った友人は何かを期待するような、ギラギラとした視線を僕に向けている。そうだ、今朝の話をしていたのだった。
不意に胃のものが逆流しかけ、慌てて飲み込む。質の悪い揚げ物の匂いが漂ってきたからか。これだから安い居酒屋チェーン店は嫌いなんだよ。
と口に出すことはなく、ごまかすように、僕はビールをあおって言った。
「ああ。生きづらいに決まってる」
「そうだろう。お前はさ、いい人じゃないのにいい人になろうとしてるんだ」
「別にいいだろ……悪人じゃないのに悪人になろうとするより」
「そっちのほうがマシだって言ってんの。お前の場合、偽善者っていうんだよ。身勝手だからタチが悪い。青臭い馬鹿野郎だな」
「うるさい。いいじゃないか、あの婆さんがちょっとでも助かったなら、それで!」
もっと、今まで飲んだこともないような強い酒が欲しい。店員呼び出し用のボタンを押した。
――目が開いた。
目覚めとともに口中に唾液が溜まったかと思うと、急激な吐き気があり、口内に一気に溢れてきた。息ができず、たまらず頭を左に傾ける。吐瀉物が僕の新しいスーツを汚した。
心臓が鼓動するたびに、ガンガンと後頭部が打たれる。何がどうなっているのか。記憶がない。
街灯が夜を照らしている。空が薄暗いから、夜明けが近いのかもしれない。背に無機質な硬さを感じる。歩道だと思う。
全身がしびれて、まともに身動きがとれない。かつて感じたことのないほどの動悸と倦怠感に、死の不安がよぎる。
足音が聞こえる。助けを求めようと声を出そうとしたが、吐瀉物が吹き出ただけだった。
誰かが僕の前を通り過ぎている。当たり前のことだ。こんなやつに関わりたい人間などいない。頭でわかっているのに、涙が溢れてきた。
何とか動いた腕でぐちゃぐちゃの顔を拭うが、起き上がることができない。
助けを求めるように顔を右側に振ると、何かがぶつかった。
思わず鼻を抑える。
クシャ、という間抜けな音に続いて、地面を転がったのは、
500mlペットボトルの水だった。
日記帳を閉じる。
僕は死ななかった。泥酔状態ではあったのだろうが、水で口をゆすぎ、落ち着きを取り戻し、どうにか歩いて帰宅できた。
あの水を置いたのは誰だったのか。――誰でもいい。その心根に思いを馳せながら、デスクの上に乗せたサランラップの包みをはがしてゆく。
中から出てきた干し柿を口にしてみた。案外、悪くない。二日酔いに効いた。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています