「聖母のいない国」なんかでサントリー学芸賞をもらったという栄光に縋り付いているからな
師匠のゴリ押しとはいえ、今読むと「気鋭の若手批評家の誕生」と錯覚したのかなという印象の本
第一章がサリンジャーを論じて「サリンジャーは懺悔しろ」「お前のせいでガキの文学が流行したのだ」という調子で神話破壊をやる痛快さ
この威勢の良い神話破壊的なやり口が「深い学識と、常識に騙されない超越的視点を持っている若手学者」風の空気を出しているんだけど。
すでにここで「純文学とは何か」という話を書いているし、今やっていることはこの頃の話を雑に膨らませたって本だなあと。
それと自分語りも入っているし、とても学術書とは言えない内容が多い
これも今と変わらない
神話破壊ってのは「本当にえらいのか」なんかでもやっていることで、威勢よく王様は裸だというのが手癖になっている。