こんなんはどない? 掴みとしては。

過日会社の若い連中が内輪で飲み会をやったらしい。そのことをわたしは先ほど初めて聞かされた。
会社を出る前にわたしは同僚のワタナベと挨拶を交わした。ワタナベはこの会社の同期であり、割合親しい間柄だ。そのワタナベがそのことをわたしに話たのだ。
「先週火曜日、また例の六人で飲んだんだけどよう……」
例の六人とはワタナベの話題に出てくる仲の良いメンバーのことである。
この会社は比較的新卒を多く入れる。そのなかで、会社主催の飲み会の後、若い連中は若い連中で最後の最後、集まってカラオケにいくことがあった。
そのなかで仲良くなった連中がプライベートでも集まるようになっていったらしい。
その六人のなかにわたしは含まれていない。ワタナベは臆面もなく、よくこの「例の六人」という言葉を口にするのだが、
そのなかに九条ナコが含まれているという事実にわたしはいつも身を焦がした。
そしてそもそもわたしが何故このコミュニティのなかに入っていないのか、
落ち度でもあるのか、またはこのコミュニティに入る資格を持たぬのか、そのことをいつもくよくよと考えていた。