2話目あがってた
あのさ、らんたさ……ホントにこれでいいの?


人間をやめし者の救い
暗黒竜の渇望(第2話)

小説797文字

奇妙。偶然。奇妙。
現れたのは、食い物の香り。監視官を連れた婆さんは雇い主がウマそうに食べていた食い物を俺の前に丁寧に運ばせた。
「食ってもいいのか?」
「どうやって食えばいい?」
「これは、なんだ?」
「どうして」
その質問、全てを飲み込んだ。
最期の食事にならないことだけを望むつもりだった。
”…なんてうまさだ…”
習ったことのないうまさ。天のうまさを喰らった。
どんよりとした暗闇の中、次第と食い物の形が見えだした。
汁がうまいことにようやく気付いて、
老婆の顔を見上げた。
すると、老婆はそのように座った。
老婆の指が自らの口に触れると、
その輪郭が浮かんだように見えた。
「お主のめしは、このオババがおいしゅういただいた。
お主にとって、それが良いかは分からぬうちのこと……。
…じゃがのぅ……
世の中には、
こうゆう・・・・こともあるんじゃ。
お主はどう臨む?」
老婆の体が光りだす。
人間とは思えぬ。
目だけが赤く染まり、牛ほどに大きく形を変えた。
「どう思いなさるかの・・・・・・・・・?
急いでおるんじゃ。
この姿になったのは、
そのためじゃ」
そこには黒い獣毛の巨大な狼が現れていた。
人間とは思えぬ。
いや、人間ではない。
じゃあ、?
この時の俺には、目の前で起きたことがどういう訳だか、どういう訳だか、それでも不思議ではなかった。それが今の俺。または、この時の俺からにとって、重要な理解の手掛かりになること、を。
その時が来たのなら、試してもらうしか、俺には出来ない。それしか分からない。生命は活かせ―
監視員から、その狼に籠が渡された。
狼は籠を背負い跳躍した。
聞いて欲しい。
”籠の中、苦しい世巻”
それを思わせた。
圧倒的光の中、真っ暗な籠に乗って。