まあ別段おかしくないと言ってしまえば言えるのだが、
ちなみに例文を三人称にしてみると

>また、テーブルの上から針を一本つまみあげた。
>鋭い先端が蛍光灯の光を反射して輝き、"太郎"の胸の底に潜む恐怖症を突き起こそうとする。
>くそったれ――ここまできてやめられるものか。
>垂れるカラメルを避け、"太郎"は艶やかな薄黄の側面に挿し込んだ。これで、プリンに刺さった針は六本。
>パステルカラーの室内を見回すが――何も起こらない。
>"太郎"の娘が好きだったクマのぬいぐるみはベッドの上に行儀よく座ったまま。遺影の写真も笑わない。
>馬鹿だった――結局、あの手長男はただの詐欺師で、"太郎"はまんまと金を騙し取られたわけだ。
>そのとき、"太郎"は視界の隅でゆらめく何かに気づいた。

と、何も変更しないで三人称になってしまう。
ということは逆に言えば、元の例文が何ら一人称として活かされた書き方になってないということでもある。