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使用するお題→『用水路』『脳内』『同人誌』
※スレ5 138【ルーズってのもいいじゃない】の続編及び完結編です

【さよなら私の青春】(1/2)

アタシは今、大学4年生。あっ、そういえば自己紹介がまだだったわね。
アタシの名前は森島マコ。最初に言った通り現在大学4年生で、卒業に向けて卒論の仕上げや就活の真っ只中で忙しい毎日を送っている。

「今年中には絶対に内定を獲得して、卒論も終わらさなきゃ!」

4年生になって半年ほどが経った秋の中頃、アタシは苦難の末にようやく内定を得ることができた。

「ふぅ、何とか内定ゲットー!卒論もあともう少しで完成ね」

だいぶ心に余裕ができて一安心したところだ。そしてアタシはカレンダーに目を向ける。
12月の10日が赤いマジックで丸で囲まれている。そう、その日は去年から楽しみにしていたコミケに行く日なのだ。

「このコミケで同人誌いっぱい買うんだから!」

もうアタシは楽しみで楽しみでたまらなかった。コミケの前日、アタシは早速出かける準備をする。

「寒い冬にはやっぱりこれよね!」

そう、高校時代から愛用しているお気に入りのルーズソックスだ。寒いのが苦手なアタシにとっては温かくて心強い、頼もしい味方のような存在だ。
黒タイツの上にルーズソックスを履く。このクシュクシュ感が昔から凄い好きだ。

「またルーズソックスが流行る時代が来ればいいのになあ」

そう言うとアタシは靴を履いて家を飛び出し、駅へと向かう。新幹線に乗ってコミケの会場近くのホテルに向かい、そこで一泊する。
そして翌朝、楽しみにしていたコミケの開催日。アタシは好きな作家の描いた同人誌を片っ端から購入していく。
今のアタシの脳内には同人誌のことしかなかった。そしてコミケは無事に終了、アタシもとにかく満足だった。

「せっかくだから、ちょっと近くを散歩していこうかな」

コミケ会場から離れて30分ほど歩くと、そこは少し閑散としているがのんびりとした田舎町だった。
都会に住んでいるアタシからすると、こういう場所も悪くないかなと思う。

「老後は田舎で静かにのんびりと暮らそうかな」

まだまだ若いのに今、老後のことまで考えてしまう自分に対してアタシは思わず笑ってしまう。

「さてっと、もう帰ろうかしら」

そう思い、駅の方へまた歩いて戻ろうとしたその時だった。近くの用水路からプクプクと何かが泡立つような音が聞こえてくる。

「な、何かしら?」

気になり振り返ったその瞬間、ザバアッ!と大きな飛沫を上げながら用水路から何かが現れた。

「ワ、ワニ!?」

なんと、それはワニだった。