直した

いつもなら誰かしら家にいるのだが、その日は祖父母は、大須賀にある蓮舟寺の法主さんの法話を聞きにお寺さんへ行っていなかった。
母親も居らず、いつもなら婆ちゃんか母親のどちらかに帰宅後、温かい珈琲を入れてもらうのだが、その日は自分でお湯を沸かして用意せざるを得なかった。
湯を沸かしているあいだ、スティック状のインスタント珈琲を棚から取り出したて、徐にマグカップに粉末を入れた。
甘いものとしょっぱいものを交互に口にしたくなった私は冷蔵庫の中をガサゴソ漁っていると、まもなくリビングのドアが開いた。
「あら、お帰り」と言う母親の顔色が冴えず、気分が心持ち沈みがちに私の目には映った。
「遅いじゃん。どっか行ってただ?」
「今日は着付けに行ってたもんで」という母親の態度に敏感に反応した私は「今、お茶入れるで、座りない」
いいよ私がやるで、という母親を座らせて、急須に二杯お茶っぱを入れて、お湯を入れて、揺らしながら湯呑にお茶を注いで母親の前に差し出した。
「今日は仕事はどうだっけ?」
「ああ、問題ないよ。結構気楽なもんだで」

他にもどっか悪いとかあるだろ。忌憚なく徹底的に酷評してくれ。