大学生活が始まって二週間が経過した。
大学生活の初日に話した連中はみんな消えて無くなった。消えて無くなったという言い方は、些か自分中心過ぎるかもしれない。
消えて無くなったと言っても、彼等彼女等は同じ大学のどこかにいて、私となんら変わらない日常を過ごしているはずである。ただ連中とは仲間にならなかった。
あのあと山根とも鈴村さん(ボブカットの女の子の苗字である)とも一条さん(この苗字はセミロングの子だ)とも連絡先を交換したが、
あれ以来、私から電話もメールも一切掛けなかったし、掛かってこもなかった。
ただ連中のひとりひとりに一回ずつ「よろしく」のメールをアド交換した日に入れただけだった。行って来いのやり取りの後、我々は疎遠になっていった。
スマホのアドレス帳には現在九十六件の電話やメルアドが保存されている。その内二十人ほどは地元の友人の連絡先である。
残りの七十四件が大学に入って連絡先を交換した人の数であるが、そのほとんどの人間と交流はないか、あるいは微妙な感じである。
私にとって、よくラインやメールをする人間は限られている。同じゼミの子に「メアドの件数少ないね」と言われたが、九十六件のどこが少ないのか、私にはよくわからなかった。