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中島英樹を創作文芸板から排除するスレ [無断転載禁止]©2ch.net
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0952名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:49:53.52
 深夜、睡眠薬を飲んでも眠れず、ひたすらそういうことを考えていた。
考えても答えは出ないことは重々承知であるはずなのに、考え続ける。
しかし、今は違った。一つの答えが出た。いや――出さざるを得なかった、と言ったほうが正しいかもしれない。
0953名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:50:00.84
ふむふむ
0954名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:50:24.38
 真里さんの連絡先を削除することを決めた。人並みの幸せを手に入れることは不可能だ。煙草に火をつけて、削除ボタンを押そうとした瞬間、真里さんからLINEメッセージの着信があった。
「夜中にごめんね。もう私、死んだほうがいいのかな」
 煙草が敷いたままの布団に落ちて、丸い焦げを作った。僕は慌ててそれを拾い、口に咥え直し、なんて返信するかを考えた。足りない脳みそをフル稼働し、考えた。
真里さんは、こんな僕に、助けを求めている。それなのに僕は、自分の勝手な考えで、真里さんを突き放そうとしていた。真里さんは、自分の人生を終えようとしている。
だとしたら僕はなにをすべきか? どうにかして真里さんの思考を、生に変えるべきだ。いや、それが正解なのだろうか? 終えようとしている人を、もう一度レールに乗せることが、
そうやって強引にすることが、幸せなのだろうか。真里さんを助けたい、そう思うことは、ただの傲慢なのではないだろうか。
 でも僕は、真里さんに死んでほしくはない。煙草を灰皿にねじ込み、iPhoneの通話ボタンを押した――
0955名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:50:28.72
ふむふむ
0956名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:51:07.14
 呼び出し音が一回、二回、三回、四回、五回、六回、七回、八回、九回、十回、十一回鳴った。真里さんは出ない。十二回、十三回、十四回、そして十五回目で、呼び出し音が止んだ。
 無言の時間が、何秒、何十秒、何分経ったかわからない。僕は意を決して言葉を出した。
「ま……真里、さん? 大丈夫……大丈夫ですか?」
 反応はない。
「大丈夫ですか?」
 反応はない。
「今から……今から会いませんか?」
「……ごめんね……」
 ようやく反応があったその言葉は、僕が求めていないものだった。
「今、どこにいるんですか……?」
「自分の部屋だよ……」
 次いで出てきた言葉に、ようやく僕は安心した。少なくとも、今すぐ発作的に行動を起こすことはなさそうだ。
「今から会いましょう! どこでもいいですよ、どこにでも行きますよ!」
「うん……ありがとう」
「住所を教えてください、近くまで行きます」
0957名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:51:15.44
面白い
0958名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:51:45.38
>>934
Aと話してるのにいきなりLが話しかけてきてるが
いきなり誰だよLて
クッソワロタ
いきなりデスノートとか、こわいわw
0959名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:51:47.10
 焦りが、語尾を強めていく。どうこう考えている場合じゃない。今すぐに真里さんに会わないと、僕は死ぬまで後悔する。なんだっていい……なんでもいいから、
会話を続けて、落ち着かせて、話はそれからだ。以前の僕もこうだった。そして、友人たちに救われた。それと同じことを真里さんにするだけだ。
本人にとってなにが幸せなのか、そんなことわかるわけがない。僕にとってなにが幸せか、それだけを考える。傲慢だのどうのこうの、そんなことは今必要じゃない。
僕にとっての幸せは、どんな形であれ、真里さんが生き続けることだけだ。
 なにをすべきか、ようやくわかった気がする。
「真里さん、住所を教えてください」
 何度この言葉を言っただろうか。ようやっと、真里さんの口から、住所が告げられた。僕はそれを頭に叩き込んで、すぐに行くとだけ告げ、電話を切り、すぐにタクシーを呼んだ。
0960名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:52:03.99
面白い
