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使用するお題→『誕生日』『たこ焼き』『過疎』

【懐かしのシチリアへ】(1/2)
※スレ6 943【とある教会での出来事】及びスレ7 284【夢は決してあなたを裏切らない】を先に読んでおくことをオススメします

「ハッピーバースデー!ライアン!」
「おめでとうライアンさん!」
「アハハ!ありがとうレイチェル、それにジュディ」

今日はライアンの誕生日だ。そんな彼のために、レイチェルとジュディは一緒に手作りのバースデーケーキを作ったのだ。

「ケーキすっごく美味しい!最高だよ!」
「私とジュディの愛が詰まってるから当然よ」

無我夢中にケーキを頬張るライアンを見て、レイチェルとジュディはニコニコ笑う。

「映画の撮影も順調でさ、一週間ほど休みをもらったんだ。久々にあそこにちょっと旅行しないかい?」
「あそこって?」
「シチリアだよ」

シチリア、その言葉にレイチェルとジュディは思わずハッとする。
シチリアで10年以上楽しいレストラン生活を送り、この生まれ故郷アメリカに帰ってから早くも4年が経過していた。

「シチリア・・・懐かしいわね。行こうライアン!」
「うんうん行く行く!!」
「OK!じゃあ明日、早速飛行機のチケットを予約しておくよ」

2日後、飛行機に乗って懐かしのイタリア・シチリアへと向かうライアンにレイチェル、そしてジュディ。
飛行機を降り、空港を出るとシチリアの懐かしくて美味しい空気を全身に感じる。
レンタカーを借りて、ある場所へと向かう。その場所とは・・・

「ここを覚えてるかい、レイチェル?」
「当たり前じゃない、ライアン。忘れるわけないでしょ」

そう、そこはかつて2人のレストラン兼マイホームが建てられていた場所だった。
廃業されてすぐに解体されたようで、今は跡形も無くなった状態であるが、レイチェルとライアンはしっかりと覚えている。

「ここで夢のレストラン生活が始まったんのよね」
「ああ。楽しいこともいっぱいあればトラブルや事件もいっぱいあったけど、どれも忘れられない大切な思い出だよ」

その後、ライアンが調べたところによると、このレストランが建てられた地域周辺は過疎化が著しかったようだ。

「そうだったんだ。確かに年が進むに連れて、お客さんが減っていくような感じはしていたのよね」
「でも、毎日のようにレストランを訪れる常連さんがいっぱいいて賑やかで楽しかったよ」
「そういえば、あのレストランはまだあるのかしら?」
「あのレストランって?」