>>938
使用するお題→『ロブスター』『シャワー』

【結婚記念のご馳走】(1/2)

夜の9時、レストランの閉店時間となった。

「レイチェル、お疲れ様!」
「今日も一日本当に楽しかったわ、ライアン!」
「そうそう、レイチェルに見せたい物があるんだ」
「見せたい物って?」

ライアンがニコニコしながら、白くて大きな箱を持ってきた。
蓋を開けてみると、そこには大きくて赤い立派なロブスターが入っていた。

「ワァ、大きなロブスター!」
「まだレイチェルが寝ている早朝に届いたんだ。明日は何の日か覚えてるかい?」
「明日?明日って確か・・・私とライアンの結婚記念日!」
「その通り!僕とレイチェルの結婚記念と、このレストラン開店5周年記念も兼ねて、このロブスターを料理しようと思うんだ!」
「本当!?やったー!ロブスターなんて最近全く食べていなかったから凄く楽しみだわ!」
「ロブスターは高いからね。今回は奮発して高級なのを選んだんだ!」

明日の結婚記念かつレストラン開店5周年を記念してのロブスターパーティーに、レイチェルはワクワクが止まらなかった。
それに明日はちょうど水曜日で定休日なのも好都合だった。

・・・・・・・・・・

翌朝の5時、ライアンがまだぐっすりと気持ち良さそうに眠っている中、
レイチェルはベッドからこっそりと出て、お馴染みのガンマン衣装に着替える。
そして階段を下りてキッチンへと向かい、冷凍庫の扉を開ける。

「あった、あった!」

レイチェルが手に取ったのは、あのロブスターが入った白い箱だ。箱の蓋を開け、ロブスターをじっと美味しそうに見つめる。

「ライアンとこの女ガンマン・レイチェルが今日、あなたを美味しくいただくわよ。覚悟してなさい、ウフフ・・・」

レイチェルが興味本位で指で少しツンツンとついたその時だった。ガパッ!とロブスターがいきなり動き出したのだ。
突然動き出したロブスターに、レイチェルは思わず「キャッ!」と声を上げて驚き、尻餅をついてしまった。

「えっ!まだ生きてたの、このロブスター!?」

ロブスターは箱から飛び出して床に落ちると、そのまま逃げ始めた。

「コ、コラ待ちなさい!」

レイチェルは急いでロブスターを捕まえようと追いかける。水中でないにも関わらず、意外と動きは素早く、レイチェルは悪戦苦闘してしまう。
しかし、諦めずになんとかリビングの隅の方にまで追い詰める。

「このレイチェルから逃げることはできないわよ?」

レイチェルが追い詰めたロブスターに掴もうと手を近づけたその時、ロブスターはハサミで彼女のブーツの爪先をギュッと挟んできた。

「ワワワワッ!い、痛いッ!放してッ!!」

レイチェルは必死になって足を振るが、ロブスターは頑なに放そうとしない。
思わず足を勢いよく振るとその拍子にブーツが足からスポッと脱げてしまい、
ロブスターがそのままブーツと一緒に開けっ放しの窓から外へと飛び出してしまった。