0961名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:52:35.71
 一人でタクシーに乗ったのは、三十年間生きてきて初めての経験だった。後部座席から少しだけ見える運転手は、僕の父親ぐらいの年齢の顔つきをしていた。気軽に僕になにかを話しかけてきていたが、
そんなとりあえずの会話が、今の僕の頭に入るわけがなかった。大通りを走り、知らない道を走り、いくつかの信号で止まり、何度か右折や左折をし、やがてタクシーは静かに止まった。
金を払い、タクシーを降りる。住宅街だ。東京なのだから当たり前の話だが、いかにも金を持っていそうな、上流階級向けの住宅街。家の形は大体同じようで、大きな玄関の横には駐車場があり、
高級車と数台の自転車が止まっている。家は三階建が多い。
 真里さんに電話をかけると、数回の呼び出し音の後、止んだ。
「あ……もしもし? 真里さん?」と呼びかけると、「あなたが透君?」という声が聞こえた。真里さんの声ではない。なんといえばいいだろう……もう少し年上の女性の声だった。僕は少し面食らったが、
真里さんの姉かなにかだろうと頭の中で整理をした。今はそんなことはどうでもいい、真里さんの無事を確かめることが先決だ。
「真里さんは無事なんでしょうか?」
「うん、大丈夫」と声の主は言った。とりあえず安心した瞬間、汗が一気に吹き出た。情けないような声を漏らし、地面にへたり込む。
「あなたは今どこにいるの?」
「おそらく、家の外にいます」
「今から行くわ。じゃあ、切るわね」
0962名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:52:44.93
面白い
0963名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:53:06.94
 急激に煙草が吸いたくなり、ポケットを探る。くしゃくしゃになったパッケージに、一本だけ入っていた。しかしライターを忘れたので、口に咥えたままぼうっとへたり込んでいた。
 とある一軒家の玄関に明かりが灯り、大きな扉が開いた。最後の力を入れて立ち上がり、声の主を待った。出てきたのは、思った通り、真里さんより年上の女性だった。
部屋着のまま出てきたという感じで、緑色のTシャツに、下は灰色のスウェット・パンツ。髪の毛は金色に近い茶色で、後ろでまとめている。背は、百七十近くあるだろうか、僕より高い。
化粧はほとんどしていないようだ。僕の姿を確認すると、微笑みつつ右手を上げ、僕を家の中へ招き入れた。左手の指には、火をつけたばかりの煙草が挟まっている。
0964名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:53:14.72
支援
0965名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:53:46.91
 玄関は広かった。きっちりと整理整頓されており、真里さんのの匂いがした。間違いなくここは、真里さんの家だ。入って左にすぐ階段があり、右手に廊下が伸び、その先には木とすりガラスの扉があった。女性は僕が咥えたままの煙草に火をつけてくれ、
「とりあえず、奥で話をしましょう」と言った。廊下を抜け、扉の先には、オープン・キッチンがあり、木でできたテーブルと椅子があり、奥にソファと三十インチ以上の大きな液晶テレビがある。
女性がキッチンの前にある椅子に座ったので、向い合せになるように座った。テーブルには、ガラスの灰皿以外になにもない。女性は思い出したかのように突然立ち上がり、冷蔵庫からアイス・コーヒーを取り出し、
続いて食器乾燥機から洗いたてのグラスを手に取り、僕にそれを振る舞った。頭を下げてそれを受取り、一気に喉へ流し込む。あまりにも冷たくて、美味しかった。
 女性はそんな僕をみてにこりと笑った。そしてその表情を崩さないまま、静かに言った。
「もう二度と、真里に会わないで貰いたいの」
 僕は静かにため息をついた――


続く
0966名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:54:26.31
中島氏のを劣化させたような駄作だよなw
加齢臭だけ受け継いでるわ
0967名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:55:29.11
超連載小説 超戦士ジャップマン
第七レツダン
第一話 ジャスティスの誕生

第一話
0968名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:55:39.81
支援
0969名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:56:07.46
 いくら四月も半ばを過ぎようとしていても、早朝、かすかに残る寒さのせいで毛布から抜け出せないでいた。けたたましい音が鳴る目覚まし時計を毛布から伸ばした右手で止め、そのままごそごそと動かして煙草を手にする。
首から上だけを毛布から出し、煙草を咥えて火をつける。目覚まし時計の針は七時を指している。
