0435この名無しがすごい!
2020/06/29(月) 22:20:56.72ID:FYkS5tuQ使用するお題→書き出し『侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話』+『ろうそく』『オオカミ』
【謎の祈祷師、現る】(1/3)
「侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話・・・」
「ねえシグレ、何を言っているの?」
「あっ、ごめんなさい」
日本という国から遥々このアメリカにやって来た謎の女サムライ・シグレ。
自由気ままにさすらいの旅を続ける女ガンマン・シンディとはかつてライバル関係で敵同士であったが、
幾多の激闘を互いに力を合わせて乗り越え、今では彼女の親友にして良き旅の仲間である。
「侍の国がどうのこうの言ってたけど何なの?」
「ある将軍の城に忍び込んだ時、その書庫にあった一枚の巻物にそう書いてあったの。誰が書いたか分からない、きっと日本の未来を予知するものなのかもしれない」
「どんな国も時が進めば必ず変化が起こるってことよ。そんなに心配してちゃ前へ進めないわよシグレ」
「そうよね、時代は移り変わっていくものだわ」
シグレはシンディと共に彼女の愛馬サンセットの背中に乗ると、荒野の中を再び走り出す。
サンセットもシグレに非常に懐いており、彼女を立派な旅の仲間の一人として認識していた。
そんな彼女達の姿を岩陰から誰かがじっと見つめていた。
「あの小娘、こんなところにいたのか。絶対に捕まえて息の根を止めてやるわイッヒッヒッヒ!」
日が暮れて夜になった。次の町まで辿り着くことができなかったシンディとシグレは、今夜は野宿することに決めた。
とても暑苦しい荒野も夜になると一気に冷え込み、身震いがするほど寒くなる。シグレはまだそれに全然慣れていなかった。
「に、日中はあれだけ暑いのに、よ、夜になったら、こ、こんなに寒いなんて。変わった国ね。ハッ、ハックシュン!」
そんなシグレにシンディは自分のコートを着せ、スカーフを首に巻いてあげた。
「大丈夫?これで少しは温かくなるはずよ」
「あ、ありがとうシンディ」
シンディのコートとスカーフから彼女の温もりが伝わり、シグレはいつの間にか眠りに落ちてしまった。
「あらあら、すっかり寝ちゃって。シグレったら可愛いんだから」
スヤスヤと眠るシグレの頭をシンディはそっと優しく撫でる。サンセットも眠りについてまだ間もない時だった。
一匹の大きな白いオオカミがシンディの目の前に現れた。
「オ、オオカミ!こら、近づくと撃つわよ!」
牙を剥き出しにし、ヨダレを垂らしながら自分の方に歩み寄るオオカミにシンディは銃を向けて威嚇するが、そのオオカミは一切動揺しない。
オオカミはそのままシンディの足に思いきりガブッと噛みつき、彼女をズルズルと引きずり始めた。
「ウワワワワッ!こ、こら何するのよ!」
シンディの声を聞いたシグレとサンセットが飛び起きる。
「あのオオカミ、まさか!冷静になってシンディ!」
「れ、冷静に?そうか!」
シグレの一声でシンディはすぐに落ち着いて一旦冷静になる。するとその白いオオカミは煙となり姿を消してしまった。