さらに賄賂以上にアメリカ人にとっては衝撃的な「悪のつながり」がフィナンシャル・タイムズとウォール・ストリート・ジャーナルによって明らかになった。

ジョニー・デップ主演の映画『ブラック・スキャンダル』(2015年)をご存知だろうか。
ボストンの犯罪組織のボス、ジェームズ・バルジャーの実話を映画化したものだ。
バルジャーは「ホワイティ」と呼ばれ、1970年代から90年代半ばまで、やりたい放題に犯罪を繰り返していた。

バルジャーの犯罪が全米を騒がせる大スキャンダルに発展した理由は、
一つは弟がマサチューセッツ州上院議長という大物政治家であったこと(犯罪には関与していない)。
もう一つが、FBIの捜査員、ジョン・コノリーと癒着していたことだ。
コノリーはマフィアの情報を提供してもらう代わりにバルジャーの凶悪犯罪に目をつむった。

バルジャーは「FBIの協力者」という立場を悪用して、暴虐非道の犯罪を繰り返したのだ。
バルジャーへの捜査が始まろうとすると、FBI内部でコノリーが捜査の妨害を行い、告発者たちが消される悲劇が続くようになる。

FBIのスター捜査官だったコノリーの悪行が次々と明らかになると、メディアは大騒ぎとなった。
コノリーは逮捕され、殺人罪などで懲役40年の判決を受けた。彼は現在服役中である。
このコノリーと親しい付き合いがあったのが、ゴーンの国外逃亡の中心的役割を果たすマイケル・テイラーであった。
1994年にボストンで警備会社を立ち上げたテイラーのビジネスを、コノリーが手伝っていたのだ。
その手伝いは99年にコノリーが逮捕されるまで続いたという。
こうしてゴーン軍団の「チーム国外逃亡」からは出るわ出るわと、世界の悪いつながりが次々と数珠つなぎで浮上する。
では、テイラーはどうやってゴーンを日本から脱出させたのか。(以下略