気合を入れ毛布を体から剥ぎ取り、咥え煙草のままユニットバスへ向かい、放尿を済ませる。手を洗いユニットバスから出、部屋へ戻る。
五畳の部屋はパソコン、テレビ、ゲーム機、本棚が溢れている。部屋の片隅に乱雑に置かれている、何度洗っても汚れが取れない青い作業着を取り、スウェットを脱いで着替える。
また今日も残業だろうな、と思うと、気が滅入って大きなため息が漏れた。
0970名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:56:14.12
支援
0971名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:56:38.06
 五畳五万六千円、ユニットバスのアパートから自転車を走らせること十分のところに工場はあった。従業員二十人程度の零細企業だ。そこで僕は機械オペレーターの仕事をしている。
働きだしたのは二十五歳の頃だから、もう勤めだして五年になる。従業員は全員僕の先輩で、後輩は一人もいない。新しく従業員を雇い入れることをしないのだ。
門を抜け工場内へ入り、右に進むと自転車置き場がある。そこに止め、目の前にある階段を上ると事務所がある。ドアを開けると既に事務の中年女性二人が事務椅子に座って世間話をしている。
僕は挨拶を済ませるとドアの横にあるタイムカードを機械に通し、階段を下りた。階段の下に小さな喫煙所がある。ドアを開けると田中さんが丸椅子に座っり、スポーツ新聞を読みながら煙草を吸っていた。僕は挨拶をした。
0972名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:56:44.85
支援
0973名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:57:13.57
「おお、タダノヒトか。おはよう。巨人勝ったで」と新聞からは目を離さずに言った。年齢は三十八歳。薄くなった髪の毛が頭皮にわかめのようにへばりついている。
座っているせいもあるだろうが、腹の贅肉がこぼれんばかりにむき出しになっている。出身は関西の方らしく、上京して二十年近くにもなるのに関西弁が抜けずにいた。僕は田中さんの隣に座り、煙草に火をつけた。
「あれ、田中さんって巨人ファンでしたっけ?」
「それ以前に野球に興味あらへんがな」
「そうですか」
 しばらくの沈黙の後、「ちわーっす」と言いながら金髪長髪の斉藤さんがやってきた。僕より一つ年上の三十一歳。
若かった頃の栄光が忘れられないのか、作業着の前のボタンはとめず、両耳にはピアスを何個も飾り、傷んだ毛先を指でいじっている。
三人座ればいっぱいになるほどに喫煙所は狭い。
「今日も残業っスかねぇ?」と斉藤さんは煙を吐き出しながら言った。
「せやろなぁ。社長も従業員もっと増やせばええのに。どんだけケチやねん」とやはりスポーツ新聞からは目を離さずに言った。
「タダノヒトさぁ、煙草一本くれよ」と斉藤さんは右手を差し出してきた。仕方なく一本やる。
0974名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:57:17.44
支援
0975名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:57:48.39
 僕の名前は只野比呂だが、これといった特徴も無く、根倉で、ただ家と工場の往復だけで、彼女なんてもう七年いないという理由から、タダノヒトと呼ばれている。
この仕事だって好きで選んだわけじゃない。早くに父を亡くしたせいもあって、大学には行かせてもらえず、高卒で働くことになったのだが、この不況で仕事があるわけもなく、
仕方なく営業職に就いた。それが間違いだった。超絶ブラック企業で、僕は入社二年目でうつ病を患った。そしてクビ。それからバイトを転々とし、
この仕事に就く二ヶ月前に母を亡くし、さすがにぷらぷらしているわけもいかず、取り敢えずこの仕事を選んだ。給料だって安いし拘束時間も長いけれど、
この歳で転職なんてできるはずも無いから、仕方なく続けている。
「そろそろ行こか」と田中さんが言うので、僕と斉藤さんはそれに続いて作業場へと入っていった。
0976名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:57:56.17
支援
0977名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:58:19.09
 油と汗にまみれながら午前中を終わらせ、楽しみの一つである昼食の時間となった。食堂は無いため、会社がまとめてとっている四百五十円の日替わり弁当と自販機のお茶を手に取り、
道路を挟んだ向こう側にある小さな公園で昼食を取る。田中さんと斉藤さん以外の従業員は高齢のため、僕と話が合わないのであまり話をしたりしない。弁当を食べるのも田中さんと斉藤さんと一緒だ。
 五十代の作業員鈴木さんは携帯ラジオを聴きながら弁当を食べるのが日課だ。白髪頭は殆ど禿げ上がり、同じく白い髭はただ伸ばしているだけ。贅肉はついておらず痩せている。
