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使用するお題→『絹のドレス』『白いスーツ』『厳選』

【思い出は走馬灯のように駆け巡っていく】(1/2)

レイチェルはとてもワクワクしていた。今日は3ヶ月ぶりにライアンがハリウッドから帰ってくる日なのだ。
大好きなライアンに会えない日々が続き、寂しくて泣きそうになる時もあったが、
そんな時は夢のハリウッドで俳優として活躍する彼の姿を思い浮かべる。
そうすると寂しい気持ちは自然と収まっていき、ニッコリと笑顔になっていくのだ。
それに今はジュディも近くにいる。幽霊であるため姿は見えないものの、ライアンとレイチェルはそんな彼女の気配をしっかり感じ取ることができるし、声も聞こえられる。

「ねえレイチェルさん、今日は久々にライアンさんが帰ってくるんでしょ?嬉しい?」
「もちろん嬉しいに決まってるじゃない!ジュディ、大人をあまりからかっちゃダメよ」
「ごめんなさーい!」

ライアンは今夜の7時頃に帰宅する予定だ。それまでの間、レイチェルは寝室のクローゼットにある色々な衣類の整理をすることにした。
ほとんど着なくなったジャケットやコート等を、近くの小学校で行われるヤードセールに出すために箱に入れていく。
きっちりと整理していく中、レイチェルはたまたま純白の絹のドレス、そして白いスーツを
見つける。

「こ、これは…!」
「レイチェルさん、どうしたの?」
「懐かしいわ、このドレスにスーツ!ライアン、ずっと保管してくれていたのね」

そもドレスとスーツはシチリアへと旅立つ前の大切な結婚式のために、ライアンが厳選して用意してくれたものだ。

「レイチェル、そのドレスすっごく似合ってるよ!可愛い!」
「ライアンもその白いスーツとてもイカしてるわ、まるで王子様みたい!」

お互いに試着した時の会話を思い出す。それを思うと懐かしくて、気付かないうちに目からポロリと涙がこぼれてきた。
あの結婚式はとても盛大で最高のものとなった。

「う、うぅ。ライアン…!」
「ライアンさんとレイチェルさんの結婚式、私も見たかったなあ」
「確かちゃんと録画されたDVDがあるから、また後で見せてあげるわ」
「本当!?やったあ!!」

ジュディが出してくれたハンカチで涙を拭くと、レイチェルはまた荷物の整理を続ける。
するとまた懐かしい服が出てきた。

「あーっ!レイチェルさんがすごく愛用してた黒猫の衣装だー!」
「あ、愛用だなんて…!」

そう、シチリアでレストランを開いていた時に余興でよく身につけていた黒猫のコスチュームだ。
これもライアンが余興をもっと盛り上げるために、厳選して買ってきた物だ。

「ど、どう?ライアン…」
「す、すっごく似合ってるよレイチェル!その猫耳に尻尾可愛いよ!」
「そ、そう?ニャ、ニャーン!」
「レイチェル、最高だよ…!」

また試着した時の会話やその場面を思い出す。
あくまで余興オンリー、自分の本来の姿は女ガンマンだとレイチェルはずっとそう思っていた。
しかし、あるハロウィンの夜、攫われたライアンと奪われたガンマン衣装を取り戻すべく、黒猫の衣装に身を包んで、犯人である市長の女秘書と闘ったのだ。
それ以来、余興だけでなくハロウィンの季節になると着ることもあったが、いつの間にか全く着なくなり、クローゼットに放置したままだった。