>>887
たしかにね、あの授業は感動的だった。

005【坂上と生徒/機体について】 3/5 PM
坂上「さて、それでは授業をはじめましょうか。
 今日は予告した通り、機体についての説明です。
 …あなた方、戦車兵が乗る機体。
 その名を士魂号といいます。英語名を、スピリット オブ サムライ。
 侍の魂と言います。
 あなた方はこの巨大な人工筋肉に包まれたサムライの魂として、戦場に現われることになります。パイロットとしてね。
 …。
 走る速度は車以下、的の大きさでは戦車以上。
 使える武器の大きさは重量比で、いかなる車両にも劣る。
 それが、あなた方が乗る最強の兵器の能力です。」

[選択1-1]
 (先生、でも、それ弱いんじゃないんですか)
 手をあげようとすると、それよりも先に手を挙げたクラスメイトが居た。(以下※に続く)

[選択1-2]
 (黙っている)

滝川「先生ぇ! それ、変じゃないか?」
坂上「…何が、ですか。」
滝川「ええと、だって弱いんだろ?」
 周りがちょっと騒いだ。
坂上「いいえ。強いですよ。…教えたはずですよ。
 強いのは、性能ではありません。戦術だと。
 …例を話しましょう。我々人間は、チンパンジーより握力が弱く、ライオンのように牙もなく、ヒョウよりも遅い。
 だが、今地上で一番繁栄しているのは、彼らではありません。われわれ人間です。
 …それは、なぜでしょうか。
 まあ、性格が一番悪いからだと、シャレにならない冗談もありますが、ね。
 さあ、分かる人はいませんか。」
壬生屋「はい。
 武器を使うからですか?」
坂上「60点です。壬生ええと、みぶや、さん。
 武器を使うという戦術を含む、数々の戦術を人間が使えたから、人は強いのです。
 たとえ素手でも沼に引きずり込み、岩場に引きずり込み、奇襲し、そこにある石でトラップを作ったとしたら…、
 たとえ相手がライオンでも、幻獣でも勝てる。
 …それが、人間、あるいはサムライと言う戦闘兵器の強さです。
 同じこと。まったく、同じこと。
 この士魂号が最強なのは、原形である人と同じように、他を圧倒して多彩な戦術が使えるからです。本物の、サムライのように。
 …戦車は動いて射撃するしか出来ません。
 武器を捨てて接近しキックすることも、横にジャンプすることも、壁を昇ることも、後ろに剣で攻撃することも出来ません。
 …それだけです。
 いいですか、この人型戦車、士魂号が強いかどうかは、この圧倒的な種類の戦術をどれだけ多彩に使いこなすかにあります。
 覚えておきなさい。
 あなた方サムライは、性能で戦うのではない。
 戦術で戦うのです。」