広がる「工作員妄想」〜三浦瑠麗氏発言の背景〜 、古谷経衡
https://news.yahoo.co.jp/byline/furuyatsunehira/20180213-00081557/

北朝鮮の特殊工作員が常に日本の大都市部に潜んでいて、有事の際には事前の想定通り、
独自に日本で破壊活動を行う・・・というある種の観念は、小泉訪朝に揺れた、
ゼロ年代中盤におけるネット右翼の典型的対北朝鮮工作員観をトレースしたモノで、これを私は「工作員妄想」と名付けている。

大阪蔑視の萌芽見ゆ
日本第二の都市は、正確に言うと人口では横浜市になるが、些末なことは良しとしても、なぜ「スリーパーセル」などという実在があやふやな北の特殊工作員が大阪に
「潜んでいる」と三浦氏は断定したのだろうか。
その背景には、大阪という土地に対する隠せざる偏見が存在しているように私には思える。

 大阪は日本最大の日雇い労働者の街「あいりん地区」を有し、在日コリアンが多く住む街として知られる。
実際、逃亡を要する犯罪者が、「あいりん」の雑踏の中に一時隠れていたことは事実(リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件における市橋達也受刑者)であり、
大阪最大のコリアンタウンである鶴橋を擁する同市生野区等に、在日コリアンのコミュニティが古くから形成されていることは事実である。

 このような大阪=猥雑・雑多なイメージが、「犯罪者や工作員が隠れるに都合が良い街」というイメージを形成したのであろう。
ネット世論の一部には、「大韓民国」を文字って「大阪民国」などと揶揄する向きがゼロ年代から頑強に存在し、
こうした大阪のイメージが、「いま大阪がヤバイ」という観念の下地になったことは疑いようも無い。