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お題:『ハンマー』『乙女ゲーム』『ポテトチップス』『邪神』『アマビエ』

【楽しいお仕事】(1/2)
 わたしの名前は天宮 洋子! どこにでも居る、ちょっとおっちょこちょいな女の子。
 今日から新学期だっていうのに、わたしは寝坊して遅刻ギリギリに成っちゃった!

「あ〜ん、遅刻遅刻ぅ!!」

 朝食のパンを咥えながら走るわたし! あの角を曲がれば学校だわ! よ〜しラストスパート!!

 ドッシーン!!

「きゃあ!!」
「うわ!!」

 尻もちをついたわたしの前には、カッコイイ男の子が。

「おい! 気を付けろよ!!」

 カッチーン。

 確かに急いでて確認しなかったわたしも悪いけど、そっちだって同じでしょ!!
 確かにカッコイイけど、だからって、何を言ってもいいって事には成らないんだからね!
 そう思っていると、ソイツが急に顔を赤らめて視線を逸らした。

 え? 何?

 わたしは今の自分の姿をよく見てみた。ぶつかった衝撃で尻もちをつき、その事でスカートがめくり……

 ******

「没」
「ええ! 何でですか栗山さん!!」

 企画書を途中まで読んでた企画リーダーの栗山 環は、「なぜ」と食い下がるシナリオ担当の小山 修一に呆れた様な目を向けた。

「おい、シュウ、お前、この企画が何なのか分かってんのか?」
「え? はい、ブラウザ乙女ゲーム『らぶ☆レボリューション(仮)』ですよね?」
「分かってて、これか?」
「いや、でも、対象年齢の事を考えて、感情移入しやすい何処にでもいる女の子を主人公に……」

 環が頭を押さえ、溜息を吐く。

「古い!! 古すぎるんだよお前の頭の中!! こんなもん、今時、乳児ですらソッポ向くわ!!」
「いや、乳児はそもそもブラウザゲーム何て……」
「そう言う、いらん所拾わなくていいんだよ!!」

 スパーン! と、修一の書いた企画書を丸め、彼の頭を叩く。

「今の子はな、オンリーワンを求めてんだよ!! 『誰にもまねできない特別な自分』を求めてんだ!
 お前は、そこが分かってない! いいか! 次、同じシナリオ書いたらシナリオライターから外すからな!!」
「いや、栗さん、さすがにまんま同じ事書く様な奴はいないんじゃ……」
「だから、そう言う、いらん所拾わなくていいんだよ!!」