そのラジオを何とはなしに耳に入れながら、田中さんと斉藤さんと話していると、突然ラジオから大きな笑い声が聞こえた。全員がラジオを見た。
「ははははははははははは!」
「なっ、何をしているんだ君は!」
「うるせぇ! 死ね!」
 銃声と女性の悲鳴が聞こえた。
「あー、あー、聞こえているか愚民共。先代ジャップマンが魔界の扉を封印して二十年、遂に効果が切れた。俺の名前はワルイー・ヤーツー。
暗黒魔王サイキョウ様の封印を解いて日本を崩壊させる。まずは大阪だ」
 僕は慌ててポケットからスマホを取り出し、ワンセグを開いた。矢部首相が汗をハンカチで拭きながら立っている。画面には「緊急記者会見」と書かれている。音量を上げた。
0978名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:58:25.31
支援
0979名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:59:16.46
「皆さん、落ち着いてください。これは新手のテロです。我々は米国と手を組み――」と言ったところで画面が切り替わり、砂嵐になった。
「諸外国と手を組むと日本を丸ごと消滅させる。飛行機、船で海外へ誰か一人でも逃げた場合も同じだ。そうされたく無ければジャップマンを差し出せ」というところでテレビが切れた。
 ジャップマン? ワルイー・ヤーツー? 暗黒魔王サイキョウ? 何を言っているんだ? これは夢なのだろうか? いや、夢じゃない。
従業員たちは全員箸を止めてただ茫然と座り込んでいる。と、田中さんが突然立ち上がった。
「お、お、大阪が崩壊って? え? え? どういうこと? 俺の実家大阪なんだけど?」
「事務所にテレビがあるから行くぞ」と従業員の一人が言うと、僕たちは小走りで事務所へ駆け込んだ。
0980名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:59:23.70
支援
0981名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 13:59:46.77
 テレビはどれも同じ映像を映している。火の海となった大阪だ。逃げ惑う人々、崩れゆくビル。阿鼻叫喚とはこのことをいうのだろうか。こういう時どうすればいいんだ? 助かる方法なんて無い。ジャップマンがどうとか言っていたけれど、何が何やら……。そうだ!
「お母さんに電話しよう」
 取り敢えず無事であって欲しい……。そう願いながらスマホをポケットから取り出した。何度か鳴った後お母さんが出た。
「比呂!」
「お母さん!」
「無事で良かったわ」
「お母さんこそ」
「緊急事態だから手短に言うわね……」
「何?」
「さっきのテレビ観たでしょ? ジャップマンがどうとか」
「僕には何のことかさっぱりわからない」
「――あなたなのよ」
「え?」
「あなたがジャップマンなのよ。話は後で。家に帰ってきなさい!」
0982名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 14:00:43.56
支援
0983名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 14:00:58.32
母が一人で住む都営住宅は、僕のアパートから自転車で十五分ほどのところにある。六畳一間で床にはカーペットが敷いてある。母は僕に座らせ茶を出し、自分はというと押入れをごそごそとやっている。後姿が疲れて見える。もう五十五歳だもんな。
「お母さん、何をやってるの?」
「これよ」と腕時計のような物を差し出してきた。
「こ、これは……?」
「あなたにはいつか話そうと思っていた。……只野の家系は日本を守るスーパーヒーロー超戦士ジャップマンの家系でもあるのよ!」
「え? ヒーロー? 超? ジャップマン?」
 混乱している僕をよそに、母は続ける。
「二十年前、お父さんが亡くなったのを覚えているわよね?」
「そりゃ、覚えてるよ。交通事故で――」母が遮った。「違うの!」
「ち、違う……?」
「お父さんは敵を封印するために……死んだのよ」
 正直話についていけない。しかし物事はそんな僕をよそに猛スピードで進んで行く。
「ジャップウォッチをつけなさい」
 言われるがままに時計を腕に嵌める。
0984名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 14:15:33.73
規制されたかハゲw
0985名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 14:26:09.07
支援
0986名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 14:27:49.99
支援
0987名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 14:29:58.22
「超戦士ジャップマン参上! と叫びながら時計の真ん中のボタンを押しなさい」
 少し恥ずかしいが今はそんなことを言っていられない!
