>>429
僕が前スレ808の続きだ……ですにゃー

使用お題→書き出し『侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話』+『ピアノ』『ろうそく』『電波女』『オオカミ』

【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第五話】(1/2)

「侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話……ですにゃー」

 ニャンダモ弐号機を塗装した日の夜。村では、またしても、宴会という名の食事会が開かれていた。

「それは……サンライズでしたかにゃー?」
「どうでしたかにゃー」
「それは……BAN南無でしたかにゃー?」
「にゃむにゃむ……どうでしたかにゃー」
「侍ですからにゃー。きっと両方ですにゃー」

 そしてネコミミ族の宴会というものは、素人演劇とのセットが定番らしい。
 ろうそくの明かりが揺れる。ネコミミ族の仮面も、暗闇を背負って不規則に揺れる。

「なあ、こんなにのんびりで大丈夫なのか?」
「大丈夫ではないですが、急いでも仕方ないですにゃー」

 ニャンダモのパイロットの女ですら、この調子だ。
 俺としては、もっと他にやるべきことがあると思うのだが。

「両方ですかにゃー。それと、侍は電波ですにゃー」
「電波……それはなんでしたかにゃー」
「見えるのですにゃー」
「何が見えるのですかにゃー」
「それはもう、見えてはいけないものが……あっ」

 おっさんたちの動きが止まった。

「……明日も早いのですにゃー。今夜はこれでお開きですにゃー」

 何が見えるんだ。気になるじゃないか。

 *

 翌朝は、相変わらずの曇りだった。なんとなく準備をして待っていると、前日と同じように、村長がやってきた。

「昨日はお疲れ様でしたにゃー。それで早速なのですが、電波ですにゃー」

 何言ってんだこいつ、とは思ったが、俺は大人しく村長に連れられて、村の外に出た。昨日とは違って、雑草に埋もれた道無き道を進む。
 しばらく進むと、上り坂になった。行く手は相変わらず植物に覆われている。よく見れば切り払われた跡も確認できるが、どこまで行っても緑しかない。村長は、そんな道を、迷うことも疲れを見せることもなく、歩き続けた。

「ここですにゃー。電波ですにゃー」

 坂道の先にあったのは、木々に埋もれるようにして建つ、一軒の小屋だった。
 周囲に目をやると、小屋のすぐ脇に鉄塔のような物が建っており、その先端を見上げると、曇り空で見づらいのだが、それはアンテナらしき形をしていた。

「電波女はいますかにゃー」

 村長は、ノックもせずに小屋の戸を開けると、ずかずかと中に入っていった。俺は慌てて村長に続いた。

「いますにゃー。逃げも隠れもしませんのにゃー。今日はどうしましたかにゃー」