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使用するお題→ジャンル『ファンタジー』+『悪夢』『円満破局』『釣り』

【女騎士と謎の剣士】(1/3)

ここは、ありとあらゆる多種多様な種族が住む、魔法と想像で創り出された魔法の世界。そんな世界に一人の女騎士が旅をしていた。
彼女の名はシャロン。美しい藍色に輝く鎧を身に纏い、銀色の長髪をポニーテールにして束ねている。
華麗な剣さばきで敵をバッサバッサと討ち取る腕利きの騎士として知られ、彼女を尊敬する者もいれば、同時に畏怖する者も少なくなかった。
ある日、シャロンが深い森の中を歩いている時だった。

「ねえシャロンさん待ってよー!」
「もう、しつこいわね。いい加減ついてくるのはやめて」

フクロウの姿をした少年が空中からシャロンについてくる。その少年の名はクルック。
人間とフクロウのハーフである種族「ナイトウィング」の一人で、フクロウの如く暗闇の中でも正確に獲物を捕らえる能力、そして高い飛行能力を兼ね備えている。
彼は以前、敵に襲われ翼を負傷し息絶えそうになっていたところを、偶然通りかかったシャロンに手当てされて救われたのだ。
それ以来シャロンを命の恩人として好きになり、旅のパートナーになろうと後ろから必死に飛んでついて来ている。

「私はパートナーなんていらないの。あの時はただケガをして何だか可哀想だったから助けてあげただけ。そもそも人助けなんて大嫌いなの、誤解しないで」
「シャロンさんがそう言っても僕はついて行くよ!」
「ったく、生意気なフクロウ小僧ね。焼いて食ってやろうかしら」

しばらく歩いていると、大きな湖を見つける。シャロンは湖の近くに腰を下ろすと、どこからともなく釣竿を取り出して釣りを始めた。

「シャロンさん、お腹空いたの?僕が何か美味しそうな獲物捕まえてきてあげるよ」
「うるさい。私は今、焼き魚でも食べたい気分なのよ」

釣りを始めて10分頃が経過した時、釣竿の糸がグイッと引っ張られる。魚がエサにかかったようだ。
よし来た!とシャロンが釣竿を強く掴んで、勢いよく引っ張り上げてみると巨大な魚が姿を現した。
体は真っ赤で全身に鋭いトゲが無数に生えている。ビックリしたシャロンは急いで剣で一刀両断にしようとするが、
魚は一瞬の隙を突いて彼女の足に食らいつき、そのまま湖の中に引きずり込んでいった。

「シャロンさん!」
「おい何をする!放せッ!!」

クルックは急いでシャロンを助けようとするも、水中に潜られてしまうとどうすることもできない。
水中では重い鎧のせいで上手く動くことができず、抵抗することさえもできない。

「ま、まずい!このままでは溺れ死んで魚のエサになってしまう・・・」

まさに絶体絶命、死を覚悟したその時だった。何者かが素早い動きで魚を微塵切りにし、意識を失ったシャロンを抱えてそのまま湖の中から引き上げた。

「ゲ、ゲホッ!」
「大丈夫かい?」

意識を取り戻し、目をゆっくりと開けてみると、紫色の髪をした好青年が立っていた。どうやら彼が助けてくれたようだ。

「あ、あなたが助けてくれたのね。本当にどうもありがとう。名は・・・」
「俺はシェイン、自由気ままに旅をしている剣士だ。って、あれ?その藍色の鎧に銀色の髪、もしかしてシャロン?あの腕利きの女騎士の!」
「わ、私のこと知っているの?」
「知ってるも何も有名じゃないか!俺、あなたの憧れなんだ!」

そのシェインと名乗る剣士はシャロンにもう夢中だった。

「ねえ、家族にならないか!幸せで楽しい生活を一緒に送ろう!」
「はあ?」

突然のプロポーズ?にシャロンは開いた口が塞がらなかった。