「ちょ、ちょ、超戦士ジャップマン参上!」
 すると僕の体を虹色の光が走り、作業着が消え、代わりに黒色の全身タイツが体を包み込んだ。両腕と両足には鼠色のグローブとブーツが装着されている。
『只野比呂様……イエ、代三十二代目超戦士じゃっぷまん様、私ハすーつニ内蔵サレテイルAI、えれくとろにかト言イマス』という声が直接頭の中に響いた。
「エレク……トロニカ?」
「ジャップスーツにはAIが入っていて、導いてくれるのよ」と母は言った。
「じゃあ、ぼ、僕が……その、超戦士ジャップマンになって、あの悪い奴らを倒せ……ということ?」
「そうなるわ」『ソウナリマス』
 一体……どうなっているんだ……?
「じゃあ後はエレクトロニカの指示を仰ぎなさい。私は寝るわ」
 そう言ってお母さんはカーペットに横になった。そしてすぐにいびきが聞こえてきた。
「エレクトロニカ、僕が第三十二代超戦士ジャップマンということはわかった。でも、僕はこれといって特徴も特技も力も無いし頭も弱い、ただの一般人だよ。あの……何だっけ」
『わるいー・やーつーデスカ?』
0988名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 14:30:30.12
「そう、それ。勝てる訳が無いじゃないか」
『わるいー・やーつーハ暗黒魔王さいきょうを復活サセルノガ目的デス。ソレマデニわるいー・やーつーヲ倒セバイインデス』
「いや、だから、どうやってそいつを倒すんだよ!」
 僕が地団駄を踏むと部屋が揺れた。壁がドンドンと鳴り、隣から「うるせぇぞ!」と怒鳴り声がした。僕は小声で「何か武器とか必殺技とか無いの?」と言った。
『じゃっぷまん様、武器ハアリマセンガ安心シテ下サイ』
「ぶ、武器も無いのにどうやって!」
『じゃっぷぱんちトじゃっぷきっくデ敵ヲ地獄ニ落トスノデス!』
「ジャ、ジャップパンチ? ジャップキック?」
『説明シテイル時間ハアリマセン。トリアエズあぱーとヲ出マショウ』
 僕は言う通りに部屋を出て階段から外を眺めた。外は人で溢れかえっていた。「大阪が潰されたら、次は東京だろ!」とおじさんが叫んでいる。
しかし逃げる場所は無いのだ。ワルイー・ヤーツーが言っていた。「諸外国と手を組むと日本を丸ごと消滅させる。飛行機、船で海外へ誰か一人でも逃げた場合も同じだ。
そうされたく無ければジャップマンを差し出せ」と。と、いうことは――。
「するってぇと何かい? 僕がジャップマンだとアピールすれば、ワルイー・ヤーツーのところに行けるってことじゃねえか」
0989名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 14:32:07.97
「そういうことになるウホという男の叫び声がして、次いで人々は叫び声を上げて逃げ惑う。
都営住宅の駐車場にとめてあったワゴン車が上空へ吹き飛んだ。一台では終わらず、次々と車が上空へ吹き飛んでいく。
凄まじい爆発音が鳴り響き、煙が充満し、人々と駐車場を包み込んだ。そして最後の一台はまるで狙っているかのように、僕の方へと吹き飛んできた。
「ヤバいよエレクトロニカ! 車が吹き飛んできた!」
『じゃっぷばりあヲ使ッテ車ヲ止メルノデス!』
「ど、どうやって!」
「じゃっぷばりあト叫ンデ手ヲカメハメ波ノ様ニ目ノ前ニ出シテ下サイ!』
0990名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 14:32:16.89
支援
0991名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 14:32:54.38
 言う通りにした。すると吹き飛んできた車――黒のアコードだ。そういえば、と思い出す。
僕が七年前に付き合っていた女の元カレが黒のアコードに乗っていたな。付き合って半年して元カノの家に遊びに行ったら、
