作者:八木やる彦
幼馴染のナオミは我儘で僕をこき使っていた。
それでも好きになった弱みとして一緒に居続けた。
しかし彼女は他の男と婚約していたのだ。
それを知った僕は、彼女に愛想を尽かして別れる。
その日の夜、高架下で美少女に拾われた。
彼女と僕は幸せになろうと、共に歩みを進める。
4話
***
「ナオミ。あんたには眠っててもらうよ」
「え?」
イケメンの男は待ち合わせの直後、ナオミを気絶させた。
そして彼女を縄で縛りつける。
彼は暗い笑みを浮かべて言うのだ。
「今度のは爺どもに高く売れそうだな」
その時、一台の車が男の前に停まる。
中から厳つい男が一人、出てきた。
「――いい女だな。予定は?」
その言葉にイケメンは指を三本立てる。
「3000万か。なかなかだな」
「だろう? 一年かけた甲斐があるものだ」
「行くぞ。爺どもが待ちわびている」
「少し遅れたほうが商品価値は上がるのさ」
「それはいい商品の場合だろ?」
「こいつは躾甲斐がある。お気に召すだろうよ」
「そうかよ」
そしてナオミを車に積み込むと走り出した。
「そんな趣味、俺には理解できないがな」
「俺もこんな女に付き合うの、大変だったぜ」
夜の高速道路にテールランプの尾を引いて、メルシデス・バンツは闇を切り裂くよう駆けていった。