工学院の前で待ち伏せる。
 いかにもがたいが弱そうな奴がターゲットだ。
 蒲田駅へ向かう途中で、俺の女がアタックする。
 一見すれっからしには見えない。
「あら、○○クン、久しぶり」
 ○○クンは適当でいい。
 スズキやタカハシだ。
 それでも、うぶな工学院の学生は、喜んで返事をする。
「え、○○さん!」
 これも適当だ。
 そして、駅前の居酒屋へ連れ込ませる。
 べろんべろんに酔わせたところで俺の出番だ。
「よぁ、俺の女といい感じだねぇ」
 財布をまるごと奪う。
 俺たちは美人局。
 まぁ、蒲田は春から夏にかけてしか通用しない。
 夏休みを明けると、みな警戒してきてカモはいなくなる。
 その間は、大塚に移動して、女をデリヘル嬢にしてサラリーマンのおっさんをかもる。
 平日の昼間からデリヘルをオーダーするおっさん相手なんて楽なもんだ。
 こうやって、俺たちは一年を過ごしている。