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使用お題:『設計』『異世界』『アヘ顔ダブルピース』『カボチャ』『暖色』

死神とサブミッション母のコラボ続編です。

【臨時の仕事】

「……今年もこの季節がやってきましたか。やれやれ、なぜ日本でこのような事態に……」

 ここ数年で急激に広まったハロウィンの季節がやってきました。そしてそのどさくさに紛れてこの世ならざる異世界からの来訪者が現れるようになってしまったのです。……なぜ他の文化圏の祭りを混ぜてしまったのでしょうか。
 おかげであの世という異世界へ続く扉の設計を組み直す事になってしまっているではないですか。本来は先祖が一時的にこの世へ帰ってくるための仕組みだったのですが悪用されてしまっては困るんですよ。
 まだ設計の組み直しも途中なので数年はこの状況が続くため、こうして本来の仕事以外にも駆り出される始末。……おや、あそこの母娘に話しかけている少年のような者は……。

「トリックオアトリート?」
「……あんた、この世の者じゃないね?」
「お母さん、一体何と話してるの?」
「彩花は気にしなくていいの。……ほら、あっち行きなさい」
「ふふっ、イタズラだね?」

 やれやれ、早くも異世界の者が出ましたか。少年のような身体ですが、その頭部はカボチャをくり抜いた空洞で、暖色の灯りが灯っています。
 この手のイタズラ好きの者が多く紛れているので対処が大変です。本来、このような仕事は死神の私のものではないんですけどね……。
 それにしても、この中年の女性は只者ではありませんね。娘と思われる方も中々の霊力をお持ちのようで。

「……失礼。これの対処は私の方で請け負いますよ」
「……何者だい? 人間じゃないね?」
「あっさりと見破りますか。まぁご心配には及びません。ただの死神ですので」
「へぇ、あんた死神なのかい。初めて見たよ」
「え、お母さん!? この人って死神なの!?」
「……嘘じゃみたいだね。私じゃどうやったって敵いそうもないさ」

 まぁ、死の予定にない者には何もしませんけどね。私の基本的な仕事はただ死者の案内をするだけですし。……今日の仕事は例外ですが。
 ですが、そちらの娘さんの背後霊は少し無視は出来ませんね。悪霊化の兆しは欠片もありませんが、どうしたものでしょうか。

「あー、これはウチの旦那だよ。……万が一の時は私が成仏させるから見逃しちゃ貰えないかね?」
「……あなた程の力があれば問題なさそうですね。悪霊化の兆しもありませんし、守護霊へとなりかけているので見なかった事にしておきますよ」
「そうかい。ありがとね」

 そのような簡単なやり取りをして、カボチャ頭の異世界の者を引き剥がして行きます。……地味に面倒なんですよね、これ。

「あんた、何邪魔してくれてんだよ!? 折角、イタズラを仕掛けようと思ってたのに!」
「……異世界から来て、勝手な事をされまくっても困るのですよ。……ちなみにお聞きしますが、どのようなイタズラをするつもりだったのですか?」
「あの若い娘の方にあれこれやって、アヘ顔ダブルピースでもさせようかなと……痛い!?」
「即座にあなたは送り返します! 公衆の面前で何をやらかす気ですか!?」
「えー別に良いだろー!」
「良い訳ないでしょう! 即座に帰ってもらいますよ!」
「あー!? 今回まだ何も出来てないのに!?」

 設定し直した異世界への扉を開き、カボチャ頭を送り返します。……こんな変態的なイタズラなどされてたまりますか!

 それから何人もの異世界の者を捕まえては送り返しましたが、今年の者達は変態ばかりでした。……去年より遥かに疲れてしまいましたよ……。何なんですか、今年の連中は!