家の駐車場にとめていたその黒のアコード内で元カレと元カノがセックスをしていた。そして別れた。思い出すだけでムカムカしてくる。
ワルイー・ヤーツーを倒したらその元カレも地獄に叩き落してやろう――が空中で停止した。
『ソノママ手ニ力ヲ入レテ下サイ!』
 はっ! と力を入れると、空中で停止した黒のアコードが逆再生されるかのように元の場所へと吹き飛んでいった。そして大きな爆発音がして人々が阿鼻叫喚、
逃げ惑い、黒のアコードの残骸から煙がもくもくと立ち上り、「フフフ、そんな攻撃では私は倒せんウホ」と叫び声が聞こえた。
『コレガじゃっぷばりあトじゃっぷかうんたーデス』
「凄いな……無敵じゃないか!」
0992名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 14:33:19.51
「無敵ではない! そんな攻撃では私は倒せんよと言ったウホ」
 僕は慌てて階段を降りて駐車場へ行き、黒のアコードの残骸へ走り寄った。すると黒のアコードが空中浮遊した。
いや、違う! 黒のアコードの後ろには何者かが――煙が立ち上りシルエットしか見えない――立っていて、持ち上げているのだ! 煙が徐々に消えていくと、三メートル程のずんぐりむっくりしたゴリラが姿を現した。
「ゴ、ゴリラ!」と僕が叫ぶと、「ゴリラではないウホ! 怪人キング・ゴリラだウホ!」と声が聞こえた。
そして持ち上げた黒のアコードを都営住宅の壁に投げ捨てると、大きな音を立てて黒のアコードが爆発した。あれが元カノの元カレの車だったら良かったのに。
人々は逃げ去って、僕と怪人キング・ゴリラ以外誰もいない。
「か、怪人! キ、キング・ゴリラ!」
「そうだウホ!」
 ゴリラが喋っている。どこからどう見てもゴリラだ。胸を両拳で叩いてアピールをしている。どこからどう見てもゴリラだ。
「バナナを食べるかい?」
「うむ、バナナは好きだウホ」
 やっぱり……ゴリラだ。
0993名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 14:33:27.69
支援
0994名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 14:33:45.90
「ジャップバナナ!」と僕は叫んだ。しかし何も出ない。『ソンナノアリマセンヨ』とエレクトロニカが言った。やっぱりね。
「怪人キング・ゴリラめ! 僕が超戦士ジャップマンと知ってのことか!」と、さっきの技――ジャップバリアとジャップカウンターだ――で少し強気になった僕は叫びながら怪人キング・ゴリラを指さした。ぼ、僕、恰好良い!
「フフフ、知っているウホ。ワルイー・ヤーツー様からのご指示で、貴様を倒しに来たウホ」
「ゴリラごときが僕に勝てると思っているのかぁ?」
「ゴリラではないウホ! 怪人キング・ゴリラだウホ!」
0995名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 14:34:08.15
0996名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 14:34:27.32
0997名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 14:34:36.61
0998名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 14:34:43.39
0999名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 14:34:52.97
1000名無し物書き@推敲中?垢版2017/09/19(火) 14:35:00.59
鹿
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